好物の朝食と再び世界ギルドへ!
一階へ降りると、良い匂いが漂っていた。
これは朝ごはんの匂いだ。
キッチンへ向かうと、そこにはストレルカが立っていた。
「おはようございます、ラスティ様。それとスコルさんも」
柔らかい笑みで挨拶をしてくれるストレルカ。今日も笑顔が美しいなぁ。
それにしても、今日の朝食は凄い気合の入りようだ。いろいろ作っているようだけど……へえ、俺の好物もあるようだな。
「すでに美味そうだな」
「ラスティ様の好きなトルティーヤもあります」
「おぉっ!」
トルティーヤは、小麦粉から作られた薄焼きパン。小さなクレープのようなものだが、基本的にはドラゴン肉、サルサ・メヒカーナ、レタス、チーズやワカモレなどをトッピングする。
これが最高に美味いんだよなぁ。
楽しみにしていると、ハヴァマールも起きてきた。少し眠そうに。
「みんな、おはよーなのだ」
ぽけぽけしちゃって可愛いな。
「おはよう、ハヴァマール」
「うむ、兄上。……お、朝食なのだ?」
「今日はストレルカが作ってくれた」
「お~! 豪華なのだ!」
せっかくなので庭にあるテーブルで朝食をいただくことにした。
ストレルカの作ってくれた料理を運び、テーブルへ並べていく。そして、椅子に座った。
う~ん、外は快晴で気持ちがいい。
外は海が近くて眺めも最高だ。
さっそくトルティーヤをいただく。
手に取り、口へ運ぶとレタスのシャキシャキとした瑞々しい食感とドラゴン肉の濃厚な味が舌の上で踊った。
美味い、美味すぎる……!
肉も野菜もケンカすることなく、丁度よいバランスで味を引き出している。これぞ、トルティーヤ!
「美味いよ、ストレルカ!」
「ありがとうございます、ラスティ様っ」
褒めるとストレルカは嬉しそうに微笑んだ。そんな天使の笑みに俺は照れた。
「……こ、これは美味しいです!」
スコルはトルティーヤを味わい、驚いていた。
味を賞賛してストレルカを褒めていた。
「ス、スコルさんにそう言っていただけるとは……ありがとうございます」
「いえ、わたしもまだまだ勉強中の身ですので」
もっとバチバチになるかと思ったけれど、スコルとストレルカは互いを認めつつあった。これなら安心かな。
◆
準備は完了した。
今日は世界ギルドへ戻り、第二試練の説明を受ける。
それと、どれだけの参加者が生き残ったか気になるところだ。
「……よし。シャイネンドラゴンへ乗り、街へ向かうぞ」
「分かりました!」
俺はスコルの手を引っ張る。
「兄上、余も!」
次にハヴァマールを。
「ラスティ様、わたくしもよろしいでしょうか……」
最後にストレルカをシャイネンドラゴンの背へ。
これで全員乗った。
あとはドラゴンの操作をハヴァマールに任せた。
「頼んだぞ、ハヴァマール」
「任せるのだ! では振り落とされないよう、気をつけるのだぞ」
一瞬で空へ飛翔するシャイネンドラゴン。
今日は元気いっぱいで、凄まじいスピードで街へ向かう。こ、これは驚いたな。この前よりもスピードアップしているぞ。
これなら、それほど掛からず到着するだろう。
――いや、もう街が見えてきた!
「もうか。早いな!」
そのままレオポルド騎士団へ。
おそらくシャイネンドラゴンの飼育係・アルトゥールが待っているはずだ。




