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無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
神々の黄昏編(最終章)

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ネクロマンサーの男

 世界聖書。

 (かつ)てドヴォルザーク帝国の皇帝が所持していたものだ。けれど、あれは偽物で“魔王ドヴォルザーク”が封印されているという『破壊の書』だった。


 本物は、ニールセンが所持していたということなのか。


「ニールセン、お前……」


「驚いたか、ラスティ。フフ、そうさ、これこそ正真正銘の本物の世界聖書。全ての理、予言、過去・現在・未来が記されたアカシックレコード。だが、そのページを開ける者は、世界でただひとり……エルフの聖女だけだ」


 ……エルフの聖女……だと。


「ま、まさか!」

「その通り。この聖書は普通の人間は読み取れんのだ。真っ白なページが続くだけ……だが、貴様の抱えているエルフ……スコル・ズロニツェこそ、この聖書を読み解くことが許される」


 そうか、本物はそういう仕組みらしい。

 ならニールセンが悪用できないわけだ。これまでも情報を得ることはできなかったようだな。……となると、真の狙いは……!


「……ラスティさん、わたし……」

「大丈夫だ。スコルのことは絶対に守ってやる」

「はい。信じています」


 俺の胸に顔を埋めるスコル。

 不安気で今にも泣きだしそうだ。


 ニールセンなんかに取られてなるものか。俺は何があろうともスコルを守る。



「ラスティよ、その脆弱なエルフを抱えたまま、この支配王であるニールセンを相手にしようなどと思っていないだろうな」



 ヤツは加速してこちらへ向かってくる。



「不可能を可能にするのが俺さ! エドゥ、俺の合図でテレポートを頼む」

「了解です」



 エドゥのテレポートで更に上空へ。

 黒い渦を巻いてニールセンも追ってくる。


 俺は直ぐに『聖槍・グングニル』を生成した。


 魔力を最大限に高め、俺は投射。



「くらえええッッ!!」

「ほう、魔力で編んだ聖槍とはな。だが、あまりに弱い力だ……」



 ニールセンは、黒い渦を引き延ばして“闇”で俺の槍を絡めとった。分かっていたけど……そう簡単にはいかないか。



「不気味な力を使いやがって。お前は何なんだ」

「不気味とは失礼だな。ラスティ、お前はこれを“闇”と認識しているようだが、それは大きな間違いだ」


「なに……?」


「これは“思念”さ。帝国や共和国が争い、幾たびの戦争で無念に散った者達……その魂の集合体。

 改めて我が『ネクロマンサー』の力を示そう」



 今度は、ヤツが攻撃を仕掛けてきた。

 ネ、ネクロマンサーだって!?


 ニールセンは“死霊使い”ってことか。


 エドゥにテレポートを繰り返して貰うが、ニールセンもまた瞬間的に俺たちを追尾する。……馬鹿な、ヤツもテレポートを使えるのか。



「ラスティ様。ニールセンの力は、この世のものではないようです」

「そうだろうな、エドゥ。とにかく、テレポートを続けてくれ」

「了解」



 街への被害は防ぎたい。

 だから空中戦しかない。


 空で戦うだなんてな、信じられないけどこれが現実だ。今もテレポートを続けながら高度を保っている。


 余計なことは考えないで、ヤツを倒すことだけに集中する。それと、スコルとエドゥを守る。それだけだ。



 今度はゲイルチュールを召喚して、俺は構えた。



「ラスティ、お前はそんな武器でこの私を倒そうと言うのか。愚かな」

「これが俺のメインウェポンだからな!」



 無人島開発スキルを念じ、俺は『鉄』をアイテムボックスから取り出した。それ瞬間で加工し、いくつもの『槍』に変えた。


 宙に浮かぶ無数の槍。



「……製造スキルだと!?」



 さすがのニールセンも俺のスキルを目の当たりにして驚愕していた。

 普通、戦闘に製造スキルは使わないからな。だが、俺の本質はこれだ。材料を集め、それを生活の基盤とするか、あるいは武器とするか。


 だからッ!



「飛べえええええええッッ!!」


「こ、この量の鉄の槍を生み出すとは……! チッ、魔法攻撃ならば防げるが、物理攻撃(・・・・)は厄介だ。貴様との相性は悪そうだな。まあいい、今日は様子見であった」


 高度を下げていくニールセン。

 野郎逃げる気か!



「この卑怯者!! 正々堂々と戦え!!」

「これは逃げではない……転進だ。いいか、ラスティ……これは“戦争”だ。貴様と戦うだけが全てではないのだよ。手土産にこの共和国に災厄をプレゼントしよう」



 ヤツは、指を鳴らす。


 すると何もないところから『ブラッディローズ』という血に塗れた死神が召喚された。な、なんて数だ。


 大きな鎌を持ち、不気味というか(おぞ)ましい。


 しかも、一体、二体というレベルではない。


 三十はいた。



「ニールセン、お前!!」

「ドヴォルザーク帝国に使うはずだったが、まあいい。魔界からわざわざ取り寄せた……極上の死霊たちだ! とくと味わうがいい!」



 ヤツは撤退していく。


 くそっ、なんてものを残していきやがる!


 死神たちが降下して街へ向かっていく。なんとかしないと!

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