最強ギルドの襲来と激戦!!
雷電を帯びるシグチュールを振るう。
この刃ならば相手を戦闘不能にできる。なにも殺す必要はない。電気でビリビリにして気絶させればいいのさ。
「――――ぐおッ!?」
その場に倒れる重戦士の男。
大きな斧が転がっていく。
また一人敵を倒した。
この聖戦に生き残っただけあり、戦闘レベルは高い。しかし、俺の敵ではなかった。
それに、イズアールの剣の腕も凄まじかった。
彼は剣を鞘から抜かず、そのままの状態で聖戦参加者たちを排除していた。
だが俺は驚かなかった。
イズアールは、あの聖騎士であるアルフレッドと互角に戦っていたからな。
「あと四人だ。畳みかける……!」
六人は排除できた。
残る四人はさすがに今までの奴らと違う。ギルドらしく、チームとしての連携が取れている。
前衛に仮面の騎士と近接タイプの聖職者。後衛に刀を矢にする弓使いと目隠しをした魔法使い。彼らはかなり手ごわい。
俺はまず、前衛の騎士と剣を交えていこうとした――が。
『グンッ……!』
そんな鈍い音がして、俺のシグチュールが弾かれた。
俺の“剣”が裁かれた!?
「……油断しましたね、ラスティ」
接近タイプの聖職者が鈍器を使っていた。……マジかよ! こいつ、ただのプリーストではないなッ!
「な、何者だ!」
「私はドヴォルザーク帝国の聖央教会に所属するボルトと申します。ご覧の通り、接近戦を得意とする……ちょっと変わったプリーストなのですよ」
不敵に笑うボルトは、素早い動きでメイスで攻撃してくる。
俺はその物理攻撃を剣で受け止めた。
シグチュールに衝撃が伝わり、震えた。
こ、こいつ……筋力に極振りしていやがるな……! なんてパワーだ。鍛え抜かれた馬鹿力だぞ、これは。
「……くッ!」
「さすがのあなたも、私の攻撃を受けてタダでは済まないですよ」
「プリーストなのに正直、ビビったよ。でも、お前の攻撃は重いだけだ」
地面から無人島開発スキルで『ハシゴ』を生成して、それを伸ばしてボルトにぶつけた。
「なに……!? ぐあああああッ!!」
さらにシグチュールを向ける。
しかし、そこで騎士の邪魔が入った。
「そこまでにしてもらおうか」
「いつの間に!」
イズアールは拘束魔法にやられ、地面に倒れていた。
「すまん、ラスティ。私と相手三人では無理だ」
しまった。騎士と弓使い、魔法使いはイズアールを狙ったのか。俺ではなく、あえてイズアールを。
きっと俺をひとりにする為だ。
最初にイズアールを本気で潰しておけば、あとは残った俺をジワジワなぶり殺しというわけだ。
「分かった。そこで待っていてくれ」
あとで助ける。今は隙がなくて無理だ。
「おいおい、ラスティ。こっちは四人だ。そっちは一人……もう無理だろ」
仮面の騎士がそう言った。
俺一人では確かに厳しい状況となった。相手はやり手。しかも、まだ弓使いと魔法使いの実力が分かっていない。
弓使いに関しては矢の代わりに刀を使う、トンデモお姉さんだ。
魔法使いの方は目隠しのせいで、性別が分かりづらい。少なくとも人間の魔法使いではるようだが……。
「やってみなきゃ分からないさ」
諦めるつもりはない。
ここで背を向ければ、イズアールを奪われるし。
それに、この城塞都市に眠る神器もアイツ等の手の中。
となれば、あとはルサルカさんを探し出されれば終わりだ。
そうはさせない。
まずは前衛を潰す。それしかない。




