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無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
幻影編(続・最終章)

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配信スキル

 街の噴水広場にあるベンチに座り、俺はルドミラの話を聞いた。


「で、話ってなんだよ」

「ええ、実はこの島国ラルゴに複数の新ダンジョンが出来たというのは御存知でしょうか」

「ああ、知ってるよ。多数のダンジョンが出来たらしいな」


 地下や洞窟ダンジョンはともかく、海底ダンジョンまで出来ていたとは驚いた。ちょっと興味はあった。


「実は、海底ダンジョンを殺人ギルドが占領していると情報を得ました」

「さ、殺人ギルド!?」


「はい。ラスティくんが不在の間に海外から違法入国した者が多数いるようです。大体は、騎士団が排除しましたが……ある二人組には侵入されてしまった模様です」


 申し訳ないと、ルドミラは責任を感じていた。

 そうか、俺のいない間を狙われたか。


「防衛兵器も完璧ではないということか」

「いえ、防衛兵器はきちんと動作しておりました。不法入国者は、共和国などの貿易船に乗っていたようです」


 なるほどね。貿易船に便乗してこっそり入国していたわけか。それなら、安全にラルゴに入れるわけだ。頭良いな。

 いや、だが感心している場合ではない。

 その二人組は、海底ダンジョンを独占している。

 このままでは正規の冒険者が利用できなくて困ってしまう。


「分かった。その二人組を何とかしよう」

「ありがとうございます、ラスティくん」


 手を握られ、俺は少し照れた。

 まったくルドミラは、純粋というか真っ直ぐだから……まぶしい。


 とりあえず、まずは海底ダンジョンへの行き方を聞きに『冒険者ギルド』へ向かう。まあ、もともと行くつもりだった。先に行かせたスコルもいるだろう。


 大通りを真っ直ぐ歩くと、冒険者ギルドが見えてきた。


 ルドミラを連れて入ると注目を受ける。



「おぉ、ルドミラ様」「あのビキニアーマーはたまらん……」「エロすぎんだろッ」「あの桃色の髪も麗しい」「白い肌がまぶしい」「芸術的なスタイルだ」「嫁にしたい」



 などなど感想が漏れていた。

 俺は完全に蚊帳の外だな。別にいいけど。


 受付へ向かうと、そこにはスコルがいた。



「お待ちしておりました、ラスティさん。……あら、ルドミラさんも」

「ご壮健で何よりです、スコル様」


 俺が挨拶を交わすと、ルドミラも丁寧に挨拶をした。



「スコル、配信の方はどうだ?」

「はい。配信の権限を冒険者ギルドに付与いたしました」


 どうやらもう済んだようだな。

 トレニアさんが慌しく駆けつけてきた。



「ラスティ様、ラスティ様!」

「トレニアさん、どうだい?」

「はい。おかげさまで『配信』の希望者が殺到しておりまして……元帝国と共和国などからも多数の問い合わせがきておりまして大変なことに」


 どうやら、配信の噂が一気に広まったようだな。現時点でも百人以上が申請済みで、すでに配信を始めているようだった。

 ギルド内にある巨大スクリーンにその様子が映し出されていた。へえ、本当に配信ができるんだ。これは面白い。


「海外からの受付は構わんけど、審査は厳しくな」

「そのつもりです。ラスティ様や関係者のみなさんは、優先的に特別付与させていただきますね」

「それは助かるよ」


 どうやらもう付与されているようだ。

 確認したら俺のスキル一覧に『配信』が追加されていた。対応早いな。



【配信スキル】

【詳細】

 世界ギルドに認定された者のみが使える特殊スキル。

 このスキルを使用すると常時『配信』モードになる。使用者の視点が世界ギルドに配信される。また、配信専用アイテム『ミラージュ』へ配信される。ミラージュで配信を閲覧できる。

 投げ銭を受けたり、投げたりできる。

 配信ランキング十位以内にランクインすると、様々な補正効果が発動する。特典も得られる。

 世界ギルドの規約に反する場合、このスキルは発動不可能になる。

 このスキルは魔力を消費しない。



 これが配信スキルの詳細。

 面白い。これを使えば様々な人達にダンジョン攻略だとか見てもらえるわけか。

 しかもランキング上位に入れば、様々な特典も得られるようだし、興味ある。



「わ~、これが配信スキル……面白そうです!」

「スコルがやったら人気でるかもな。可愛いし」

「か、可愛いだなんて……」


 顔を赤くして照れるスコル。可愛い。

 これなら、余裕でランキング一位を狙えるだろう。


「おっほん、ラスティくん」

「どうした、ルドミラ」

「海底ダンジョンの件が先です」

「そうだった」


 俺は、スコルとトレニアさんに海底ダンジョンの不法侵入者のことを説明した。二人とも驚いていた。


「では、わたしも同行しますね」

「ああ、スコルには来て欲しい」


 トレニアさんは、冒険者ギルドの対応に追われているようで無理そうだった。


「申し訳ございません、ラスティ様」

「良いんだ。ただ、海底ダンジョンは当分は閉鎖して欲しい」

「そ、それが……配信の件で多忙を極めておりまして」

「マジか。仕方ないな」


 誠に申し訳ありませんとトレニアさんは、責任を感じているようだった。仕方ない、ただでさえ人手が足りていないようだし。それに、ダンジョンの閉鎖は、時間も掛かるようだし。


 用は済んだ。

 冒険者ギルドを後にし、俺たちは海底ダンジョンへ向かう。


 ――のだが。


 ギルドの前に“男”が立っていた。

 まるで俺たちを待ち構えていたかのように。


 こ、こいつは……!

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