女神の大魔法
ジャイアントツリーは、俺の存在を認識した。
ターゲットにされ、敵認定を受けたのだ。モンスターにとってそれは当たり前で自然の行動。
俺も敵の攻撃に備えて武器を構えて突撃していく。
テイムする方法なんて分からん。
けど、アイツを弱らせて従えるくらいできるかもしれない。やってみる価値はあるだろう。
それに万が一があっても、きっとスコルやみんながなんとかしてくれる。俺はそう信じている。
『――――ズゥゥゥ』
木々の軋む音が苦しそうに響く。
大樹は激しく揺れ、太い枝を器用に使いその手を伸ばしてきた。
「……ッ! この枝、伸びるのか!」
ゲイルチュールの先端を使い、攻撃を弾いていく。
だが、想像しているよりも遥かに重い打撃に腕が痺れた。……マジか。
さすがボスモンスターといったところか。
正直、舐めていた。
かといって諦めるつもりもない。
数十メートルはある大樹に向けて、俺は再び突撃する。
しかし、ジャイアントツリーは枝を複数も伸ばして襲い掛かってきた。ちょ、多すぎだろ、それは――!
「ラ、ラスティさん!!」
背後でスコルの叫ぶ声がした。
「大丈夫だ! これしき!」
俺は、己の武器を素早くシグチュールに変化させ、そのまま専用スキルである『シュネーヴァイス』を放った!
聖剣であるシグチュールの刃から放たれる聖属性攻撃。
聖なる白き光は砲撃となってジャイアントツリーに激突する。
『グオオオオオオオオオオォォォ…………!』
確実に大ダメージを与えた。
さすが女神の大魔法シュネーヴァイス。
ズシンと地面に倒れていくジャイアントツリー。地響きを鳴らし、そして沈黙した。
「よし!」
「すごいな、ラスティ」
遠くで見守っているイズアールが感心していた。そんな尊敬のまなざしを向けられると照れるというか。
でも、まだ勝負が終わったわけではない。
あのモンスターをテイムできないのなら従えねば!
「強引にでも……!」
もう一度突撃しようとしたが、そこで声が響いた。
『――まて。雷神の息子よ』
「……!? なんだ? いや、まさかジャイアントツリーのテレパシーなのか」
『そうだ。貴様の力は理解できた。まさかシュネーヴァイスを扱える者がこの世にいようとはな……驚いたぞ』
「え……どういうことだ?」
『それは18000年前に存在したという女神の力だ。間違いない』
そ、そんな前に女神が存在していたことの方が驚きだよ。
いや……それよりもまさかジャイアントツリーが話しかけてくるとは。これは乗せてもらうことも出来るかもしれないな。




