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無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
世界聖書編(最終章改二)

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エルフ語で書かれた『ゴールドダンジョン』の謎

世界聖書(ウルガタ)、そんなモノがあるから……!」



 ナハトという少年は俺に襲い掛かってくるかと思いきや、スコルの世界聖書(ウルガタ)を狙っていた。もちろん、させるわけがなかった。


 ゲイルチュールでナハトの魔剣を受け止めた。



「なんだ、この程度か」

「慢心したなラスティ」

「なに……?」



地獄の業火(ヘルブレイズ)ッ!!」



 魔剣ヘルシャフトから黒い炎があふれ出てくる。このまま大爆発を起こすタイプのスキルか――!


 ピンチかと思われたが、ルドミラが黙っていなかった。



「なにをしているのです、愚か者!」



 黄金の槌『覚醒アマデウス』をナハトの頭上に落とす。ボコォとトンデモナイ音が響いて、彼は地面にメリ込んだ。……うわ、容赦ねえなルドミラのヤツ。



「ぐぼふぁぁ!?!?」



 背後からの不意打ちだったから、さすがのナハトも避けきれなかった。というか、あのルドミラの超高速攻撃を回避できるとも思えないが。



「ナイス、ルドミラ」

「いえ。陛下をお守りするのが我が使命でありますから」


「しかし、このナハトをどうするかね」

「大丈夫です。彼から木材をいただきますので」


「いいのか? 俺やスコルのことを恨んでいるような感じだったが」

「ご安心を。ナハトはとても優秀ですが、剣はまだまだです。それに――」

「それに?」


「いえ、今は民の家を建て直す方が優先です」



 ルドミラは、気絶してぶっ倒れているナハトを拾い『塔』の中へ。俺もスコルもついていく。



「あの方、心配です……」

「襲われそうになったのにスコルは、あのナハトを気にかけるんだな」

「その、ちょっと怖かったですけど、あの方には事情があるんだと思います」



 そうだな。ナハトは世界聖書(ウルガタ)にこだわっているように思えた。もしかして、なにか因縁のようなものがあるのかもしれない。詳しくは目覚めたら聞こう。



 塔の中は“普通の家”が広がっていた。

 こ、これは……どこにでもある民家と変わらないぞ。俺が島国ラルゴに建てたような一般市民向けの家に近い。

 これが塔だって? 信じられんな。



「どういうカラクリなんだ、これは」

「ラスティくん。ナハトはキコリですが、特殊な能力を持っているんですよ」

「ほう?」


「ダンジョン開発スキルです」


「マジか……そりゃ凄いな。普通、賢者にしか扱えないスキルだったような」

「その通りですが、彼のスキルは少し違うのです。詳しいことは本人から聞いてください」



 気になるな。でも、それでこんな塔を作れたわけか。

 リビングに入ってルドミラは、ナハトをソファに寝かせた。目をぐるぐる回しているところを見ると、あれはしばらく起きないな。



「この塔のダンジョンとやら見てみようかな」

「ナハトが目覚めるまでは、それがいいでしょう。面倒は見ていますので、ラスティくんとスコル様は行ってみてください」


 どうやら階段を上がればダンジョンらしい。そうだな、少しだけ覗いてみるか。



「行こうか、スコル」

「はいっ。支援とか回復は任せてくださいね」



 二人きりでダンジョン攻略。こんな風に冒険のように出るとか、いつぶりだろうなぁ。それこそ、無人島時代以来だろうか。

 俺もダンジョンを作ろうと考えていたし、参考になる。


 どんなダンジョンなのか視察といこうか。


 リビングを出て通路を奥へ進む。巨大な扉が見えてきた。



「これか」

「ゴールドダンジョンって書かれていますね」



 看板を読み解くスコルだが、俺には読めなかった。……これってエルフ語だよな? なぜ、あの人間族のナハトがエルフ語を。いや、人間でもエルフ語を読めたり話せたりする者はいるけどさ。あの少年が?



「よし、入ってみるか」

「は、はい……!」



 スコルを背後に歩かせ、俺は先陣を切る。

 扉を開け、ゴールドダンジョンへ進入した。そこには驚くべき光景が広がっていた。

 なんだこりゃ……こんなモノをどうやって開発したんだ? これがダンジョンって、信じらねえ!

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