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無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
皇帝編(最終章改)

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嫁を増やしたい男

 聖戦の参加をどうするべきか悩む俺。

 スコルと共に外へ出歩くと騎士団が目についた。そうだ、ルドミラに相談してみよう。きっとテオドールもいるだろうし。


 騎士団の中へ入ると、素振りをする騎士達の姿が見えた。あそこにルドミラの姿はない。恐らく建物の中だろうな。


 向かおうとすると丁度ルドミラが出てきた。こちらに気づき、慌て向かってきた。


「ラスティくんではありませんか! スコル様も」

「立ち寄ってみた。相変わらずやっているようだな」

「ええ、この島国を守るために騎士を育成中です」

「その調子で頼む」

「はい、この島国ラルゴを守れるよう、しっかり指導して参ります」


 丁寧に頭を下げるルドミラ。

 今の俺にとって彼女の存在は大きい。右腕的存在だ。なのでルドミラを聖戦に参加させるわけにはいかない。

 だが、情報は共有しておかねば。


「ルドミラ、話しがあるんだ」

「話ですね、分かりました。ではこちらへ」


 建物内へ向かい、空き部屋へ入った。

 椅子に腰かけてさっそく俺は『聖戦』について話した。


「これから皇帝を決める戦いが始まる」

「……聖戦ですね」

「さすがに知っていたか」

「ええ、長いこと生きていますからね。ただ、実際に見たことはないのです」


 彼女がいた時代ではすでに聖戦は停止されていたようだ。ということは少なくとも百年前から止まっていたわけだ。


「あの、ルドミラさん」

「なんでしょう、スコル様」

「ルドミラさんの知り合いとかで皇帝になりたい人とかいませんか?」

「難しい質問ですね。う~ん……少なくとも、私の知り合いではいませ――」


 言いかけたルドミラだったが。



「いまーす! います! ここにいるぜ~!」



 突然の“謎の声”にさえぎられた。



「「「うわッ!?」」」



 ニョキッと生えてくるようにテオドールが出現して俺たちは驚いた。



「いつの間に部屋にいたんだよ!!」

「驚かせるつもりはなかったんだがね。すまんすまん」


 俺はともかく、ルドミラが一番驚いていたぞ。


「テオドール! あなた、私の後ろから!!」

「あはは! ルドミラ、君は聖騎士のクセに油断しすぎだぞ――がはああああああああッ!?!?」


 笑ってからかうテオドールだが、ルドミラが珍しくブチギレていた。目にも止まらぬパンチを繰り出し、テオドールを沈めていた。ご臨終だなこりゃ。



「……当然の報いです」

「ひ、ひどいなぁ、ルドミラ」

「どうせ死にはしませんよ。神器エインヘリャルがあるんですから」


 ひょいっと起き上がるテオドールは、椅子に腰かけて足を組んだ。


「一理あるな。だけどね、聖戦が始まると我々の力は一時的に失われる。ルドミラ、それは承知かい?」

「…………そ、それは」


 な……そうだったのか!

 神器エインヘリャルにそんな制約があったとは知らなかった。


「で、テオドール。俺になにか用があったんじゃないのか?」

「あ~、そうだった! スコル様にお願いしていたんだった。ラスティ、私は聖戦に参加したいんだ!」


「そ、その話だったのか!?」


「ああ、そうだとも。ダメかい?」

「理由は……? 不純な動機なら却下だぞ」


「そりゃもちろん、嫁を増やしたいからだ!」



 場の空気が死んだ。

 これは酷い。テオドールには三人の嫁がいるのに、まだ増やしたいのかよ。確かに、この島国ラルゴは一夫多妻を認めてはいる。同性婚だって自由だ。

 だが、物事には限度ってモンがある。


「……却下だ」

「んな!?」


「そんな理由で皇帝になられたら困るってーの」

「そ、そんなぁ……! あと七人は増やしたいと思っていたんだが!」



 そんなにかよ!

 さすがに嫁の間で戦争が起きそうな気がするけどな。


「……あぁ、テオドール。ラスティくんが引いているではないですか」

「そうか? それよりルドミラ。お前はどうなんだ? 数百年ずーっと相手がいないようだが」


「…………は?」



 ブチッと鳴ってはならない音がした。

 そして、直後……テオドールはボロ雑巾のようにズタボロにされ、騎士団から放り出された。



 ……ルドミラがあんなにガチギレしたところを見たのは始めてだ。



 怖すぎて(なだ)めるのが大変だった。

 スコルがルドミラの怒りを鎮めてくれたので、いなかったら最悪だったぞ……!



「ルドミラも怒ることがあるんだな」

「も、申し訳ございません。取り乱してしまいました。大変失礼を……」


 ぺこぺこと謝るルドミラは、土下座する勢いだった。けどまぁ、テオドールには一度反省してもらわないとな。


 ……しかし、候補が見つからないなぁ。どうしたもんかね。

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