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無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
世界聖書編(最終章改二)

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魔導部隊隊長の男

 クラウスは不敵(ふてき)に笑いつつも、こちらに手のひらを向ける。いつでも戦闘ができるぞっという意思表示だろう。コイツ、やる気満々だな。


「で、その計画ってなんだよ」

「まずは“我が国”を建国する」

「なに……?」


 小さな島から少しずつ勢力を広げていくつもりらしい。

 気に入った女性のみを集めてハーレム帝国を作るとかなんとか言い出して、俺もみんなも引いた。


「というわけでね。ドヴォルザーク帝国には愛想(あいそ)が尽きたのだよ」

「そうかよ。なら、もう戻ってくるな」


 そう言い返すとクラウスは笑った。


「はは! ドヴォルザーク帝国はいずれ支配するさ」

「やっぱり……!」


「だが、まずは国を作り上げて優秀な子孫を残さねばならん」


 それで婚約ゲームだとか、ワケのわからんことをやっていたのか。ヨハンナさんやカルデラさんの気持ちをもてあそんで……最低な男だ。


「そうか。そんなことで枢機卿を殺め、シベリウスを傷つけたわけか!」


「そう思うのなら勝手にそう思えばいい。それよりも、この島に用はなくなった。お前たちに居場所をバレてしまったからな」



 少しずつ距離を取るクラウス。コイツ、逃げる気か!

 そうはさせないと、俺はゲイルチュールを投げつけた。

 クルクルと舞う俺の武器は、クラウスに激突しそうになったものの――防御魔法によって(はば)まれた。


 これは……!



「大変なのだ、兄上! あの防御魔法は、かなり高位のもの。簡単には(やぶ)れないのだ!」


 (あわ)てるハヴァマールは、そのように解説してくれた。高位の防御魔法だと……? いや、だけど事実俺のゲイルチュールの攻撃を(ふせ)いでいた。

 通常の防御魔法でガードするのは不可能だ。

 つまり、あれは相当な防御力ということだ。


 更に攻撃を加えようとしたが、クラウスの前に男が現れた。あれはまさか。



「危なかったですねえ、クラウス議員」

「君の防御魔法のおかげで助かったよ、ディミトリ―」



 そうか、あの高位の防御魔法はディミトリーのスキルだったのか。あの男は防御に特化しているのかもしれない。



「ど、どうします?」


 背後から声を掛けてくるスコル。もちろん、逃がすワケにはいかない。みんなの力を借り、クラウスだけでも捕縛(ほばく)する。



「みんな! あのクラウスだけでも止めるんだ」



 おおう、と賛同(さんどう)してくれるみんな。

 よし、このままヤツを捕らえてやる。

 しかし、ディミトリ―が声高らかに笑った。


「ハハハ! 止めるですって? 陛下ァ、私はねぇ……議員になる前は、前皇帝陛下直下の魔導部隊隊長を(つと)めていたんですよねぇ。陛下の盾になる為の防御専門でしたが……要人を逃がす為の転移魔法も研究済み。つまりですな――」



 指を鳴らすディミトリ―は、一瞬でテレポートを開始した。……くそう、転移系スキルも使えたのかよ。しかも。



「エドゥ、追跡は!?」

「……不可能です。ディミトリー議員は、自分と同じ『グロリアステレポート』を使っていましたので」



 よりによって大賢者のスキルかよ。

 取り逃がしてしまったか。



「大変なことになりましたね……」



 ぽつりとつぶやくストレルカは、燃え盛る小屋を水属性魔法を使い消化していた。おかげで大きな火災にならずに済んだ。



「ああ……。あの二人はどこかで国を作り、島国ラルゴやドヴォルザーク帝国に攻めてくるつもりだ」



 一刻(いっこく)も早く追わねばならんな。そう思っているとハヴァマールが落ち着きのない雰囲気で言葉を振り(しぼ)った。



「だが、兄上。奴らの居場所は分からんのだ。どうするのだ?」

「一度、島国ラルゴの様子を見に行く。エドゥ、座標(ざひょう)あるだろ?」



 コクリと静かにうなずくエドゥ。俺たちは再びエドゥの肩に触れた。よし、久しぶりに帰郷(ききょう)するぞ。俺たちの国へ……!

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