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無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
世界聖書編(最終章改二)

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妖刀と魔剣

 アレグロ枢機卿――『シックザール』の名は、ドヴォルザーク帝国中に広がった。

 枢機卿が生きていること、帝国を陥れようとしていることなど知れ渡ると、民から困惑の声が漏れ始めた。


 まさか、聖央教会のあの人が。


 シックザールの信者たちも失望しているようだった。それがルドミラからの報告だった。



「――以上です」



 あれからナハトの塔から移り、スターバトマーテル城内。その広間。

 俺は全員を集めて、シックザールこそが真の悪者であるとみんなに伝えた。



「マジか。ラスティ、彼は枢機卿ではなかったのだな」



 信じられんとため息をつくシベリウスは、頭すら痛めていた。そういえば、ケガは治ったようだな。良かった。



「むむ。では、兄上。余らが同盟国に伝えたことは……」

「すまんな、ハヴァマール。悪いんだが、改めて『シックザール』が犯人であると通達して欲しい」


「んなッ! ……仕方ないかぁ。ストレルカと共に行ってくるのだ」



 二人にはグラズノフ共和国、エルフの国ボロディンとその他の国々へ行ってもらう。今度はエドゥも連れて行ってもらう。彼女と共にテレポートした方が早いだろう。



「エドゥ。ハヴァマールとストレルカを頼む」

「了解しました。もし必要であれば、このアイテムをお使い下さい」



[アベオの花]

[効果]

 名前の書かれた者を最大三名まで召喚する。

 この花の効果は一度きり。

 使用後は消失する。



「ほう、アベオの花ねえ。白い花とは幻想的だ」

「自分、ハヴァマールさん、ストレルカさんの名前を記入しておきます」



 なるほど、そうすれば即座に三人を呼べるわけだ。便利なアイテムがあるものだな。


 三人には通達を任せた。

 エドゥは、ハヴァマールとストレルカを連れてさっそく飛んでくれた。

 そっちは任せたぜ。



「残る俺たちはドヴォルザーク帝国内と周辺を探す。シベリウス、騎士団総出で頼む」

「承り。では、迅速に」


 ニカッと白い歯を見せながら爽やかに去っていくシベリウス。こういう時は頼りになるな。


 さて、あとはコイツが動いてくれるかどうか。



「スケルツォ」

「もちろん、陛下の要請があれば私も動きましょう。今までは“聖戦”の儀式が終わらなかったので自由に動けなかったのです」



 ロイヤルガーディアンとしての行動制限があったらしい。知らなかったぞ、それ。

 だが、これで百人力。

 なぜなら、ルドミラも今回は共に行動するからだ。



「ルドミラもいいな?」

「はい。ラスティくんとお供でき光栄です!」



 万遍(まんべん)の笑みとはこのことか。嬉しそうに笑っているルドミラは、予想外にも可愛かった。いつも美しいと感じるのに、それが乙女のように映るとは。



「スコル、テオドールも頼むぜ」



「わたしも全力でがんばりますっ」

「君の頼みなら断れないよね。嫁には悪いが、今回は一大事だ」



 珍しくテオドールも乗り気だ。

 きっと、錬金術師のお店を建てたいのだろうな。昨日、頼まれたしな。

 無償で動いてもらう気はない。もちろん、がんばったみんなには報酬を渡すつもりだ。


 あとは元老院。

 テレジアとゲルンスハイム帝領伯にも協力を仰ぎ、シックザールを捜してもらう。



 これで直ぐに見つかるだろう。

 さっそく行動に移そうとすると「ちょっと待った!」と声が響いた。



「お前は……」

「俺を忘れていないか、ラスティ」


「ナハト。そうだな、お前も一緒だ」

「ありがとう。そして、これを託す……!」


「……え?」



 これは『妖刀テレジア』じゃないか……! つか、刀になっていたのかよ。



[妖刀テレジア]

[詳細]

 ドヴォルザーク帝国の元老院議長テレジアが『刀』になった姿。

 一撃必殺スキル[第六天魔王煉獄殺]を発動可能。

 物理・魔法攻撃力 + 6666666。

 スキルには三分間のクールタイムが存在する。



「そこで本人に渡してくれって言われてな」

「なぜ自分で出てこない?」

「さあ、なんだか今回の事件で責任を感じているそうだ」



 それで恥ずかしがって刀のままなのか。可愛いところあるな、テレジア。だが、この刀なら負ける気はしない。彼女は“最強”だからな。


 ――にしても、これで『妖刀』と『魔剣』が(そろ)ったな。

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