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無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
世界聖書編(最終章改二)

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ポーションダンジョン

 エドゥに詳しいことを聞いた。

 未知のダンジョンは仮称『ポーションダンジョン』と言うらしい。なんだ、そりゃ。



「ダンジョン内にポーションがたくさん落ちているんです。なので、そう仮の名をつけたそうですね」



 淡々(たんたん)と説明するエドゥ。そういうことね。

 しかし、ポーションが落ちているダンジョンか。確かに聞いたことがないし、未知だな、そりゃ。


 そんなところにシベリウスは迷い込んだらしい。



「エドゥさん、そこって遠いんですか?」



 スコルが質問を投げる。



「ドヴォルザーク帝国の北北東。徒歩で半日、移動手段があれば一時間程度かと」



 つまり、馬車か騎乗モンスターが必要ってわけか。だがなぁ、今は世界規模の討伐イベントが実施されていて、どこも空いていないと聞く。


 だけど、徒歩で向かうわけにもいかんな。遠すぎて足が疲れちゃうし。



「テレポートは可能か?」

「残念ですが、上級監督官シベリウス様の指示でテレポート禁止エリアです」


「こんな時に……」



 余計なことをしたな、シベリウスめ。けど、未知のダンジョンだから調査が必要だったんだろうな。

 仕方ない、徒歩で向かうか。



 ハヴァマールおよびストレルカは待機。

 俺、スコル、エドゥで向かうことにした。



 城を出て、ドヴォルザーク帝国の街中を突き進んでいく。多くの冒険者とすれ違いながら、ようやく街の外へ出た。


 こういう時は、行商に交渉すればいいのさ。


 門の前にいる、いくつかの商人に声を掛けた。しかし、断られるばかり。やはり、偽者討伐の方が需要(じゅよう)あるようだな。



「わたしに任せてくださいっ!」

「いいのか、スコル」

「はい。たまには役に立ちたいんですっ」


 トコトコと歩いて行ってしまう、スコル。大丈夫かなぁ……心配だけど、見守るしかないな。

 スコルは、あっちこっちに聞きに回っていた


 さすが聖女というか、恐らく男の冒険者たちはスコルの美貌(びぼう)に見惚れ、ヘコヘコしているように見えた。いや、ありゃ確実にそうだな。

 なんかナンパしようとしているヤツもいるし。


 やがて、スコルは商人との交渉を終えて、その人と共にこちらへやってきた。



「お、スコル。その人は?」

「やりました! この男性はドルコス男爵で、現在は行商人のようです!」



 ド、ドルコス男爵って貴族ってことじゃないか。

 なんだかワケアリそうな服装ボロボロの中年男性だが……大丈夫なのだろうか。



「おぉ、新しい陛下ではありませんか!」

「あなたが馬車を出してくれるドルコス男爵?」

「はい。聖女スコル様のご要望とあらば、どこまでもお供いたします」



 どうやら彼はその昔、スコルに助けられた過去があるらしい。ほ~、そんなこともあったんだな。

 しかし、なんでこんな服装がボロいんだ?


「その、ドルコス男爵。貴族なのに貧相じゃないか?」

「……そうなのです。我が家は“没落貴族”ですので……お金がありません」


「なんだって!?」


「だからこうして、商人として働き……労働で対価を戴いて日銭を稼いでいるわけでございます」



 今の貴族は、自ら肉体労働に身を投じているものなのか……知らなかった。それとも、このドルコス男爵が特殊なのか? あまりにボロすぎて不憫(ふびん)に思ってしまった。



「どうしてそんな貧乏なんだよ」

「それは……。婚約していた相手に全てを奪われたからです」

「ひどいな」

「はい。悲しいですが、(だま)された私も悪いのです」



 なんて人だ。あまりにも可哀想だ。なんとかしてやりたいが、今はシベリウスの捜索が最優先である。

 スコルも同じように感じ取ったのか、彼を(あわ)れんでいた。

 少しでも足しにと『アリアーガ銅貨』をあげていた。




 男爵のボロ馬車に乗り、草原フィールドへ。

 おだやかな風が流れ、レベルの高くないモンスターがウロついている。この辺りは危険も少ないが、先へ行けば強いモンスターも出現する。気をつけていこう。


 しかし、馬車がすでに悲鳴をあげていた。ガッタガッタのボロボロで、今にも底が抜けそうな危険な香り。


 てか、馬もなんだかやる気がない。ちゃんと食べているのだろうか……。



「せめて馬には元気になってもらわないとな」



 アイテムボックスから回復ポーションを取り出す。これを馬に飲ませれば、元気になって走ってくれるだろう。

 馬車も俺の『無人島開発スキル』で新品のように修繕した。



「うぉぉ!? なんです、このスキル。凄いですね、陛下!」



 お祭り騒ぎのように喜ぶ男爵。めちゃくちゃ感謝された。……いや、別にいいんだけどさ。移動手段が欲しかったわけで、これくらいの礼はしないとね。

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