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無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
世界聖書編(最終章改二)

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ゴールドダンジョンの真実

 まさか、こんな古典的な手に引っ掛かるとはな。



「ラスティ。シックザールはこの大穴に落ちたのか……?」



 俺の元へ駆け寄ってくるナハトは、激しい動きをしていたせいか汗を垂らしながら深淵を覗く。



「そうだ。これは俺のスキルで設置した穴だ。特別だから深いぞ」

「……なるほど。お前というヤツは恐ろしいな。だが、シックザールはすぐに戻ってくるぞ」


「ああ。この程度でやられないとは思っているさ」



 これはあくまで時間稼ぎ。

 スコルを守る為のな。



 ――さて、そろそろ戻ってくる頃合いだろうか。



 深淵の中から気配が猛スピードで上がってきていた。この魔力は、シックザールで間違いない。


 穴から現れた影は、銀の渦を(まと)い出現。



「くだらぬ技を!」

「時間は稼げたさ。――いくぜ!」



 俺は『鉄』を消費。今度は“釘の雨”を降らせた。これも物理攻撃なのでディスペルで無効化はできない。



「おのれ、面倒なスキルだ!」



 白銀の世界聖書(アルゲントゥム)を発動させ、スキルを発動させるシックザール。突風が巻き起こり、俺の釘の雨を吹き飛ばした。……そんな魔法スキルも使えるのか。



「この程度なら吹き飛ばすだけで十分だ」

「――隙あり!!」



 いつの間にかシックザールの背後を取っていたナハト。マジか! 一瞬すぎて何も見えなかったぞ。



「くッ! ナハト!」

「以前の俺と思ったか、シックザール! あれから更に『金の宝箱』を開封しまくって、装備を強化したんだ――!」



 そうか!

 だから、あの塔にはゴールドダンジョンが存在し『金の宝箱』が無数に設置されていたんだ。

 ナハトはこの戦いを想定し、ずっと備えていたんだ。全てではないが謎は解けた。



「ぐッ」



 ギリギリのところで回避するシックザール。頬を(わず)かに刃が(かす)めていた。おぉ!



「チィ。惜しかった!」

「まさかこの私に傷を……!」



 ナハトは更に連続して攻撃を仕掛けていく。

 俺も鉄を消費して即席の剣を生成。鍛冶スキルを持っているわけではないので、かなり不格好だか……ダメージくらいなら与えられるさ!


 接近して、シックザールを挟み撃ちにした。


 これなら!!



「ナイスだ、ラスティ!」

「ナハト、同時攻撃だ!」



 ナハトの魔剣ヘルシャフト。そして、俺の鉄の剣が同時にシックザールに。


 これならヤツは逃げられないだろう!


 大きなダメージを負うことは必至。

 全力で振りかぶると――。




 突然、まばゆい光に包まれ視界を奪われた。――く、うああああああッ!?




白銀の陽光(サンシャイン )!」



 くそ! なにも見えねえ!


 シックザールの野郎、逃げる気か……!


 しばらくして視界が戻ると、そこにはシックザールの姿はなかった。




「くそっ、逃げられたか!」




 地面に魔剣を突き立てるナハトは、悔しそうに唇を噛んでいた。という俺も、まさか逃げられるとは思わず困惑するしかなかった。

 あの男、引き際を弁えているというか……単に命が惜しかったのか。


 だが、人数さえいれば勝てる可能性があると分かった。



 直後、ルドミラたちが到着。



「ラスティくん!!」

「ルドミラ、こっちは平気だ」


「聞きましたよ。アレグロ枢機卿が生きていたと!」

「そうだ。あの男が全ての元凶だ。そして、ナハトの追い求めている人がそこにいるはずだ」


「……そうでしたか。で、ヤツは?」

「逃げた。逃走されるとは想定外だ」


「なるほど、では直ぐにレオポルド騎士団にこのことを説明しておきましょう。彼らも動いてくれるはず。元騎士団長の顔パスで何とかなるはずですから」


「解かった。ちなみにアレグロ枢機卿の本当の名はシックザールだ」

「理解しました。それでは」


 と、元気な笑顔を見せるルドミラは、さっそくと騎士団へ向かっていった。よし、これでシックザールを見つけやすいぞ。


 世界ギルドにも協力してもらおう。

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