ポーションダンジョンの秘密
召喚武器ゲイルチュールのまま、風属性魔法スキル『サンダーボルト』を放つ。
強烈な稲妻がリビングデッドの頭上に降り注ぎ、確かなダメージを与えた。
『ギョオオオオオオォォォ……』
一瞬で丸焦げになった。
「お? 思ったよりはたいしたことがなかったな」
動かなくなったところを見ると、どうやら倒したらしい。
「ありがとうございます!」
「助かりました!」
男女のペアパーティか。どちらも若く、冒険者って感じだった。
どうして襲われたのかと聞こうとすると――。
『ギョオオオオオオオオ!!』
リビングデッドが再び活動を再開し、冒険者二人組に襲い掛かっていた。……ちょ! マジか! まさか、まだ生きていたとは!
不死モンスターゆえの生命力か!
「「ぎゃああああああああ!!」」
恐ろしい形相に襲い掛かられ、男女の冒険者は叫んだ。
俺は直ぐに攻撃を仕掛けようとしたが、まばゆい光がリビングデッドに命中して吹き飛ばした。
「ホーリーアーク!」
これはスコルの新スキルじゃないか!
ナイス、おかげで助かったぜ。
やはりというか、なんというかリビンデッドは浄化されていた。なるほどね、聖属性攻撃が“弱点”というわけね。
今後は聖属性攻撃をした方が良さそうだな。
となると、剣形態のシグチュールの方がいいな。
聖属性が付与されているから。
「よくやった、スコル!」
「えへへっ。褒めてありがとうございますっ」
頬を朱色に染めて照れるスコルは可愛かった。
見とれていると冒険者二人組が割って入ってきた。
「あなたが神か!」
「命の恩人です!!」
若い青年もお姉さんも涙を流し、感謝していた。俺ってか、スコルが最終的には撃破してくれたんだけどな。
「礼ならスコルに言ってくれ」
「ありがとうございます!!」
「本当に助かりました!」
話を聞くとどうやら、二人ともドヴォルザーク帝国出身の冒険者らしく、青年の方は『ヒューゴ』、お姉さんの方は『ネリネ』というらしい。
二人は付き合っているようでカップルパーティということだ。
この二人はそこそこレベルが高いらしく、結婚資金を貯める為にフィールドで狩りをしていたようだった。
しかし、一昨日の朝、レオポルド騎士団や上級監督官の姿を発見。気になって追ってきてしまったらしい。
「君たち、危ないぞ。さっさと帰った方がいい」
俺は呆れながらも忠告した。
「そ、そうですね。そうします!」
ヒューゴは帰りますと素直に答えた。
二人ともポーションダンジョンを脱出することになった。
ここからなら安全に帰れるだろう。
「あ、そういえば」
ネリネが思い出したかのように、ある情報をくれた。
「ん?」
「実は、騎士団と上級監督官の他に人を見たんです!」
「え?」
「怪しい男の二人組でした。あれって多分、元老院の方だったような……」
多分そうだとネリネは記憶をたどっていた。隣のヒューゴは「ああ、お尋ね者のクラウス議員とディミトリー議員だろ」とハッキリと言った。
――って、まて!
「それ本当か!?」
「はい。私、見たんです。このダンジョンの奥地で!」
まさかこんな大穴に隠れていたとは。
てことは待てよ……!
シベリウスは、単に迷ったわけではなく、クラウスとディミトリーに襲われた可能性がある?
つか、こんな未知のダンジョンに隠れ潜んでいたとはな!
よし! このダンジョンの攻略を進めるぞ!




