ドラゴン騎乗スキル『ドラゴンマインド』
レオポルド騎士団に到着。
シベリウスが仲介してくれたおかげで、あっさりとドラゴンを借りることができた。
飼育しているドラゴン使いの騎士が詳しい説明をしてくれた。
「俺の名はアルトゥール。この『シャイネンドラゴン』の飼育担当だ」
あの白い竜がシャイネンドラゴンか――って、まて!
あのドラゴン、見覚えがありすぎるぞ!
俺の無人島開発スキルで設置できる“防衛ドラゴン”じゃないか。
「あれ、ラスティさん。あのドラゴンさんって……」
「あ、ああ。スコルも気づいたか」
そうだ、間違いない。
あの凛々しく美しいドラゴンは、島国ラルゴにもいた。島を守ってくれる守護竜でもあった。
けれど――そうだ。
以前、ブラックエンペラードラゴンに襲われて……その時、ラルゴにいたシャイネンドラゴンは殺されてしまったんだ。
思えば悪いことをしてしまった。
「どうかしましたか?」
アルトゥールが少し困った顔をしていた。
「いや、すまない。話を続けてくれ」
「分かりました。シャイネンドラゴンは温厚で友好的です。敬意さえ払えばこちらの気持ちに答えてくれるのです」
「へえ、そうなんだな」
「仲間意識も高く、同族が殺されるとその人の顔を覚え――復讐するまで追い回す特性があります」
へ、へぇ……。鳥類系モンスターのヤタガラスみたいなヤツだったんだな。
妙に焦るが、でもまて。島国ラルゴの時はブラックエンペラードラゴンの奇襲のせいなんだ。許してくれ……! ちゃんと弔ったし。
「そ、それはいいから。何人乗れるんだ?」
「最大四名ですね」
「なら、丁度いいな。俺、スコル、ハヴァマール、ストレルカ……っと」
「騎乗スキルはお持ちです?」
「ん? 騎乗スキル?」
「ええ、ドラゴンの場合は騎乗スキル『ドラゴンマインド』を習得しなければなりません」
[ドラゴンマインド]
[効果]
ドラゴンと心を通わすためのスキル。
全ドラゴン族に有効。
(一部特殊なドラゴンは除く)
このスキルがなければ、ドラゴンを操ることはできない。
また『飛翔』にも必要なスキル。
ドラゴンの飛翔時間を伸ばす効果もある。
ドラゴンの移動速度を向上する。
「こ、こんなスキルがあったとは、知らなかったぞ」
となるとドラゴンを操れる者は、この騎士アルトゥールだけか。その場合、ひとり置いていくことになるが……いや、それはありえない。
けれど、どうしたものか。
俺はそんなスキルを持ち合わせちゃいない。
当然、聖女であるスコルも。
どちらかといえば魔法使い系のハヴァマールも、そして、ストレルカも持ち合わせていないだろう。
困り果てていると、ハヴァマールが手を挙げた。
「兄上、なにをチンタラしているのだ。この余がシャイネンドラゴンを操ってみせようぞ!」
「いや、けど……ドラゴンマインドがないと……」
「あるぞ」
「え?」
「だから、あるのだ。ドラゴンマインド」
「え!?」
俺は耳を疑った。
ハヴァマールが騎乗スキル『ドラゴンマインド』を持っているだとー!? 意外すぎて頭が混乱したぞ。
「す、凄いです。ハヴァマールさん!」
「スコル、余はこれでも古代から生きる雷神そのものなのだ。まぁ、本当はサンダードラゴンの相手の方が得意なのだが、シャイネンドラゴンも親戚みたいなものなのだ」
いや、まさかドラゴンマインドを習得していたとは予想外だった。
「わたくしも驚きました。ハヴァマールさんって猫耳なのに凄いです」
「ちょ、ストレルカ。猫耳は関係ないのだ!?」
妙に照れるハヴァマール。
けど、これで活路は開けた。
四人でメテオドラゴン討伐へ行けるぞ!!
「よし、ハヴァマール。お前にドラゴンを操ってもらう。いいな?」
「任せるのだ。みんなを無事に運んで見せるのだ!!」
ハヴァマールの目は本気だ。
大丈夫だ。我が妹なら、きっと俺たちを運んでくれる。信じているからな。
アルトゥールから、シャイネンドラゴン一体をレンタル。
これで飛んでいけるぞ――!




