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無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
世界聖書編(最終章改二)

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白銀の世界聖書 - アルゲントゥム -

 魔剣ヘルシャフトをナハトに返し、俺は即座に『+10覚醒ヴェラチュール』を武器召喚。

 アレグロ枢機卿は不敵に笑いつつも、ゆっくりと歩いてくる。



「陛下……いや、ラスティよ。お前は本気で皇帝として帝国を守る気か?」

「何を今更。まあ最初は気乗りしなかったさ。でも聖戦で決まった以上は、最後まで責任を持つ」


 そうだ。かつて無人島だった『島国ラルゴ』も、そして生まれ故郷であるドヴォルザーク帝国も――全部、俺が守る。



「そうか。お前も支配を望むか」

「違う! 俺が望むのは自由だ」


「果たして現状が自由と呼べるかな。元元老院議長マルクスが言っていたように、共和政にすべきなのだよ」


「もしかしてお前が吹き込んだのか!」


「そうとも。我が世界も、この世界も全て共和政にすべきなのだ。民が選び、独裁を避けて権力者を選定する。私は何も間違ったことは言っていない」



 そのままの意味なら問題ないだろう。だが、コイツ等は明らかに“暴力”に訴えていた。マルクスは『古代魔導兵器インドラ』を使ったんだぞ……!


 それのどこが共和政なのか!


 結局は恐怖で支配して、従わせているだけじゃないか!


 そして多分だけど、ナハトも俺の意見と同じはず。



「ふざけるな、シックザール! なにが共和政だ! 貴様は俺の世界を散々かき乱し、巨大塔トロイメライを建造し……世界を我が物にしていたじゃないかッ!」



 と、ナハトは語気を強めて言った。

 やはり、別の世界では悲惨なことになっていたんじゃないか。



「ああ、そうとも。あの世界は私のモノになった。だから、次の世界に移った……! いや、世界はもともとは“ひとつ”だったのだ。それを世界聖書(ウルガタ)で再びひとつに(まと)めようというのだ! 何が悪い!」



 なんだって……世界がひとつだった?

 もしかしたら、ナハトがここに来れたのも偶然ではないのかもしれない。そういえば、さっきスコルが世界聖書(ウルガタ)のアカシックレコードで過去・現在・未来を読み取っていたな。


 そうか、その謎が解けたんだな!


 あとで教えて貰わねば。



「枢機卿、お前が何を企んでいるのか知らんが……俺は今の時代が好きなんだ。好き勝手はさせないぞ」


「ほう? ラスティ、お前はこんな不完全な世界でいいのか!? 魔物が無限に出現しつづけるこんな危険な世界でいいのか!?」


「勝手に決めつけるな。もういい、お前を倒すだけだ! アレグロ枢機卿――いや、シックザール!」



 俺はその場で+10覚醒ヴェラチュールを投げつけて、風属性魔法スキル『サンダーボルト』を放った。


 光の速さでぶっ飛ぶ槍は、シックザールの胸を貫通しそうになったが回避された。しかし、その直後にサンダーボルトが嵐のごとく走った。



「やるな、ラスティ! だが、我が『白銀の世界聖書(アルゲントゥム)』の前では、その程度のスキルは無効化されるのだよ。――ディスペルッ!」



[ディスペル]

[効果]

 あらゆる魔法スキルを解除・無効化する。

 1回の使用で膨大な魔力を消費する。

 一部特殊なスキルは解除・無効化できない場合がある。



 くそッ! ディスペルかよ!

 俺のサンダーボルトが弾け飛び、無となった。

 ということは、魔法スキルは使えないってことか……!



「ラスティ! ジックザールは、あの白銀の世界聖書(アルゲントゥム)でディスペルやら厄介なスキルを使ってくる。俺はそれで敗北した」



 なるほどね。SSS級魔剣持ちのナハトが負けるわけだ。

 まさか元枢機卿が“世界聖書”を所持しているとも思いもしなかったが。多分、リザレクションの力も、あの本を頼っているに違いない。


 くそう、面倒な野郎だ。



「じゃあ、物理攻撃でいくしかないよな!」

「なにも分かっておらんな、ラスティ!」


「なに?」


「精々がんばってみるがいいさ」



 コイツ! いいさ、俺は接近戦もそれなりに出来るんだからな。



「まて、ラスティ。ここは俺がいく。お前はその間に対策を考えてくれ!」

「ナハト……解かった!」



 そうだな。ナハトに動いてもらい、シックザールのスキルを見極めてからでも遅くはないな。スコルもいるんだ、慎重にいかねば。

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