街の被害甚大!! カオスコボルトを止めろ
街中に溢れかえったモンスターの群団は、大暴れ。武器で物理攻撃あるいは魔法スキルを発動してメチャクチャにしていた。
なんてことを!
怒りが爆発した俺は、複数のサンダーボルトを一斉に放ちモンスターの頭上に落とした。
凄まじい轟雷が嵐のように吹き荒れる。確かな手応えを感じた。
「今日も一段と激しいですね、ラスティさん!」
拍手をするスコル。そんな褒められると照れるな。
元々はハヴァマールから教わった風属性スキル。あれから更に磨きも掛かり、スキル練度もかなり上昇。火力はマックスに近い状態となった。
一般モンスターなら、まず一撃だ。
なので雑魚は蹴散らすことができた。
「よし、半分は消し飛ばした。あとは強いモンスターが残っているな」
「わたしも戦います」
と、スコルは聖属性魔法スキル『ホーリークロス』を放ち、十字の光をモンスターに浴びせた。高火力のダメージを与え、一瞬で浄化する。さすが聖女の力。
逃げ惑う人々や、転んでモンスターに襲われそうになった子供も救出。
「では、自分も」
エドゥが動き出す。大賢者の力を久しぶりに見られるな。
「頼む」
微笑むエドゥは右腕を伸ばして「ソウルテレキネシス!」と叫ぶ。深緑のオーラが広がると、高レベルのモンスターを一撃で粉砕した。
つ、強ぇ……! さすが大賢者様だぜ。
おかげでかなりモンスターを減らせた。残るは一体。ボスモンスターだ。
「あの禍々しいコボルトはなんだ……!?」
闇のオーラを纏う巨大なコボルト。目つきが悪魔のように赤く、不気味だ。しかも、手に持つ『鈍器』で一軒家を薙ぎ払っていた。
な、なんだあの武器。すげぇトゲトゲだ。
モンスターの詳細が飛んできた。
[カオスコボルト]
[詳細]
取り巻きを持たない単独ボス。
巨大で危険なコボルト。鈍器は『パルチザンメイス』。この攻撃力は凄まじく、受けると大量出血する場合があり非常に危険。
体力が危険域に達した場合、バーサーク状態となり狂暴性を底上げする。
「ハヴァマールさんからモンスター解析スキルを教わりました」
淡々と経緯を教えてくれるエドゥ。なるほどね、いつの間にか伝授を受けていたのだな。
しかし、カオスコボルトとはな。かなり凶悪そうな見た目をしているが、その通りだったか。今も尚、建物を破壊しまくっているし。止めないと被害が拡大するばかりだ。……クソ。
+10覚醒ヴェラチュールに変え、俺は武器の形態と攻撃力を高めた。これでいくしかない。
スコルの支援スキルを受けながらも、俺は更に火力を上げた。
『…………ッッ!』
カオスコボルトは膨大な魔力に反応し、俺の方を振り向く。ぐ、ぐぅ……なんて殺気だ。あんなのが『呪符』から召喚されるとはな。
ズシンズシンと重苦しい足音を響かせながら、こちらに向かってくる。
俺は+10覚醒ヴェラチュールを投げつけた。
「いっけえええええッ! ヴェラチュール!」
光と闇を包む槍は、カオスコボルトの腹部目掛けて飛んでいく。しかし、ヤツはパルチザンメイスで防御した。
お、おい……マジかよ!
「ラスティさんのあの武器を受け止めるだなんて……」
ありえない光景にスコルがそう声を漏らす。俺もビックリした。まさか+10覚醒ヴェラチュールを受け止めるモンスターがいるとは。
ボスモンスターとはいえ、これは驚きだ。
しかし、俺はまだ本命のスキルを発動していない。
「大丈夫だ、スコル。この槍の真価はこれにある……! ダークエネルギー発動!」
これで更なる火力アップ。ほとんど全てのステータスも大幅に上昇。火力だけではない、速度やクリティカルなどなど様々な補正が急上昇した。
もはや神の雷となった+10覚醒ヴェラチュールは、カオスコボルトの鈍器を破壊。そのまま腹を貫いた。
『グアァァァァァ…………!』
雄叫びを上げ、カオスコボルトはついに撃沈。撃破した。
これで全部倒したぞ!




