迷宮ダンジョンを突破せよ
ヒューゴとネリネから重大で重要な情報をもらって、二人と別れた。
俺、スコル、エドゥはポーションダンジョンの奥へ進んでいく。
迷宮だから迷うと面倒臭そうだ。
エドゥは迷わないようにと、魔法スキルで『×』の目印をつけてくれた。これなら迷いにくい――はずだ。
リビングデッドを浄化しながら先へ歩いていく。
もう俺たちの敵ではないな。
聖属性の付与された剣タイプのシグチュールなら、余裕で撃破できた。
なるほど、この剣で攻撃すりゃいいわけだ。ラクチン。
「あ、またポーションが落ちています!」
スコルは地面に落ちているポーションを拾い集めていく。体力回復ポーション、魔力回復ポーションが普通に落ちているものだから、飲めば回復できた。
なんだか、難易度的には楽に思えてしまうな。
ここでポーションを集めまくれば、帝国でも売りさばけるし、金策にももってこいのダンジョンだな。
しかし、今はシベリウスの救出が優先だ。それに、クラウスとディミトリーがいるかもしれない。そっちも気になった。
「それにしても……どこがゴールだ?」
今のところスタート地点に戻るようなことはないが、同じ場所をずっとグルグル歩いているような。
俺の背中にしがみつくエドゥは「この迷宮はかなり広いようです。ダンジョンマップがないと攻略が難しいかもしれません」と言った。
そんなものがあるんだな。
確かにマップがあったら楽々かも。
「どうやって手に入れるんだ?」
「そうですね。スコル様の世界聖書とか」
「え?」
スコルの世界聖書にマップ機能があったのか?
俺はスコルの方へ振り向く。
すると慌てて頬を赤く染めていた。
「えとえと、わたし……詳しくなくて。中身、見てみます?」
「いや、エルフ語だから俺は読めないって」
「そうでした。では読んでみますね」
世界聖書を召喚するスコルは、ページをめくっていく。どこかにマップ機能があるのだろうか。
「どうだ?」
「……ありました! ダンジョン内のマップを記録するという能力が!」
「おぉ! それを使おう」
「解かりました。さっそくマップの記録を開始します」
一瞬だけ光る世界聖書。これでいいらしい。
さっそく歩いてみると、ページには確かに通った道が自動で記されていた。このマッピング機能は便利だな!
これなら迷うことなくゴールにたどり着けるはず。
モンスターを倒しながら進んでいく。
◆
「――よし、ゴールが見えてきた!」
ダンジョンマップのおかげで迷うことなく最後の場所にたどり着いた。ただ、時間もかなり掛かってしまい、半日は要しただろうか。
ポーションダンジョン、恐るべし。
てか、シベリウスと議員共はどうやってここまで来たんだ? なにか別の方法でもあるのだろうか。
疑問に思いながらも、奥の部屋が見えた。
そこには大きな扉があった。
「ラスティ様。あの扉の奥はポーションダンジョンの最深部のようです」
「ほう? エドゥ、それはつまりどういうことだ?」
「ボスモンスターの部屋でしょう」
やっぱり、そうか。
ダンジョンといえばボスモンスターがいるのが普通だ。
なら、シベリウスたちもこの奥だ。
俺は扉を開けた。
『ギイイイィィ……』
その古めかしい音と共に扉は開いていく。その中には――。




