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無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
世界聖書編(最終章改二)

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ついに現れた“本物”

 行方不明になっていたシベリウスは、そこにいた。


 よかった、とりあえず生きていて。けど、罠だって……?



「どういうことだ、シベリウス!」

「クラウスとディミトリーは……」



 なにかを必死に訴えているが聞こえない。耳を澄まそうとしても、オークオブザデッドが大斧を俺の目の前に叩き落してきた。



『ズンッ!』



 地面が揺れるほどの衝撃。地面は大きな亀裂ができ、その攻撃力を物語っていた。……くっ、シベリウスの救出は後だ。


 今はこのオークオブザデッドの討伐に専念せねば――!


 遠距離でホーリーアークを飛ばすスコル。けれど、決定打にはなっていない。聖女の力でもダメなら俺がなんとかするしかないな。


 猛スピードで突撃し、シグチュールの刃を振るってオークオブザデッドの腹を斬った。



「このォ!!」

『グゥゥゥ……!』



 手ごたえは(わず)か。

 やはり、不死のボスモンスターだけあって厄介だな。ライトニングボルトとサンダーボルトも加えていくが――ダメだ。


 ならばこれしかないか!



「聖槍グングニル!!」



 幸い、ここは『ポーションダンジョン』だ。魔力の回復なら何とかなるさ――!


 フルパワーでグングニルを投げつけた。

 近距離だったから、一瞬で到達する。オークオブザデッドの頭部を破壊。ヤツはそのままぶっ倒れた。


 ズンッと倒壊するように崩れ、オークオブザデッドは(ちり)となりはじめていた。



「わぁ! ラスティさん、やりましたね!」



 エドゥに守られるスコルは、ピョンピョン飛び跳ねて自分のことのように喜ぶ。よかった、二人とも無事だな。



「ああ! 次はシベリウスだ」



 すぐに助けに行こうとするが“地面”から見知った顔が現れた。

 先ほどのオークオブザデッドが召喚されたように、底からクラウスとディミトリーが姿を現したんだ。



「そんなところにいたのか!」



 二人は不敵に笑い、俺を認識した。



「ラスティ、久しぶりだな」

「クラウス、お前は“本物”か……?」


「そうとも。こんなダンジョンに身を潜めるハメになったのだぞ。お前のせいでな!」



 おそらく、クラウスは俺が発令した『世界討伐』に怒っているのだろう。ディミトリーも同様に「ニセモノはほとんどが狩り尽くされた……」と(なげ)いていた。



 どうやらコイツ等は本物らしいな!


 ここで捕縛すれば今度こそ事件解決だ。



 シグチュールを再び召喚し、俺は構えた。



「クラウス! まずはシベリウスを解放しろ!」

「上級監督官は人質だ。そう安々と自由にしてなるものか。――それより、騎士の決闘に則り一対一(サシ)で勝負しないか?」



 そう提案するクラウス。確かにこの男はレオポルド騎士団の元騎士。一応、騎士としての矜持(きょうじ)はあるようだな。


 早くも鞘から剣を抜き片手で構えるクラウス。



「いいだろう。お前を倒し、元老院を正す!」

「ふん。元老院などどうでもよい。それより……」



 クラウスは、俺の背後にいるスコルに視線を向けた。……まさか!



「てめえ!」

「気づいたか、ラスティ。そうだ、俺の目的は最初からその聖女。これは『世界聖書(ウルガタ)』を奪う為の計画だったのだよ……!!」



 そういうことかよ!

 けどな、スコルには指一本触れさせやしないッ!! 絶対にだ!!

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