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無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
神々の黄昏編(最終章)

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剣聖青年の魔剣・クリントヴォルト

 ワープポータルを抜けると、そこは見知らぬ土地だった。

 周囲は荒野で何もない。


 ――いや、あった。


「……これは」

「ラスティ様……! この残骸はいったい……」


 ストレルカが不安の声を漏らした。

 周辺に家らしきものが灰になっているからだ。恐らく、ニールセンの軍が襲ったのだろう。


 少し歩くと、人らしきもの転がっていた。


 ここまでするのか、ニールセン。

 グラズノフ共和国を襲った時も容赦がなかった。人をなんとも思わないんだ。……アイツは、破壊を純粋に楽しんでいやがるんだ。


 早く止めないと、この惨状が帝都でも再現されるだろう。



「こんなの酷過ぎるのだ。兄上!」



 ハヴァマールの怒りも尤もだ。俺だって憤りを感じている。許せん。男だけじゃない、女子供も死に絶えていた。


 これが戦争か……。


 いや、違う。


 こんなのは戦争じゃない。


 一方的な虐殺だ。



 一刻も早くニールセンを――そう思った時だった。



「ラスティ様、邪悪な気配がひとつ来ております」



 エドゥが反応し、警戒態勢に入った。……確かに、感じたことのない気配だ。これは恐らく、神聖王国ガブリエルの……!


 予想通り、それは“敵”だった。


 黒い渦を纏わせて現れる若い男。


 まるで騎士のような……だが、白いタキシードで爽やかに微笑む。なんだ、コイツ。


 俺たちの前に姿を現すと、男は胸ポケットから黒い薔薇を摘まんで香りを楽しんでいた。そして、それを俺の元へ投げた。



「はじめまして、ラスティ」

「俺を知っているのか」


「知っているとも。僕の名はラファエル・フォン・ベル。偉大なる支配者・ニールセン様に仕える“剣聖”でね」


 剣聖……聖騎士に並ぶ最強のクラスか。

 なにが違うかと言うと、具体的には分からないが……剣聖は凄まじい剣技と魔力を合わせ持つという。聖騎士みたいに極端な馬鹿火力とは違い、バランス重視なのだとか。



「ラファエル……これはお前がやったのか」

「だとしたら、どうする?」


「お前を倒す」

「僕を倒すだって? ラスティ、君の噂は聞いている。けれどね、力を過信しすぎない方がいいよ。特に君は仲間が多い。それが仇にならなければいいけどね」



 黒い薔薇を投げ捨てるラファエルは、腰に携えている剣に手を伸ばす。コイツ、やる気か……!!


 俺は万能つるはし『ゲイルチュール』を即召喚して構えた。



「ラスティさん!」

「大丈夫だ、スコル。みんな、離れていろ……この男は、俺に用があるらしいからな」



 男は貼り付けたような笑みを浮かべ、黒い剣を抜いた。なんだあれは……真っ黒だが、赤い血管のようなものが張り巡っている。不気味だ。



「これは我が魔剣・クリントヴォルト。ただの剣と侮らない方がいいぞ」

「どうでもいい。お前を倒してニールセンの居場所を吐いてもらう」


「それは不可能だ。この僕を倒せるはずがないからね」

「そうか、なら倒してやる」



 妙に自信満々なのが気になるが、俺だって今まで散々レベルアップしてきたんだ。守るべきものも多い。負けるわけにはいかないんだ。


 こんな得体のしれない男にな。



「……フ。ラスティ、お前がここまで愚かだとはな」

「言ってろ、作り笑い野郎」


「ならば、お前に実力の差というものを分からせてやる」



 その直後、ラファエルの姿が消えた。


 なッ、嘘だろ。


 どこだ、どこに!!



「ラスティ様、上です!!」



 エドゥのおかげでラファエルの姿を捉えた。空に飛んでいたのか……いつの間に!



「くらええッ、サンダーブレイク!!!」

「秘奥義・葬送行進曲(ルビンシテイン)……!」



 俺の稲妻と、

 ラファエルの禍々しい黒い渦が衝突する。


 な、なんだこの感じたことのない死の臭い。コイツ……生への欲求があまりになさすぎる。もはや、虚無でしかない。



 やがて、俺のスキルとヤツのスキルは拮抗し、直ぐに弾け飛んだ。




「ご、互角だと」

「……いや、どうやら僕の魔剣の方が敗れたようだ」



 ボロボロと崩壊していく剣。

 マジか。


 ほとんど手応えがなかったけど、俺の方が強かったか。



「ラファエル、諦めるなら意味だぞ」

「……というのは冗談」

「なに!?」


「魔剣はいくらでも生成できる。こんな風にね」



 俺のゲイルチュールと同じように魔剣を生成するラファエル。……そうか、あの男の剣も俺と同じ召喚系ウェポンか。


 まだ戦いは始まったばかり――ということか。


 いいぜ、とことんやり合ってやる。


 そして、この男をぶっ倒してニールセンの情報を引き出す。今はそれでいい。



「第二ラウンドってとこだな、ラファエル!」

「そうだな、ラスティ。僕は久しぶりに血が滾っているよ。これほど生を感じられるのは……ニールセン様と戦って以来だ。君は素晴らしい人間だ。僕をワクワクさせているからね……!」



 ゲイルチュールと魔剣・クリントヴォルトが激突する――。

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