魔力回復ポーションを飲みまくれ!
クラウスの斬撃スキル『ソニックブーム』を躱しつつ、無人島開発スキルを発動。在庫の『土』100個を消費して地面から壁を生やした。
だが、その壁をもソニックブームで粉々にされてしまう。
「こざかしいマネを!!」
何度も斬撃を飛ばしてくる。
なるほど、それなりに耐性のある壁なのだが――やはり、ダメか。
かと言って『鉄』はもう在庫がほとんどない。
僅かしかないので無駄には使用できないのだ。
「教えろ、クラウス!」
「なにを?」
「お前なぜドヴォルザーク帝国を支配したい!」
話をしつつ、俺はその間に作戦を練る……!
「ふんっ! 前回の『聖戦』の結果が気に食わないからだ!」
「つまり、俺が皇帝に相応しくないと?」
「そうだ! あの聖戦は正しいものではなかった。それに、お前のやる気のなさ。噂に聞いたぞ。お前自身は皇帝を望んでいなかったと!!」
どこで聞いたのやら。
そうだ。俺はあんまり乗り気ではなかった。
でも、ドヴォルザーク帝国は俺の故郷でもある。
放ってはおけなかった。
ソニックブームを避けつつ、俺は次の手を放つ。
「落とし穴!」
「小癪な!!」
ヤツの足元あるいは付近に落とし穴を生成していくが、ジャンプして避けられる。このままではスコル達も巻き込んで危険か。
だが、落とし穴は無駄に作ったわけではない。
この空間はあまりに遮蔽物がなさすぎた。
スコル達の安全性を高めるには『落とし穴』が一番だ。
俺はクラウスの周囲を走ってスコルとエドゥの元へ。
「いいか、エドゥ! 合図したら落とし穴に入れ」
「……! 了解しました」
よし、これで準備完了だ。
「なにをする気だ、ラスティ!」
「クラウス。お前は確かに騎士としては強い」
「そうだ。お前のヘナチョコな剣では勝てんぞ!」
ああ、そうだ。それだけは認めてやらんこともない。だがな、俺は別に騎士ではない! 騎士道精神もないし、仲間を守れればそれでいいんだよ。
――だから!
このポーションダンジョンで拾いまくった『魔力回復ポーション』を飲みまくって、俺は魔力を全回復した。
シグチュールから即座に『+10覚醒ヴェラチュール』へ変更。
ハヴァマール、力を借りるぜ!
「くらええええッ! ライトニングボルテックス……!」
風属性最強の魔法スキル。
こんな場所では危険すぎるが、そうも言っていられない。大技で決めるしか方法がない。
嵐のような稲妻は、渦となりクラウスに激突。
「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」
何度も雷撃を与え、徹底的なまでに体を痺れさせた。そして、体を何百回転もさせて壁に衝突。その場に倒れた。
スコル達は、俺の作った『落とし穴』に避難していた。
よかった。
ディミトリーは?
奴も俺の落とし穴に隠れていたか!
「…………バカな。あのクラウスが負けるとは……」
悔しそうに唇を噛むディミトリーは、顔半分だけ出して状況を伺っていた。さて、あの野郎も叩きのめさねばな。
「おい、ディミトリー!」
「ひぃぃぃ! ど、どうか命だけは!!」
腰を抜かすディミトリーは俺に恐れて顔を青くした。ようやく観念したかな。
けれど。
「ラスティ!!」
シベリウスが俺の前に立ち――『グシャッ』と肉を切り裂くような音が。
…………え。
「シベリウス!! お前!!」




