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無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
神々の黄昏編(最終章)

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グラズノフ共和国の姫騎士

 ボスモンスターを倒してからは平穏が訪れた。特にトラブルに見舞われることなく、グラズノフ共和国へ辿り着いた。


 見えてくる広々とした港。

 多くの漁船や商船で埋め尽くされ、以前よりも活気があった。明るく賑やかで共和国らしい空気感だ。


 空いている桟橋に着け、ついに共和国の大地に降り立った――のだが。


「そこの少年、外国の商船は入国許可証と入国料を支払っていただきます。まずは許可証を提示してください」


 大人びた女性にそう言われ、俺は焦った。……まてまて、入国許可証だって? 以前はそんなのいらなかったぞ。でも、あれはブレアがいたからかな。


 しかも、入国料まで払わないといけないのかよ。困惑しているとストレルカが詳細を教えてくれた。


「ラスティ様、近くの方に聞いたんです。どうやら、外国の商船は別の港で入国審査をしないといけないようです。すみません、わたくしの船が該当してしまって」


「いや、ストレルカのせいではないよ。う~ん、仕方ない……許可証を取りにいくかね」

「それが……申請には“一ヶ月”も掛かるそうです」


 い、一ヶ月!?


 そんなに待てるかっ!

 ここは事情を話して通してもらうか。


 俺は改めて女性の方へ向き直り、事情を説明した。



「俺は『島国ラルゴ』から来たラスティ。このことを『ブレア姫』に伝えて欲しい」

「……はい?」


 女性は、何言ってんだコイツみたいな目で俺を見てきた。なんでそんな可哀想な子を見るみたいな目で見てくるんだ。


 しかも、周囲のおっさん達も大笑い。



「ガハハハハ!」「おいおい、ブレア姫だってさ」「会えるわけねってーの」「ガキを相手にしているほど姫様は暇じゃねえよ」「てか、島国ってどこだよ」「こりゃ、強制退去だな」



 などと見下してきていたが――事態は一変。大通りから、見覚えのある人物が現れた。あの赤い髪、堂々とした顔立ち、立ち振る舞いは間違いない。



「よう、ブレア」

「これはこれでは、港が騒がしいかと思えばラスティではないか」



 ニヤッと笑うブレアは、前と変わらず元気そうだ。ガッチリ握手を交わすと、周囲は騒然となった。



「え……ウソだろ」「ひ、姫様があんな少年とぉ!?」「あの凛々しく気高い姫様が……どうなっているんだ!!」「ありえね、ありえねえ!!」「そんな馬鹿な」「な、何者なんだ、あの少年」



 そんなに驚かれるとはな。

 過去にブレアと協力関係になっておいて良かったぜ。



「ブレア、君に話があるんだ。けどさ、入国許可証と入国料を求められていて困っているんだ」

「ふむ、では昔のよしみだ。免除しよう」



「「「「「えええええええええッ!!!!!」」」」」



 また周囲の男達が叫んでいた。

 コイツ等いちいち反応が面白いな。


 けど、それはスコルたちも一緒だった。



「さすがラスティさん!」と目をキラキラ輝かせるスコル。その隣でハヴァマールも「兄上は顔が広いからな。元第三皇子だし」と何度も頷く。更にエドゥは「これは驚きました。やっぱりラスティ様についてきて良かったです」と尊敬の眼差しを向けられた。


 ストレルカは目がハートになっていた。そう褒められると嬉しいな。



 なんとか入国許可証も入国料も免除になり、俺たちは正式にグラズノフ共和国へ入国できた。



 * * *



 ブレアは俺たちが来ることを予測していたようだ。


「世界情勢は把握している。神聖王国ガブリエルが進軍し、ドヴォルザーク帝国と戦争状態であるとな」

「このままだと帝国崩壊の危機だ。ニールセンが真の皇帝になれば、次は俺の国か……あるいは共和国だろう。アイツは“支配王”だからな」


「そうらしいな。このままではグラズノフ共和国もいずれ……。だから来たんだろう、ラスティ」


「そうだ、協力関係を改めて確認しに来た。それと交渉もある」

「なるほど。詳しくは城で聞こう。将軍である父上にも会わせたいし」


 大通りは坂道になっていて、丘の上に大きな城があった。あれは『城塞』だな。いくつもの大砲が備え付けられており、厳重だ。


 まずは話からだな。

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