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無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
世界聖書編(最終章改二)

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最高の料理

 一同食堂へ集まり、夕食タイム。

 席に着き、スコルとハヴァマール、そしてストレルカの顔を確認。そこにエドゥの姿はない。

 彼女には一度、ドヴォルザーク帝国の様子を見に行ってもらっている。


 向こうの情報も必要だし、俺のいない間の動きが気になる。元老院の動向もな。



「お食事にございます、ラスティ様」



 アルフレッドが器用にたくさんのお皿を運ぶ。腕にまで乗せ、絶妙なバランスを(たも)っている。正直、曲芸師(きょくげいし)になれると思う。そういうレベルだ。


 良い匂いが(ただよ)うお皿が長テーブルの上に次々に並べられていく。



「おぉ、これはまさか」

「はい。ラスティ様の好物、スルトドラゴンのハンバーグでございます」



 やはりか!

 第三皇子時代――子供のころからアルフレッドは、これをよく作ってくれた。肉汁とデミグラスソースたっぷりの濃い味でめちゃくちゃ美味いんだよなぁ、これ。



「わ~、すごく美味しそうですっ」

「スコル、それはスルトドラゴンのハンバーグだ」

「スルトドラゴン?」



 俺はスルトドラゴンについて教えてあげた。

 極東の大陸に住む黒いドラゴンだ。

 なぜか人間のみを襲い、対象を一撃で消し炭にする黒い炎を吐く、恐ろしく凶悪なモンスターであり、世界ギルドの討伐対象になっている。

 倒した冒険者には莫大(ばくだい)な報酬が支払われるほどと有名だ。

 そして、その肉は高く売れる。美味とされている。

 上級者向けの討伐クエストというわけだ。



「というわけさ。犠牲者(ぎせいしゃ)も多く出ているから、討伐対象なのさ」

「そうなのですね」


 鉄板の上でじゅうじゅうと耳心地のよい音が(ひび)く。

 冷めないうちに食べてしまおう。


「いただきますなのだ~!」


 みんなよりも先にハヴァマールが元気よく声を上げる。俺たちも続いていく。


 ナイフとフォークを手にし、さっそくハンバーグを切り分けていった。そして、一口サイズに切り刻んだところで口へ運ぶ。


 その瞬間には肉汁とソースが絡み合って、舌の上で踊った。



 んまああああ~~~~ッ!



「ん~、これこれ! この味だよ」



 子供のころから変わらない濃密(のうみつ)な味。アルフレッド自家製のデミグラスソースがたまらん。これがある限り、どんな肉でも上手くなる。



「こ、これは……!」



 手を止めるストレルカは、衝撃を受けていたようだった。

 貴族でも、このハンバーグは味わったことがなかったらしい。というか、これはアルフレッドの特製だからなぁ。

 そう食べることはできない代物なのである。



「どうだ、ストレルカ」

「は、はい……アルフレッド様の作るハンバーグ、とても美味しいです。ほっぺたが落ちてしまいそうです」


 頬を朱色に染め、天にも昇るような表情を浮かべる。やはり、このハンバーグは人類を幸せにできるな。いつか、アルフレッドのお店を出すべきだろうか。島国ラルゴ限定で。


 料理を楽しんでいく。

 ハンバーグだけでなく、甘い野菜やスープも味わっていく。心行くまで食事をして、いつの間にか食べ終わっていた。



「――ふぅ」

「とても美味しかったです!」



 満足そうに食後の紅茶を楽しむスコルは、料理のことをずっと()めていた。アルフレッドも本望だろうな。という俺も誇らしい。


 やはり、島国ラルゴでの生活は最高だな!


 できることならドヴォルザーク帝国の騒動はさっさと終わらせて、ゆっくりしたいね。

 しかしクラウスとディミトリーを探し出さねば終わらない。無限ループだ。


 なんとかしないとなぁ……。

 どうしようか?

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