光と闇の攻防
「聖者だと……!?」
トルクァートがセインに対して驚いていた。
いや、俺もビックリしたけどな。
まさかセインが聖者だとは。
でも、この気配は今までとは違う。スコルと似た神聖なオーラを感じる。
「ラスティさん、僕があの男を止めます!!」
「分かった。でも無理はするな!」
「大丈夫です。勝てる気がするんです!」
剣を抜き、セインは物凄い勢いで突っ込んでいく。
トルクァートは必死に闇を繰り出し抵抗するが、圧倒的な聖属性の前に太刀打ちできないでいた。
「――ば、馬鹿な!!」
「くらえ!!」
斬撃がトルクァートに届くが、ダークシールドで防御していた。しかし、激しい聖属性攻撃の前に防御は無意味だった。
「がはああああああああ……」
地面に転がっていくトルクァート。
ついにダメージが通った。
「よくやった、セイン!!」
「ありがとうございます、ラスティ様!」
これは凄いぞ。あの鉄壁の防御を打ち破った。このまま押し切れば……!
「……フ、フハハ……」
「「なに!?」」
血塗れのまま立ち上がるトルクァート。な、なんだコイツ! あの深手で立ち上がるのか!
「痛かったぞ……今のは痛かったぞおおおおおおお!!!!」
トルクァートは怒り、叫ぶと闇を何度も放出した。く、くそっ! 闇雲にやりやがって、スコルに当たったら許さんぞ。
「……くっ!」
「セイン、とか言ったな。ハーフエルフの分際でこの私に歯向かうか!」
「そうさせてもらいます!! あなたがボロディンに君臨する限り、国に未来はないのだから!」
思いっきり踏み込んで加速するセインは、剣を振るっていく。けれど、トルクァートも闇から剣を作り、激しく抵抗した。
野郎、剣も作り出せるのか。
ダークエルフの魔法スキルは、かなり高度のようだ。
俺はこの隙にスコルを救出しようとしたが、別の場所からオークマザーが召喚されて現れた。
「な!! トルクァート、お前……オークを飼っているのか!!」
「そうです。私のダークエルフとしての力ですよ。闇の者は闇のモンスターを従える。魔王ドヴォルザークがそうであったように!」
「なんだと!!」
「知らなかったのですね、ラスティ。魔王ドヴォルザークは、もともとダークエルフ。ですが、彼は種族をも超越した『魔王』となった。魔の王とは、そういうことなのです」
魔王ドヴォルザークにそんな秘密があったとはな。でも、奴はもう俺が倒した。けど、このトルクァートが第二の魔王となるのなら、俺はヤツを倒す!
ヴェラチュールを振るい、俺はオークマザーを排除していく。
『ギャアアアアアアアアアア!!』
もうコイツ等は俺の敵ではない。
「ちっ、役立たずですね」
「よそ見をするな、トルクァート!!」
「おっと、そうでした。セイン、お前のようなハーフエルフはこの世にいらない。消えなさい!! ダークストライク!!」
闇の波動を放ち、セインは吹き飛ばされた。
「ぐあああああああああああああああああああ……!!!」
「セイン!!」
とんでもない闇のエネルギーだった。
くそっ、ユーモレスク宮殿が半壊してしまったぞ。
なんてヤツだ。
「所詮、セインは半端者。聖者であったとしても私の敵ではなかった」
「トルクァート、おまえ!!」
「さあ、残るはラスティ。お前だけだ。お前を殺し……スコルを我が妻とします」
「ふざけるなああああああああああ!!!」
俺は右手に聖槍・グングニルを生成した。
この一撃にかける……!




