世界聖書の第五スキル『真の赤き竜』<グラン・グリモワール>
女神のスキルだけではダメだ。
俺はライトニングボルト、サンダーボルトなどあらゆる技を加えていく。
しかし、敵は実質不死。
確かなダメージを与えても、ヨセフは即座に回復した。
「素晴らしい攻撃スキルだ、ラスティ」
「褒めてもらっても嬉しくねぇよ」
攻撃を当てても敵を倒せない。
英傑とは名ばかりではない――ということか。
ヨセフの物理攻撃も強力で耐えるのがやっとだ。
ヤツは『ギガバースト』という闇属性付きの物理スキルを使ってくる。
拳を強化するスキルか。
まさか俺の“槍”が拳と交えることになるとはな。
+10覚醒ヴェラチュールを拳で耐えるヨセフ。
「なるほど。お前の武器はかなり洗練されているな」
「いちいち褒めるな!」
ガンッと拳にぶつけていくが防御される。
「惜しいな。お前を鍛えれば最強の兵士にできたろうに」
「そんな必要はない!」
シュネーヴァイスを与えるが、すぐに回復される。
まずいな、そろそろ魔力が。
世界聖書 もそろそろ限界だ。
このままでは魔力が切れ、俺はフスを倒すことなく敗北するかもしれない。
この狭い空間では無人島開発スキルもまともに使えない。家を破壊すれば、マルクスの妨害によって俺たちは再び『テレキネシス』に晒されることになる。
そうなれば、本当にヤバい。
汗が頬を伝う。
……やべぇ。
こんなにピンチなのは久しぶりだ。
「ふんっ!!」
ギガバーストが飛んできて、俺は+10覚醒ヴェラチュールでガードした。
ビリビリと手が痺れた。
どんどん力が増してきている。
これが“破壊王”の力か。
まともに食らっていれば一撃で粉々だ。
一般人であれば即死だぞ、これは。
なんとかしないと、魔力がッ――!!
そろそろ限界かと思われたその時だった。
「ラスティさん!!」
「どうした、スコル!」
「世界聖書の新しいスキルが追加されました! なんとか解読できたんです!」
「マジか!!」
「はいっ……!!」
そのスキルの詳細を見せてもらった。
[世界聖書]
[効果]
世界に一冊しか存在しない聖書。
これを所持する者は真の聖人となれる。
ヒエロニムスという特殊な言語で書かれており、エルフの聖女でなければ解読できない。
最大七つの効果を持つ。
①アカシックレコード Lv.10
②ソウルコンバージョン Lv.10
③スーパーノヴァ Lv.10
④ハイパードライブ Lv.10
⑤真の赤き竜 Lv.10
堕天使ルシフェルの力。
対象に強制的な状態異常『超沈黙』を与え、スキルの使用を不可能にする。対象に『超猛毒』を付与する。数秒毎に大きなダメージを受ける。
対象を状態異常『詠唱遅延』を与える。詠唱時間が三十秒追加される。
対象を状態異常『メンタルブレイク』にする。全てのステータスが半減する。
⑥解読できていません
⑦解読できていません
「真の赤き竜 Lv.10か! これは使えそうだ。頼んだ」
「分かりましたっ!」
スコルは『真の赤き竜 Lv.10』を発動した。
これでシュネーヴァイスは撃てなくなったが、勝ち筋が見えた。
ヨセフは真の赤き竜を受け――弱体化した。
「ぐ、ぬうううぅぅぅぅ…………」
弱弱しくなっていくヨセフ。
明らかに力が落ちていた。
それだけじゃない。
再生もしていないし、恐ろしいほど毒を受けていた。
今だ。
今しかない。
「ヨセフ、お前は一生眠っていろ!! ライトニングボルテックス!!」
大技をヨセフの脳天に落とした。
直後、最強の稲妻がヤツの全身を飲み込んだ。
「ぐあああああああああああああああああああああああああああ…………!!!」
ついにヨセフを撃破した。
閃光が晴れるとフスはビビっていた。
「ば、馬鹿な!! ありえぬ!!」
「今度はお前だ!」
「…………そんな。我が英傑が……負けるなどと……」
とても悔しがっていた。
よっぽど自信があったらしい。
だが、俺とスコルが力を合わせれば突破できない壁はない。
魔力こそ尽きたが、フスを倒す余力はある。
もうここで立ち止まっている場合ではない。
一気にヤツを潰す。




