無人島開発スキルで即復興!!
どうやら防衛設備や兵器が発動し、ある程度の雑魚モンスターは処理してくれていたようだった。
残っていたのは強いモンスターだけで、それらが街に集結してしまったらしい。
人的被害はなく、建物が何十棟も破壊された。だが、これなら俺の『無人島開発スキル』で修理可能だ。
幸いにも島国ラルゴには『木材』の緊急用備蓄があった。
こういうモンスター被害があった場合に備えていた。
城の外に設置してある倉庫から木材を取り出し、全て再建の為に当てた。
「ありがとう、ラスティ様!」「おぉ、建物が元通りだ!」「家具まで戻ってるぞ」「こりゃ、すげえ……」「奇跡かな」「瓦礫の山だったのに驚きだ」「ラスティ様がいて良かったよ」
などなど歓喜に沸く住人たち。
その感想を聞けただけで俺は満足だ。
「すっかり元通りですね!」
完全に復元された街並みに、スコルも喜ぶ。
なぜかクタクタになっているエドゥは、俺に寄りかかってきた。疲れすぎだろう。本当に朝に弱いんだな。
とにかく、これで呪符によって召喚されたモンスターの討伐は完了した。街は安全になった。
港へ引き返すと、重軽傷者は病院へ運ばれていたところだった。
「あ、兄上!」
「ハヴァマール、こっちの状況は?」
「残念だが死者も多数なのだ……」
深刻な表情でそう状況を報告してくれた。
島の防衛兵器では対処できなかったモンスターにやられてしまったか。『無人島開発スキル』によると、そもそもかなりの数のモンスターを呪符召喚していたようだな。
雑魚モンスターこそ処理されていたが、やはりすり抜けた凶悪モンスターによって甚大な被害を齎したようだな。
「そうか……」
スコルの蘇生スキル『リザレクション』で蘇らせればいいのだが――あの奇跡は、アルフレッドの時を最後に発動していない。スコル自身も何度も試したが、今のところ使用できたことはないようだ。発動条件があるのかもしれないな。
こうなっては、弔ってやるしかない。
教会と冒険者ギルドの力も借り、犠牲者を移送した。
港は俺のスキルで即座に元通りにした。
今度はモンスター撃退の為の防衛兵器も設置して。かなりの数を置いた。これでもう安心だろう。それと島民の意向もあって自警団の結成も決まった。
少しは防衛力も高まった。
それから軽症者の証言から、呪符を使ったのは“高貴な服装をした二人組”ということが判明した。
片方は騎士っぽい雰囲気。もう片方は痩せ細った怪しい男。
特徴が明らかにクラウスとディミトリーでしかない。
決まりだ。あの二人が港で呪符を使用。モンスターを限界まであふれさせ、島国ラルゴを攻撃したのだ。
「……ヒドイですね」
口元を押さえ、ストレルカは愕然としていた。いや、スコルやハヴァマールも同じようにショックを受けていた。
俺も今回の奇襲には参っていた。まさか島国ラルゴに被害が出るとはな。ここまでするとは!
「もう許せん。直ぐに見つけて裁きを受けさせる」
「兄上、島民の情報によれば近くの無人島に潜伏している可能性がある。ストレルカの船で向かうのだ」
「ああ、それが目的だった。今からなら出発できる。行くぞ」
今度こそ船に乗り、無人島を捜索する――!




