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無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
世界聖書編(最終章改二)

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久しぶりの島国でのスローライフ

 城へ戻り、スコルたちと合流を果たした。

 みんなケガもなく、無事だった。


「ラスティさん!」

「心配かけたな、スコル」

「はい、とてもとても心配しました。……良かった、無事で」


 真っ直ぐ俺の胸に飛び込んでくるスコル。俺は受け止め、抱きしめた。

 一度は封印され俺は、ナハトの過去を追った。その時、スコルに似たアイファという聖女とダンジョン攻略。そしてシックザールと戦い、彼女を失った。


 ナハトの言う通りだった。


 彼は必死に戦い、大切な人を失った。その喪失感(そうしつかん)が俺の中で残留していた。


 だから今の俺は、とても安堵(あんど)していた。



「シックザールは『赤色閃光の聖書プロキシマ・ケンタウリ』の力を使い、封印した。ヤツもう現れない」


「おぉ、ヤツから奪い取れたのですね……!」



 俺の手元にある赤い本を見つめるルドミラ。そう、エドゥのソウルスキルによって偶然だけどな。

 おかげで封印という形で幕引きだ。

 多分、封印を解く方法はないはずだ。


 寵愛を受けし世界聖書オムニア・ウィンキト・アモルがない限り。



「相変わらず凄い力だな、世界聖書(ウルガタ)は」



 テオドールは呆れていた。

 まるで世界聖書(ウルガタ)のことを詳しく知っている口ぶりだった。



「なんだ、知っていたのか」

「もちろん。我々、年長者組は様々なアイテムを目にしてきた。恐ろしい悪魔のような武具も発見し、戦ったことすらある」



 不老不死であるルドミラ、エドゥ、テオドールの三人組は経験が違いすぎるな。

 そうか、過去にも世界聖書(ウルガタ)は猛威を振るったようだな。



 一旦、解散となり各々(おのおの)の時間を過ごすことに。



 俺は広間でスコルと共に時間を過ごしていた。

 まったりしていると、アルフレッドがパンケーキを焼いてくれた。見事な小麦色の円形。芸術的に広がる蜂蜜(はちみつ)


 そして、特別だと言わんばかりに生クリームまで()えられていた。素晴らしい組み合わせだ。



「スペシャルパンケーキにございます」

「ありがとう、アルフレッド」



 礼を言うと、アルフレッドは「では、ごゆっくり」と優しい口調で下がる。

 さて、いただこう。



「わぁ~、いただきますっ」



 目を星のようにキラキラ輝かせるスコルは、フォークとナイフを手に取ってパンケーキを切り分けていた。俺も続く。



「どれどれ……」



 ナイフで一口サイズに切り、ふわふわのパンケーキを口へ運ぶ。


 こ、これは……美味いッ!


 蜂蜜と生クリームが甘くて見事に融合し、濃厚。口の中でとろけていくようだった。一瞬で幸福に包まれ、俺はもうフォークが止まらなくなっていた。


 それはスコルも同様で幸せそうに食べていた。笑顔が見られて俺も幸せ。



「ん~、美味しすぎです~」

「その言葉、アルフレッドも泣いて喜んでいるぞ」



 広間の片隅。直立不動で涙を滝のようにして流すアルフレッドの姿があった。……マジで泣いてた。



「やっぱり、島国ラルゴは落ち着きますねっ」

「そうだな。シックザールに支配されるかと一瞬焦ったけど、阻止できてよかった」


「本当に嫌な事件でしたね」

「ああ、元老院も建て直さなきゃいけないし……ああ、そうだ」



 肝心のテレジアを忘れていた。

 そろそろ人型に戻ってもらい、話をしなければ。


 今後のドヴォルザーク帝国をどうしていくべきか。


 俺は皇帝のままでいいのか――など。

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