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無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
黄金の聖女編(最終章甲)

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突然変異のゴーレム出現

【アルゴナウタイ:ふもと


 ついに山の(ふもと)に辿り着いた。

 気候は穏やかで少し肌寒い。


 悪路ではないものの、冒険者が作った道があった。かなり(きゅう)勾配(こうばい)で本格的な登山装備が必要かもしれない。

 そう感じるほどの坂道だ。



「スコルもストレルカも足元に気をつけて」


「解かりました!」

「了解ですわ」



 二人とも俺の背後を慎重についてくる。

 俺はゲイルチュールを握ったまま先へ先へと進む。


 この山道でモンスターが出現したら、ちょっと戦いにくいな。


 道幅が狭いから囲まれたら終わりだ。

 俺はゲイルチュールで道を広くしながら先へ進んだ。


 こんな時は万能つるはしが役に立つ。



 ひたすら坂道を上ると開けた場所に出た。



「お~、眺めいいですね」と、スコルが感嘆(かんたん)を漏らす。その(かたわ)らでストレルカも「そうですね、スコルさん。わたくし達の街が一望できます」と、景色に目を奪われていた。


 という俺も、海まで見渡せるこの風景に少し感動していた。



「結構歩いたな。少し休憩にしよう」

「賛成です!」



 俺は無人島開発スキルで椅子を作ろうとしたのだが――。



『きゃあああああ、助けて!!』



 女性の声が聞こえると、山道の奥から誰かが走って向かってきた。

 その人物は一体のモンスターを引き連れていた。


 ……え、追われているのか!?


 仕方ないな!


 俺はゲイルチュールを持ったまま、そのまま飛び跳ねてモンスターの頭上へ。



 ――む!



 このモンスターはスリムなゴーレムだが、通常とはだいぶ雰囲気が違う。


 腕がトゲトゲだ。いったい、どうなっているんだ――。



[ニードルゴーレム]

[属性:地]

[種族:無形]

[詳細]

 ゴーレムの突然変異型。

 腕は二メートルを超えるトゲを出す。



「ちょ、マジか!」



 モンスター情報通りに腕からトゲが飛び出していた。なんてモンスターだ!


 俺は、アイテムボックス内にある材料の『鉄』を消費して盾を製造。トゲを防御した。


 ガンッっと鈍い音がして俺は飛ばされるが、くるりと回転して着地。



「ラスティ様!」

「大丈夫だ、ストレルカ。それより、女性を頼む!」


「はい、解かりました!」



 逃げてきた女性を任せ、俺は再び攻撃へ。

 その際、スコルが支援スキルを施してくれた。



「キリエ! グローリア!」



 よし、おかげで攻撃力や攻撃速度がアップした。


 これでッ!


 剣型の『シグチュール』へ変化させ、俺はニードルゴーレムのトゲを斬撃で切り落とした。


 見事に削ぎ落ちていくトゲ。

 そこから更に槍型の『+10覚醒ヴェラチュール』へ。


 ゼロ距離で槍を放ち、ニードルゴーレムの胸部を穿(うが)つ。



『――――』



 沈黙するニードルゴーレムは、そのままバラバラに砕け散った。



 ……撃破!



「やりましたね、ラスティさん!」

「スコルの支援のおかげさ」

「い、いえ……わたしは何も」


 頬を赤く染め、嬉しそうにするスコル。笑顔が可愛すぎるぜ。



「あ、あのぅ……ありがとうございました」



 先ほどの赤髪の女性がこちらに。

 大人の女性で弓を手にしているところ……弓職冒険者に見えた。多分、そうなのだろう。



「いやいや。それより、一人で登山を?」

「そ、そうなんです。私、アルゴナウタイの頂上へ行きたくて……」


「凄いな。一人でなんて無謀(むぼう)だぞ」

「やっぱりそうですよね……」



 気まずそうにする赤髪の女性。

 しかし、なんで一人で。



「レアアイテム狙いかい?」

「いえ、どうしても『黄金の林檎(アムブロシア)』が欲しくて」


黄金の林檎(アムブロシア)を? どうして?」


「実は……」



 彼女の事情を知り、俺は驚いた。


 そうか、そういうことだったのか――。

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