表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
皇帝編(最終章改)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

377/579

冥界の狭間と真の魔王

 妖刀はテレジアとなったので、グランツは武器をひとつ失った。

 ヤツはバスタードソードを背から抜き、それを構えた。

 バカデカイ剣だ。以前もあの大剣には苦戦させられた。だけど、あの時はもう状況が違う。


 俺はいざという時にとっておいた『聖槍・グングニル』を構えた。


 魔力バカ食いだから、最近は使用を避けていた。だけど、今はその時だ。



「……ほう、ラスティ。聖槍とはな」

「きっと本当の敵はマルクスではないと思っていた。こういう場面を想定し、俺は温存していたんだ」


「しかし、膨大な魔力を消費するぞ。一瞬でケリがつくと思っているのか」

「アイテムの使用は禁止されていない。魔力回復ポーションくらいあるさ」


「だが、それで持つかどうか……!」



 俺はテオドールから貰った『魔力回復ポーション改』を飲む。



[魔力回復ポーション改]

[効果]

 魔力を大幅に回復する。

 しばらくの間、少しだけ魔力回復速度アップ!



 これで一発なら聖槍を使える。



「くらえッ!!」

「させるか!!」



 高速移動で俺の上に現れるグランツは、そのままバスタードソードを振り下ろしてきた。なんて跳躍力だ。だけど――!



「聖槍――」

「遅いッ!! フェイタルブラスト!!」



 紫の粒子が落ちてくる。こ、これは危険すぎる。まともに受けたら“死ぬ”と理解した。すぐに回避行動に移行して、グランツの放ったスキルを避けた。



「――――っりゃあああああ」



 回避と同時に、地面が大きくえぐれた。


 な、なんだこりゃ……!


 地面に大穴があいてやがる!


 ウソだろ……。



「我がフェイタルブラストを避けるとはな」

「地面に大穴を開けるとは、とんでもない技だ」

「魔王ドヴォルザークやその幹部を討伐する為に開発された闇属性スキルさ」


 なんてスキルだ。そんなもの帝国は開発していたのかよ。……いや、そりゃそうだよな。もともと世界は魔王に支配されていた。

 勝つためにあらゆる手段を講じていたと聞く。

 その手段のひとつがスキル開発だった。


 だが、今はそんなことはどうでもいい。勝つ、それだけだ!



「そうかよ! これでッ!! 聖槍・グングニル!!!」



 タイミングを見計らい、俺は大技スキルを穿(うが)つ。


 大魔力の塊、光の槍が瞬間でグランツに到達した。



「こ、これが聖槍か! 素晴らしい……! だが!!!」



 イズアールと戦っていたはずのテレジアが変形して『妖刀』となった。それは一瞬でグランツの手元に。……な、なに!? テレポート、か?



「もう俺の聖槍を受けるしかないぞ! グランツ!」

「それはどうかな!」



 バスタードソードを捨て『妖刀テレジア』に赤と青の炎を(まと)わせるグランツ。……な、なんだ。魔力が爆発的に増大してやがる!



「いけません!! ラスティくん、あの妖刀のスキルは危険すぎます!!」



 大声で叫ぶルドミラ。



「これは緊急事態です。みなさんを退避させます」



 エドゥが動き出し、スコルたちを転移させていた。ま、まて……そんなヤバいというのか!


 だが、俺の聖槍・グングニルがその前にヤツを穿つ!

 その自信があった。



 だから――!




「ラスティ、お前に“この技”を使うことになるとはな……!」



「な、に?」




 グランツはニヤリと不敵に笑い、妖刀から大技らしきスキルを放った。




「奥義! 第六天魔王煉獄殺!!」




 たった数秒で聖槍の光が押し返され、赤青の炎が飲み込む。……マジか!




「ぐ、ああああああああああああああああああああああああ…………!!!」




 や……焼き尽くされる。


 肉体が滅びるような音。こ、これは……地獄、なのか。



 手が、足が、消えていく…………。


 苦しい、とても苦しい。生き地獄とはこの事なのか。




『……』



(……だ)



『……ラスティよ』



(……な、ん、だ……)



『私だ。お前の父だ』



「お、親父……!?」



 暗闇の中から現れるドヴォルザーク帝国の元皇帝アントニン。あの白髪、白いヒゲ……威厳のある顔つきは間違いない……!


 なぜ、ここに!

 ああ、そうか……俺は『地獄』に落ちたのか。



「久しぶりだな、ラスティ」

「なんだ、俺は死んだのか」


「いいや、まだ死んではおらん。貴様は“冥界の狭間”にいるのだ」

「冥界の狭間? そんな馬鹿な」


「フッ。知らぬのも当然であろうな。神代では冥界の門や冥界の番犬……そして冥界の神が存在した。ここは、その名残だ」



 この暗闇が冥界の名残……?

 俺はそんなところに堕ちたというのか。なんてこった……。



「てか、親父もこんなところに堕ちていたのか」

「ウム。私は魔王ドヴォルザークである。しかしな、かつては『オーディン』と呼ばれし、雷神の神であった」


「なに!?」


「そう。私は闇落ちした神なのだ」



 ……そうだったのか。以前話した時はオーディンに汚名を着せたと言っていたな。だが、それは親父自身が闇落ちしたということだったんだ。



「なんで俺の目の前に姿を現した」

「少し話がしたくてな」

「話……か」


「ああ。お前たちは魔王の支配を恐怖し、絶望し、嫌悪した。だが、よく考えてみろ。私がドヴォルザーク帝国を治めていた時代の世界はどうだった……? 戦争は起きなかっただろう。モンスターもそれほど狂暴ではなかったはずだ」


「……そ、それは確かに」


 親父を倒してからは、世界の各地でモンスターが暴れたり、連合国との戦争が起きたりした。明らかに世界のバランスが崩れた。それは……事実だ。


「結局のところ世界は支配でなければ成り立たぬということだ」

「だが、それでは真の自由はないだろ!」


「そうかな。これでも人類に譲歩し、歩み寄ったのだ。だが、それでもくだらぬ戦争は続いた。だから私は支配を強めた。すると自然に魔王と呼ばれるようになった。私は受け入れたよ。その方が都合がよく、世界が上手く機能したからだ。この世には善と悪のバランスが必要なのだ」


「なにが言いたい!」


「魔王という存在は必要悪というわけだ。ラスティ、貴様が“真の魔王”になるのだ」


「…………なッ!?」



 俺が、真の魔王に……?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ