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無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
黄金の聖女編(最終章甲)

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恋する令嬢のひざまくら

 ギンヌンガガプでスコル似た少女を見たという。

 だから、シオンは初めてスコルを見た時は驚いたのだとか。


「いや、まってくれ。スコルはずっと俺と一緒だ。多分そのギンヌンガガプへ行ったことはないと思う」


「本当ですか?」


 俺は気になってキッチンへ向かった。

 スコルに聞くと、キョトンとした顔をしていた。



「ギンヌンガガプ……ってなんですか?」



 やっぱりな。

 この反応はギンヌンガガプを知らない。


 するとシオンは「見間違いだったのかなぁ」と困惑していた。

 ……いや、そうではない。


 もしかするとナハトの探し人『黄金の聖女アイファ』なのかもしれない。

 俺は以前、寵愛を受けし世界聖書オムニア・ウィンキト・アモルでナハトの過去を見た。

 その時、隣にいたのはスコルに激似のアイファだった。


 もしかすると、この世界にいるのか――?



「すまん、スコル。なんでもないよ」

「変なラスティさんですねっ」



 スコルは再び料理へ向かった。

 すでに良い匂いがしている。

 これはカレーだろうか。

 早く食べたいな。

 お腹が空いて倒れそうだ。



 しばらくして晩御飯がテーブルに並べられた。


 やはり『カレー』だった。

 しかも野菜たっぷり。こりゃ美味そうだ――いや、絶対に美味いね。



 スプーンを手に取り、俺はさっそくいただく。



「――んまッ!」

「よかった~! 上手くできました」


 喜ぶスコル。その隣でストレルカも嬉しそうに微笑んでいた。


「やはり隠し味が効いたようですね」

「ほお~、ストレルカ。カレーに何か入れたんだ?」


「ドヴォルザーク帝国最高峰の赤ワインです」



 なるほどねえ、だからこんな深みのある味わいになっていたのか。

 美味すぎて手が止まらない。


 気づけば俺は完食していた。



「はじめて口にしましたが、凄く美味しい料理でした!」


 シオンはカレーを初めて食うらしい。へえ、そんな人もいるんだな。



「それは良かったです。――って、シオンさんってカレーを食べたことなかったんですね!?」


 と、スコルも意外そうにしていた。



「はい。ギンヌンガガプにこんな高級料理はありませんでした」

「こ、高級料理ではないですけれどね」



 少々困惑スコル。そうだな、カレーは一般家庭でも食べられいる料理。てか、ギンヌンガガプはどうなっているんだ……?


 不思議すぎるが、地域の関係なのか――なんなのか。



 お皿を片付け、その後はスコル達からお風呂に入っていった。

 この時間だけはソワソワしてしまうな……。



「…………」

「どうされましたか、ラスティ様」



 床で寝ていると、ストレルカが俺の頬を突いた。見透かされているな。



「……や、休んでいるんだ」

「ふぅん。今、お風呂にはスコルさんが入っていますけれど」


「ッ! そ、それがどうしたんだ」

「これから、わたくしも入ってきます」


「え……」


「洗いっこするんです。ラスティ様もご一緒にいかがですか?」


「――ッッ!?」



 まさかのお誘いに、俺は心臓がバクバクしはじめていた。


 え、ええッ!?


 てか、三人は無理だろう。

 お風呂は一応、一人用に設計されているからな。空間的に二人でギリギリだ。



「なんて冗談です。耳赤いですよ?」

「ストレルカのせいじゃないか……」


「では、お詫びにしばらくだけ膝枕(ひざまくら)を」


 ストレルカは、俺の頭を持ち上げてその膝に置いた。

 柔らかい感触とぬくもりが後頭部に。


 ……こ、これは。



「どうして……」

「お疲れでしょうから」


「癒してくれるってことか」

「そうです。スコルさんがお風呂に入っている間がチャンスですし。ほら、普段はあんまりこういうこと出来ませんし」



 それもそうだが、ストレルカが膝枕なんて珍しいな。

 しかしこれは寝心地が良いな。

 このまま(まぶた)を閉じれば――。



「わぁ!?」



 と、シオンの声がした。



「……スマン。シオン」

「お二人ってそういう関係なんですか!?」



 俺は否定しようとしたがストレルガが先に「はい、そうなんです」と答えてしまった。うぉい!?


 あらぬ誤解をだな――いや、嬉しいけど。



「良いな~…。私も恋人欲しいです」

「シオンは付き合っている人とかいないんだ?」


 そう聞くと「いないですよ~」と悲しみにくれていた。

 こんな美人なのに意外だな。



 しばらくしてストレルカとシオンも風呂を済ませた。俺も入って明日に備えた。


 ――さて、あとは寝て早朝にはコルキスを倒しにいく。

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