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無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
世界聖書編(最終章改二)

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金の宝箱と聖女

 鉄製チェーンを解除する俺。

 石のように沈黙するナハトは、黙ったまま立ち上がって殺気を消した。


「どうした、急に口数が減ったな」

「……ラスティ。俺にはお前の連れのような『聖女』がいた」


「なんだって……?」


「だが、彼女は消えてしまった。何者かが『新約・世界聖書(ウルガタ)』を使用したせいで……」



 新約・世界聖書(ウルガタ)で……?


 そんなことがあったのか。

 しかし、そんな効果があったのか。

 新約版は、法律だけを定める聖書ではないということか。やはり、スコルの持つ世界聖書(ウルガタ)と同じく、なにかしらのスキルを発動できるらしい。


 だとすれば、それを使用した人物とは……?



「分かった。なにか情報が得られれば直ぐに共有する。それでいいか?」

「本当か……!」


「ああ。俺は皇帝だ。常にいろんな情報が入ってくるのさ」

「なるほど。言われてみればそうだ。……解かった。ラスティ、今はお前を信じる」



 少し諦めたような表情でナハトは、左手を地面へ向けた。トレジャーハンドを発動すると『金の宝箱』が五個、十個、ニ十個とどんどん増えていった。


 最終的に上限の百個の宝箱が庭に置かれた。す、すごい光景だぞ、これは。


 あのゴールドダンジョンと大差がない。



「こ、これは……?」

「この中に木材が入っている。全部使っていい」


「マジか!」



 試しにひとつ開封してみると、中には『木材×100000』が入っていた。百個の宝箱があるから『10,000,000』分の木材があるってことだ。


 とんでもねえ数だ……!


 さすが(キコリ)というか、そんなに伐採(ばっさい)していたのか。逆にすげえな。



 いやしかし、これだけの木材があれば……バカ兄貴たちがやらかした建物を修理できるぞ。無人島開発スキルでな――!



 ◆



 俺は直ぐに行動へ移した。

 住民たちの声を聞き、必要な建物を修理。壊れないように強化した。


 ドヴォルザーク帝国の各地を歩いては、無人島開発スキルで直しまくった。だが、一日では不可能だ。


 結局、一週間も掛かってしまった。




 ほぼ全部の建物を修復完了した。




 スターバトマーテル城で俺はしばらく休憩。

 蓄積(ちくせき)しまくった疲労を浴場で回復させていた。



「――ふぅ、いいお湯だ」



 久しぶりの大浴場。だだっ広い浴槽(フロ)に俺は半身浸かって、日ごろの疲労を癒していた。


 ……はずだった。



「し、失礼します! ラスティさん!」



 急に声がして俺は振り向いた。



「ス、スコルぅ!?」



 そこにはバスタオルを巻いたスコルの姿があった。な、なんだと……! いや、過去にも何度もあった気がするけど、風呂に入られるのは久しぶりだな。



「えへへ、来ちゃいました」



 しかも、すでにシャワーを浴びているようだった。気配にまったく気づかなかった。……疲れているのかな、俺。


 けど、嬉しいな。

 こうして自ら来てくれるとは。


 隣にスコルが入ってきた。

 しかもバスタオルを取って入浴。俺は瞬間で天井を向いた。


 ……ちょ、ちょぉ!?


 心の準備がまったくできていなかったぞ!


 心臓がバクバクしている。


 さてはて、どうしたものか……。



「た、建物が直ってよかったよ」

「そうですね。ドヴォルザーク帝国の皆さん、喜んでました!」



 そのせいか、民からの支持が絶大となってしまった。これでは俺は、簡単に皇帝を降りられないな。本当は誰かに席を譲るつもりだったんだけどなぁ……。

 しかし、帝国は故郷でもある。見捨てるなんてマネはできないな。


 この国を正常にし、立て直さなければならない。


 あと残る問題は、クラウスとディミトリーか。


 今もなお、世界規模の偽者討伐は続いている。あれから、かなり撃破されていると報告を受けていた。


 そろそろ、世界ギルドへ向かい聞いてみるか。

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