神器集め完了!! ドヴォルザーク帝国へ
散りゆくドミネータードラゴン。妖刀テレジアのおかげで全滅する前に倒すことができた。……正直、テレジアの刀がなかったら無理だった。
「お疲れ様です」
スコルが駆け寄ってきた。みんなも無事だった。……ふぅ、なんとか守れたな。
「ルサルカさんと母親は?」
「二人とも大丈夫ですよ。さきほどヒールをしておきましたから」
「ありがとう、スコル」
俺は改めてルサルカさんに声を掛けた。
「大丈夫かい、ルサルカさん」
「助けていただき、ありがとうございました。自分もお母さまも救われました。ラスティさんのおかげです」
ぺこぺこと何度も頭を下げるルサルカさん。いや、俺だけの力ではない。みんなの力がなければ救出は不可能だった。
「みんなにもお礼を言ってあげて」
「はい、そうします」
「あ、あとルサルカさんには悪いんだけど『聖戦』がまだ続いているんだ。君は“神器”の対象らしい。一緒についてきてくれないかな」
「もちろんです! ラスティさんの為ならなんだってします!」
これでルサルカさんは問題なし。
次にイズアールだ。
彼は父親との再会に喜び、涙していた。
「父上……生きておられてよかった……」
「我が息子、イズアール。お前はエルフ族の誇りだ」
「そう言っていただけて嬉しく思います。ですが、ラスティの力なしでは父上を助けられませんでした」
「そうか、あのお方が」
イズアールの父親は俺を見て微笑む。いい父親のようだな。さて、交渉するか。
「イズアール、話がある」
「分かっているよ、ラスティ。私も“神器”ということなのだろう」
「そうだ。君の力が必要だ」
「ああ、父上を救ってくれた大きな借りがある。返そうと思っても返しきれないほどのね」
ついていくとイズアールは断言してくれた。これで二人目も問題なし。
残るはオラトリオ(フス)だが、コイツに交渉不可能だろう。眠らせたまま連れていくしかない。
これで神器は全てそろった。
俺は聖戦のすべての条件を整え終えたのだ。……ここまで長かったな。
城塞都市コーラングレを立つ前に、俺はリアン、ボルト、マインド、サカモトに挨拶をした。
「ありがとう、リアン」
「いや、こちらこそ楽しかった。ラスティ、君が皇帝だ」
最後まで仮面をつけたままで素顔が分からなかったな。
「ボルト、じゃあな」
「我々はギルド『サラマンダー』として活動を続けます。またどこかで」
そうだったな。唯一残ったギルド単位のメンバーたちだ。なかなかの強敵だった。
思い出に浸りながらもマインドに視線を移す。
「島国ラルゴに興味あるの。そのうち行くね!」
「ああ、いつでも歓迎する」
握手と約束を交わした。みんな来てくれるなら嬉しいな。そして最後にサカモトだ。
「異国のことまた教えてくれないか」
「承知した。だが、その前に貴殿の島へ行こうと思う」
「ぜひ来てくれ」
ギルド『サラマンダー』と別れた。あっさりとしていたが、これでいい。彼らはきっと俺の『ラルゴ』に来てくれるはずだから――。
あとはグランツだが……反応はなかった。一応、殺さない程度に手加減したつもりだったんだが。
「――それでは帝国へ戻ります。みなさん転移しますよ」
エドゥがそう声を掛けてきた。みんな集まってきた。もうこの場所に用はない。ドヴォルザーク帝国へ戻り『聖戦』を終わらせる。
「頼んだ、エドゥ」
「では、グロリアステレポート!」
◆
転移の中で俺は“声”を聞いた気がした。
『――ラスティ。お前は……“魔王”……だ』
誰の声だ?
誰が俺に語り掛けている?
やめろ、俺は魔王なんかじゃない。




