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無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
皇帝編(最終章改)

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状態異常『カオス』

 帝国の様子も分かったし、十分すぎる材料も手に入った。これで建物の修復も可能だ。エドゥのディメンションポータルで一度帰還することに。


「エドゥ、頼む」

「了解です」


 転移の柱が展開され、俺はそこへ飛び込む。

 瞬間で島国ラルゴに到着した。


 拠点である城の中庭に到着した。


 そこには丁度、テオドールの姿があった。……って、誰かとキスをしている!?



「……おっと、これは失礼。まさかこのタイミングで帰ってくるとは」

「テオドール……な、なにを」

「ご覧の通り、嫁とイチャついていた」


 ハッキリと!

 いや、実際そうしていたんだが……よりによって城の中庭で!


 それにしても、すごく美人だな。嫁さん。


「まったく、自由にしていいけど気まずいって」

「なに言ってるんだ、ラスティ。キスくらい挨拶みたいなものだ」


 大人の発言だなぁ……。

 俺はまだ十六歳の少年だけどねー。


「じゃ、俺はドラゴンにやられた建物を直してくる」

「了解だ。それとエドゥ、おかえり」


 テオドールは微笑み、エドゥに挨拶をした。

 一方の彼女は静かにコクッとうなずく。

 そりゃ気まずいよ。


 中庭を去り、俺は城の外へ。


 被害の多い海側へ向かう。さっそく防衛兵器を修復だ。兵器の状態を見ると、ひどい有様だ。



【大破】キャンプファイヤー

【大破】木製防壁

【大破】石防壁

【大破】投石機

【大破】ボウガン

【大破】大砲

【大破】魔導式レーザー兵器

【大破】トゲトゲバリケード

【大破】落とし穴

【大破】落石



 ブラックエンペラードラゴンの炎でほとんどが灰燼(かいじん)と化した。ほとんど焼野原だ。どうやら、ドラゴンの黒煙を浴びると植物すら再生できなくなるらしい。

 大地が痛々しいな。

 こりゃ、土すらもダメか……。


「ラスティ様、この土は状態異常『カオス』を浴びています。このままではカオスは大地を蝕み、農作物に影響を与えましょう。食べ物は腐り育たなくなり、やがて飢餓をもたらすかと。聖女クラスの聖属性魔法で浄化せねば大変なことに」


 珍しくエドゥが長々と状況を説明してくれた。おかげで俺は事の重大さに気づけた。さすが大賢者様。博識だ。


 聖女クラスか……ふむ。



「じゃあ、スコルだな」

「はい。スコル様ならこのカオスを浄化できます」

「どこにいるかな。城で会わなかったんだよな」

「では、テレパシーのソウルウィスパーで通信を試みます」

「おう、頼む」


 瞼を閉じ、スキルに集中するエドゥ。どうやら、島国ラルゴ全体を通してスコルを探しているようだ。


 しばらくしてエドゥは目を開けた。


「見つけました。スコル様は現在、街中にいるようです」

「よし、連れ出すか」

「それが……」

「ん? どうした、浮かない顔をして」

「街中で何者かが民に向けて演説をしているみたいです」

「演説だって?」

「行きますか」

「もちろんだ。スコルを迎えに行かないと」


 少し嫌な予感がして、俺は直ぐに向かうべきだと思った。


「街へのポータルはないですよ?」

「問題ない。エドゥ、悪いけど持ち上げるぞ」


 躊躇(ためら)いなく、俺はエドゥをお姫様抱っこした。そして、空高くジャンプして街へ向かった。


「……ラ、ラスティ様。嬉しいです……」


 俺の腕をまるで子供みたいにぎゅっと掴むエドゥ。可愛いと思う反面、異常な体重の軽さに驚いた。確かに、体型は子供っぽいけど……ここまでとは。

 おかげで余裕で抱えることができた。


 飛び跳ねて、俺は街中へ到着。


 冒険者ギルドの前には人だかりが出来ていてた。ひとりの男が声を上げ、なにかを訴えかけていた。なんだ……?


「島国ラルゴの民たちよ! 古より続く“聖戦”の時は来た……! 帝国復活の為に、この島を放棄し、ドヴォルザーク帝国へ帰国せよ!」


 な、なにを言っているんだ、あの男は!

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