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無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
世界聖書編(最終章改二)

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『無人島』調査開始!!

 いったん城へ帰り、俺はそのまま大広間へ()かった。

 腹が減ってはなんとやら。朝食くらいは食っておこうと足を運ぶ。中へ入ると、すでにスコル、ハヴァマール、ストレルカが談笑していた。

 俺の存在に気づくと、三人とも挨拶(あいさつ)をしてくれた。俺も挨拶を返す。


「おはよう、みんな」


 席に着くと良い匂いがした。

 おぉ、これはアルフレッドが作った朝食のクロワッサンだな。クリームがたっぷり詰められており、甘いニオイがした。

 それと島国ラルゴで作り始めたというコーヒー。豆から作っているという。

 香りが違うし、この分だときちんと焙煎(ばいせん)までしているようだな。



「すっごく美味しいのだ、兄上!」



 声を(はず)ませるハヴァマール。もぐもぐと小動物のようにクリーム入りのクロワッサンを食す。そんなに美味そうにされると、コーヒーをすっ飛ばして先に食したくなった。

 ――ので、俺はまずはクロワッサンからいただくことにした。



「どれどれ……うまッ!」



 口の中に絶妙な甘さのクリームが交響曲(シンフォニー)(かな)でた。……すげぇ、クロワッサンがサクサクでクリームも程よい甘さ。甘すぎず丁度いい塩梅(あんばい)だ。


 そこへブラックコーヒーを流し込む。

 んまぁ……! 幸せかよ。


 祝福されたような気分になり、涙が出そうになった。アルフレッドの作る朝食は最強だな。さすが万能執事だぜ。



「お気に召したようでよかったです、ラスティ様」



 遠くから俺たちを見守るアルフレッドは、満足げにうなずく。

 城を空けていた間、料理スキルを上げまくったな! 素晴らしいことだ。


 全て美味しくいただき、席を立つ。

 さて、出かけるとしようか。


 俺はみんなに、この島国ラルゴ周辺の『無人島』にクラウスとディミトリーが(ひそ)んでいるかもしれないことを話した。


 事情を話すとストレルカが「では船を出しましょう」と言ってくれた。



「頼むよ、ストレルカ」

「準備を進めますね」


「ああ、俺たちも一緒に向かうよ」



 どのみち港へ向かうなら、みんなで向かう方がいいだろう。あとはエドゥを待つだけだが……まだ起きてこないのか。



「エドゥさんは朝が弱いみたいです」



 スコルがそう教えてくれる。そうらしいな。

 しかし、大賢者の力が必要だ。

 仕方ないので、スコルとハヴァマールを連れて部屋へ向かうことにした。


 通路を歩いて二階の部屋へ。

 扉をノックするものの……反応なし。

 悪いとは思いつつも扉を開けた。


 部屋の中に入ると、ベッドから逆さまになって寝ているエドゥの姿があった。あーあ、寝間着(パジャマ)があんなに乱れて、おへそが見えているぞ。寝相(ねぞう)悪すぎだろう。

 こんな、だらしない光景を見たのは初めてだ。

 今まで寝ているところを見たことなかったが、毎朝こんなことになっていたとは。ルドミラの苦労が(うかが)えるな。



「…………にゅぅ」



 いったい全体どうなっているんだか。



「おーい、エドゥ。出かけるぞ」

「……ふぁい」



 少し反応を見せる。しかし、起きそうにないな。

 時間ももったいないので、背負(せお)ってでも連れていくことにした。

 俺はエドゥの体勢を立て直し、おぶった。軽すぎて(おどろ)いた。小柄(こがら)な少女だから当然だろうけど、ここまでとはね。



「…………」



 スコルの妙な視線が(つらぬ)いてくる。こ、これはなんだろう。いつもとちょっと違う。



「どうした、スコル」

「い、いえ。エドゥさん、起きないですもんね……」

「ああ、船で寝かせるよ」

「うぅ、うらやましいですぅ」


「え?」


「な、なんでもありません」



 頬を赤くしてスコルは、俺から視線を外す。……ま、まさか()いているのか? それはそれで嬉しいような。

 今度、スコルをおんぶしてみようかな……。



 ◆



 城を去り、島国ラルゴの港へ向かう。俺はエドゥをぶったままだ。

 背後にはスコル、ハヴァマール、ストレルカがついてくる。


 船に乗り、周辺の無人島を調査。クラウスとディミトリ―を発見次第、捕縛(ほばく)する。それしかない。



 ――そう思ったが。



 港でとんでもない“事件”が起きていた。

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