到着!! 城塞都市で巻き起こる騒乱!!
【城塞都市コーラングレ】
到着早々に事件は起きた。
聖戦参加者と思われる冒険者たちが次々に現れ、俺たちは取り囲まれてしまった。
こいつ等、まさかずっと俺を追っていたのか……!
「ど、どうなっているんでしょう……」
怯えるように俺の服を掴むスコル。
確かに、これは異常事態だ。
ここに着いてから、数分と立たずに数十人に囲まれてしまったのだ。さきほどの船で追ってきた二人だけかと油断していたら、実はこんなにいたとは。
一体全体、どこに隠れていたんだ。
冒険者のひとりが俺の方へ向かってきて、そしてニヤリと笑った。
「油断したな、ラスティ」
「俺を知っているのか」
「当然だ。お前は今回の聖戦の中ではトップであり、有名人だからな。そんなお前を追っていれば神器にたどり着けると、みんな考えたのさ……!」
そういうことか。
じゃあ、あの船で追ってきた二人組もそういう目的だったわけだ。だが、今目の前にいる冒険者たちには及ばず脱落。
つまりここにいる者は、かなり手ごわいということだ。
確かに、レベルもオーラも違う。
身を隠すハイディング、姿を消すインビジブルなどそういう超高度なスキルで俺たちをストーキングしていたわけだ。
なるほど。
言われてみれば俺を追えば自然と神器にたどり着けるわけだ。しかも、城塞都市コーラングレなんて、現代ではほぼ未踏の地。マップにも載らない未開のエリア。そりゃ、多少卑怯な手を使ってでも追ってくるわな。
「お前たち、ずっと隠れていたのか!」
「ああ。俺は気配遮断スキルでずっとお前の船に乗っていた」
マジかよ。まったく気づかなかったぞ。
他も、なにかしらの姿を消すスキルで便乗していたようだ。……いつの間に。
「そうか。なら、戦うしかないわけか」
「話が早いなラスティ。そうだ、今ここにる聖戦参加者たちは全員お前の敵だ。まずはトップに躍り出ているお前をぶっ潰す方が利口だと意見が一致してねェ……」
聖戦参加者約十人が不敵に笑う。
そこにはマルクスやグランツの姿こそはない。なので俺は逆に安心した。
コイツ等だけの相手なら、なんとかなる。そう思った。
「どうするのだ、兄上。この者たちは強いぞ」
「ああ。これは『聖戦』だ。ハヴァマールたちは手を出すなよ……!」
「分かっているのだ」
だが、イズアールは一歩前へ出た。
「悪いな、ラスティ。この私は参加させてもらうぞ」
「なに!? イズアールは聖戦に参加してないだろ……?」
「実はしているのさ」
「なんだって!? 知らなかったぞ」
「言ったろ。マルクスに脅されたって」
そういうことか。マルクスに勧められてついでに聖戦にも参加登録しておいたってところか。
でも戦力が増えて俺は嬉しい。
相手は十人もいるからな。
俺ひとりでギリギリかどうかだった。
イズアールが一緒に戦ってくれるなら、なんとかなりそうだな。
「フ、フハハハッ! こっちは十人だぞ! 二人ごときで何が出来る!!」
「そうだな、良かったな」
「余裕ぶっていられるのも今の内だぞラスティ!」
敵は俺を潰す気満々のようだ。
こうなったら、やるしかない。
この十人の聖戦参加者を叩きのめし、俺は前進する。この先にはきっと神器と古代魔導兵器があるはず。
それとルドミラたち。
近い場所にいるだろうけど、今のところ姿どころか気配すら確認できない。心配だ。
一刻も早く、この場所を突破する――!




