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無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
黄金の聖女編(最終章甲)

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追放されし黄金の聖女

 帝国を追放されし黄金の聖女は、星帝シックザールの暴虐(ぼうぎゃく)により両親を惨殺され、魔力を奪われた。


 いつも笑っていた彼女――アイファが今日だけは涙を流し、その場に崩れていた。



「…………っ」



 ライゼフューラー帝国の前。

 アイファは全てを思い出した。そして、俺も。



 * * * * * *



「――ああ、またか」



 (まぶた)を開け、目覚めると先に起きていたスコルが首を(かし)げた。



「ラスティさん、おはようございます。……どうかしたのですか?」

「いや、ちょっと夢をね」


「もしかして悪夢ですか?」

「そうでもないけどね」



 寵愛を受けし世界聖書オムニア・ウィンキト・アモルの影響だろうか。シックザールの封印から脱出してから俺は、毎晩のように夢を見ていた。


 不思議なことに毎日だ。


 ナハトとアイファの旅の記憶。

 それが流れ込んでくるんだ。



「落ち着かせてあげます、ラスティさん」



 微笑むスコルは、まるで女神のように俺を抱擁(ほうよう)。柔らかい体に包まれ、俺は気持ちが一気に楽なった。


 少しして扉をノックする音が。



『お休み中のところ申し訳ございません、ラスティ様』



 この声はアルフレッドだ。

 俺は直ぐに返事をした。



「入っていいぞ」

「では、失礼して――んぉっ!?」



 この状況を見てアルフレッドは固まっていた。

 ですよねー…。


 スコルが大胆に俺を抱きしめているとか、さすがに気まずい。俺も気まずい……。



「……あわっ! ご、ごめんなさい…………」



 顔を真っ赤にするスコルはなぜか謝りながら俺から離れた。恥ずかしかったのだろうか、背を向けてもじもじしていた。……可愛い。


 それにしても、アルフレッドがこんな早朝に訪ねてくるなんて珍しい。ということは緊急の案件だな。



「なにかあった?」

「ええ。島国ラルゴは今や多くの住人がおります」


「そうだな。多分、人口三千人は超えている」

「ですが、皆さんお困りのようでして……その、水が出ないと」

「水が?」


「はい。今朝のことです。生活用水の井戸を使おうとした住民が異常に気付いたようです」



 その人は、井戸を覗いて驚愕(きょうがく)したようだ。


 なぜなら、そこには……“なにもなかった”からだ。



 つまり、井戸は枯れてしまったんだ。




「おい、マジかよ。そりゃ大問題じゃないか!」

「ですので、ご報告に参った次第です」


「解った。アルフレッドは引き続き情報収集を頼む」

「承りました。――では」



 丁寧にお辞儀をして去っていくアルフレッド。その一寸も乱れぬ姿勢に毎度ながら感服するね。さすが俺の執事だよ。


 それにしても、水が出ないか……。


 水源に何かあったのだろうか。



 無人島開発スキルで覗いてみると【水源:異常】とあった。……なんだって?



「なにか解ったのです?」

「いや、正確な情報は。現地へ行くしかない」


「では、わたしも」

「もちろんだ」



 準備を進め、部屋の外へ。


 廊下でハヴァマールとすれ違った。



「兄上!」

「おう、ハヴァマール。俺とスコルは水源調査に向かう」

「そうなのか! 余はルサルカさんの様子を見に行くのだ」


「そうだったな。これからも仲良くしてやってくれ」

「了解なのだ! ではでは!」



 元気よく去っていくハヴァマール。友達がいるのはいいことだ。


 城を出ようとするとストレルカが門の前で待機していた。



「ラスティ様。水に関することなら、このわたくしを連れていくべきではありませんか?」

「なんだ、聞いていたのか~」


「大精霊オケアノスを通せば水関係は手に取るように」



 そうだったな。水というか海の大精霊オケアノスと契約するストレルカは、とにかく水属性魔法に強い。ならば、彼女はパーティに必須だろう。



「よし、ついてきてくれ」



 俺は歓迎した。

 ストレルカは太陽のような笑みを浮かべた。



「ありがとうございます。スコルさんもよろしく」

「はい、ストレルカさん。一緒に調査しましょう!」



 今日は俺含め三人で水源を調査する。

 まずは街中にある『井戸』を見に行くか。

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