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無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
皇帝編(最終章改)

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勇者復活の日 Side:ルドミラ

 騎士団へ向かう最中、廊下でエドゥと偶然会った。

 いや、多分偶然ではない。

 あの目は私を心配している目だ。


「ちょっと待って……ルドミラ」

「珍しいですね、エドゥ」


 その昔のエドゥは感情豊かで若者のような覇気があったけれど、今は感情が死んでいる。でもこれは彼女にとっての自然なのだ。

 大賢者は魔力を常に消費している。

 この島国ラルゴの守護、ダンジョンの維持、自然との対話、精霊との交信。いろいろとあるようだ。

 そのせいで感情が殺されやすいらしい。

 調子が良いと口調やテンションが変わるけど。

 でも私はこっちの大人しい方がいい。

 昔のパーティの時は騒がしくてたまらなかったからだ。


 それに、エドゥはきっとラスティくんに良く見てもらいたいのだ。だから、こんなクールな対応をあえてしているのだろう。



「テオドールもいる」



 物陰から現れるテオドール。自信に満ちた表情で私の顔を覗く。



「やあ、ルドミラ。こうして三人だけで揃うのは久しぶりだね」

「そうですね。それこそ魔王ドヴォルザーク討伐時代ぶりでしょうか」

「そうだね。懐かしいよ」



 初回の『聖戦』が始まる頃。

 私が勇者として立ち上がって一年後のことだ。


 世界が混沌に満ちた時代。

 聖魔大戦と呼ばれたあの時代。


 ルサルカ大陸・共和政ドヴォルザークにいたあの時、私は大賢者エドゥアルドを仲間に入れた。


 それから、テオドールもグラズノフ共和国で拾った。



「今は忙しくてなかなか三人の時間が作れません。貴重です」

「なら、少し話そう」

「……なにをです?」

「まあ、エドゥからの提案なのだけどね」


 微笑むテオドールは、エドゥの背中を優しく押す。普段はお調子者のクセに、こういう時は真面目だ。


「ルドミラ……。古代魔導兵器インドラについて話がある」

「アレですか。確かに私もその件は気になります」

「うん。古代魔導兵器は破壊したはず」


 そうだ。一度だけ使われ、壊滅的な被害を受けた。

 その影響が絶大あることを危惧した当時の元老院は、私に古代魔導兵器の破壊の依頼をしてきた。

 私も当然、それには同意。


 オラトリオ大陸の最北端・城塞都市コーラングレに設置されているという情報を入手。

 私たちはそこへ向かい、待ち受けていた魔王軍の大幹部にしてエルフの“フス”を撃破。そして、兵器もろとも木っ端微塵にした。


 ――はずだった。



「おかしいですね。二つ目があったということでしょうか」

「恐らくだけど『設計図』があると思う。それを基に古代魔導兵器を復活させたと推測する」



 そういうことか。確かにそれなら納得できる。

 ただ、開発には膨大な資金と材料が必要になるから、今までは作られなかった。だが、時代は変わり、今なら作ることも可能となった。

 そう考えれば魔導兵器復活も自然か。


「私もエドゥに同意見でね。信憑性が高いと思っているよ」

「テオドール、あなたもそう思うのですね」

「ああ。多分、城塞都市コーラングレのあの場所にあるんじゃないか?」

「かもしれません」

「それをラスティに話すんだ」

「でも、聖戦が」

「それよりも世界の危機だろう。君は勇者を引退していない」

「……テオドール」


 魔王が消え去っても、私は正式に勇者を引退したわけではなかった。レオポルド騎士団の騎士団長にはなったことがあるけれど、それは一時的なもの。


 聖剣と神器エインヘリャルを魂に宿す限り、私は永遠に勇者のままなのだ。

 でなければ、私はとっくに伝説の人物になっている。


 しかし、私たちは未だに存命している。

 使命があるからだ。


「ルドミラ、自分たちだけでも向かいましょう」

「いいのですか、エドゥ」

「過去に何度も世界を救ってきた。それが自分たちの存在理由」

「……そうでしたね」


 ならば、古代兵器のことを詳しくラスティくんに話さねばならない。

 あとは主が許可を下してくれれば――。

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