第二試練の明日に備えて
風呂を出て自分の部屋へ。
すでにスコルが薄着で待機していた。……というか、ほぼ下着? いや、ネグリジェか。
「あ、ラスティさん」
「寝る準備は万端か、スコル」
「はい。さきほどお風呂もいただいてスッキリしました」
そう言われるとスコルの体は火照っているな。
こうしてじっくり見るとずいぶんと色っぽい。そういえば、少し前に比べると可愛くなったような。
「そ、そか。もう少ししたら寝よう」
「はい。明日は第二試練ですもんね」
「ああ、神器探しなのは確定している。ていうか、そもそも何人が突破できていることか」
メテオドラゴンの討伐後のことは分からない。あの厄介なドラゴンを倒せた者はそれほど多くはないだろう。
だから明日は数人が残っていればいい方だと俺は予測した。
そんな風に考えていると、スコルが俺の頬に触れた。
「ラスティさん、今日は休みましょう」
「そうだな」
「では、こちらへ」
ベッドに腰掛けると、スコルが俺の隣に。良い匂いがして……俺は少しだけ緊張した。 慣れてきているとはいえ、やっぱりこう近いと照れるというか。
横になって俺はスコルに気になることを聞いた。
「なあ、スコル。城塞都市コーラングレって……」
「もちろん、知っています。エルフの国ボロディンとは深い関係があるので」
そうだよな。
城塞都市コーラングレは、オラトリオ大陸。都市であるボロディンと密接な関係にあるはずだ。
「どんな場所なんだ?」
「わたしもあんまり詳しくは……。ですが、ルドミラさんたちが破壊しにいった古代魔導兵器インドラが設置されていることだけは確かです」
――そうだ。
ルドミラたちは、今現在も古代魔導兵器インドラを探しに向かっている。
あの兵器のせいで島国ラルゴは消滅寸前だった。
だが、辛うじて大惨事は免れた。
でも次はどうなるか分からない。
そもそも、あの兵器はいったい誰が……。
いや、なんとなく分かっていた。
おそらく元老院だろうと。だが確たる証拠がない。問いつめても知らぬ存ぜぬを貫き通すだろう。
「神器を手に入れ、古代魔導兵器も潰す。それしかなさそうだな」
「また怖い顔になっていますよ、ラスティさん」
大胆にくっついてくるスコル。俺に気を遣ってくれているらしい。……てか、そんな密着されるともう明日のことなんてどうでもよくなる。
そうだな。
今はスコルとの時間を大切にしよう。
◆
体を揺すられ、俺はふと目覚めた。
「……ん」
「ラスティさん、起きてください」
「スコルか。おはよう」
「もう朝ですよ~。そろそろ起きないと第二試練に間に合いません」
「そうだった!」
俺は体を起こした。
けれど、スコルを抱き寄せた。
「――きゃっ! ラスティさん!?」
「あと少しだけ」
「……で、でもぉ」
「いいだろ、スコル」
「…………少し、だけですよ」
耳を赤くするスコル。俺を受け入れてくれた。
もうしばらくはスコルを抱いていたい。




