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無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
皇帝編(最終章改)

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前皇帝陛下の隠し子

 帝国から商船が来ることはある。

 けど、トレニアさんが言う船は違った。

 レオポルド騎士団の“巨大船”だ。


 みんなと共に急いで現場に駆け付けると、港には山のように大きい船が接近していた。

 な、なんて大きさだ。


 これはガレオン船を超える大きさだぞ。



「なぜ、こんな船がラルゴに……」

「ラスティくん、私の後ろに」



 ルドミラが俺を守るように前へ。

 しばらくすると、船の中から人影が現れ、飛び跳ねてきた。お、おい……結構な高さがあるけど、大丈夫なのか。


 見事に着地するローブの人物。


 な、何者だ?


 随分と背の高い。

 恐らくは男。



「こんな船が来る予定はないぞ。ちゃんと連絡を入れてから寄港してくれ」



 俺がそう注意を促すと、その正体不明の人物はローブを脱ぐ。

 すると、白髪の老人であることが分かった。

 威厳のある容姿と雰囲気。

 貴族特有の服装。


 ま、まさかな……。


 その予想は当たった。



「親父……!」



 一緒について来ていたグランツが叫ぶ。

 そうか、やっぱり船から飛び降りてきたのは元老院議長か!



「久しぶりだな、グランツ」

「ど、どうしてここに!」

「お前を連れ戻しに来たのと……この島国ラルゴの主に話をしに来た」



 議長はこちらに向かってくる。

 当然ルドミラが警戒するわけだが。



「元老院議長マルクス・ヴァンデルハート、なぜラルゴに」

「相変わらずの闘気よな、ルドミラ。だが、お前に用はない。その後ろの男……元第三皇子に話があるのだ」


「ラスティくんにですか。では、この私を倒してからに――」



 これ以上は戦争になりかねんと思ったので、俺はルドミラを止めた。



「いい。話しだけなら聞いてやるさ」

「し、しかし……ラスティくん、この男は只者ではありません。その政治手腕は“変幻自在の魔術師”という異名を持つほど」



 変幻自在か……確かに、これまでずっと元老院議長の座に居座っているんだ。実力は十分にあるんだろうな。



「紹介を感謝するよ、ルドミラ。――さて、元第三皇子よ、私の話を聞いてもらうぞ」

「なんだよ」


「この島国ラルゴにも聖戦に強制参加してもらう」


「――なッ!」


「理由は簡単。移住者に帝国民が多いからだ」

「だからって……」


「もちろん、それだけが理由ではない。この島国には、前皇帝陛下の隠し子がおられるのだよ」


「か、隠し子だって!?」



 し、知らなかったぞ。

 あの親父に隠し子がいたとはな。

 いつの間にそんな存在を……いや、皇帝だからやりたい放題か。それに魔王だったし。


「いるであろう、ドワーフ族の娘が」

「ま、まさか……」


「そう。その名を“ルサルカ”という」



 マジかよ……!

 ルサルカさんが皇帝の隠し子だと!?



 ハヴァマールも驚いて、ルサルカさんを庇うようにしていた。



「ルサルカが……! そんなウソなのだ!」

「ウソではない。大陸の名を冠する彼女の名は、前皇帝陛下が名付けられたのだ。ルサルカは、ドワーフ族の貴族との間に出来た子供。母親も連れてきている。必要なら会わせよう」



 なんだって……ルサルカさんの母親まで来ているのかよ。



「お、お母さまが……」



 なんてこった。

 元老院議長がわざわざラルゴに来て、聖戦に巻き込む理由も分かる気がする。隠し子ということは、血縁があり……王位継承権があるということ。


 これはマズいぞ――。

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