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無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
神々の黄昏編(最終章)

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ドヴォルザーク帝国侵攻

 建物を増築するという目標は達成した。

 再びラマ・パコスに乗って拠点を目指す。城に着くころには日が沈み、夜になった。


「……ふぅ、なんとか到着。野宿にならなくて良かった」


 スコルを降ろし、立たせた。


「ありがとうございます。ラスティさん」

「いや、こっちこそ付き合ってくれてありがとう」


 自然とお互い見つめ合う。

 また求め合おうとするけれど、ハヴァマールがやって来た。



「兄上、戻っていたのか!」

「あ、ああ……ただいま、ハヴァマール」


「スコルも一緒だったのだな」

「はい、ハヴァマールさん。わたしもご一緒していました」



 納得するハヴァマールは改めて俺の方へ向き直った。この顔は、なにか報告でもありそうだな。


「なにか変わったことがあったのか」

「うむ……兄上、大変なのだ」

「た、大変って……なにが?」

「とにかく大広間へ来るのだ」


 手を引っ張られ、俺は連行されていく。

 なんなんだか……?



 * * *



 大広間へ到着すると、中で待っていたルドミラやエドゥが立ち上がった。俺をずっと待っていたのか。


「どうしたんだ、ルドミラ」

「ラスティくん……ドヴォルザーク帝国が……」


「ま、まさか……! ニールセンの……神聖王国ガブリエルの侵攻があったのか!?」


「その通りです。数時間前、南西より大軍が国境を突破した模様です。帝国と神聖王国ガブリエルは陸続きですからね」


 ニールセンのヤツ、ついに動き出したか。

 ドヴォルザーク帝国を守ろうという前に手を打ってきたってことか。行動が早いな。


「状況は?」

「今のところはルーシャス・スナイダー団長率いるレオポルド騎士団が迎えていますが……果たしてどこまで持つか」


「ルーシャス……」

「はい。現在のレオポルド騎士団の兵力は申し分ないのですが……やはり皇帝陛下なき現状では士気はかなり低いのです。逃げ出した者も多く……数的には帝国が十万。ニールセン側が二十五万といったところです。このままでは……」



 悔しさを(にじ)ませるルドミラ。

 そこまで減っていたのか。

 いや、分散している兵力もあるせいだろうけど……それでも少なすぎる。


 俺が思っている以上にドヴォルザーク帝国は弱体化していたらしい。そこまでとはな……このままでは支配され、蹂躙(じゅうりん)されるだけだ。


 どうするべきか悩んでいると、扉が開いた。



「誰だ……!」



 ルドミラが剣を抜き警戒する。

 だが、その顔に見覚えがあった。



「トレニアさん。久しぶり!」

「お久しぶりです、ラスティ様」



 トレニア。

 以前、ドヴォルザーク帝国で“移民募集”した時にお世話になったギルドの受付嬢だ。当時は『世界ギルド』のギルドマスターでもあった。今は我が島の住人となっていたのだが……。



「今は大事な会議中で……」

「ご無礼をお許しください、ラスティ様。それより噂は聞いております。ドヴォルザーク帝国がピンチなのですよね」

「あ、ああ……」


「では、世界ギルドをご利用ください。私は辞めてしまった身ではありますが、呼びかけることは可能です」


「世界ギルドを?」


「はい。ラスティ様の声でしたら、きっとグラズノフ共和国、エルフの国ボロディンにも情報が届くはずですから」


「……その手があったか。世界が危機なのは一緒だ。帝国が落とされれば、次は共和国、その次はボロディンと波及していく。あのニールセンならやるだろうな」



 結局俺は、ドヴォルザーク帝国を守らなきゃいけないんだな。自国で手一杯だというのに……他人の国を救おうとしている。……いや、皇帝は不在だけど。


 何の為に……。


 世界の為か。


 そうなるんだろうな。


 これが世界聖書の運命なのか?



「いかがなさいますか、ラスティ様」

「確かに、帝国は滅亡の危機に瀕している。このままだと焼野原になるだろうし……何の罪のない人々が殺されるだろう。海外の……蚊帳の外の話ではあるけど、放ってはおけない。どのみち、ラルゴにも攻めてくる。なら、今こちらから攻める方が得策と言える」


「では……通達を」

「よろしく頼む」

「了解しました」



 トレニアは、丁寧に頭を下げて去っていく。

 見送るとルドミラが軽い溜息を吐いた。



「よろしかったのですね、ラスティくん」

「ああ、帝国は腐っても故郷だ。今回は特別に貴族も含めて助けてやる」

「……素晴らしい志です。我が主」


 これで決まりだ。

 こちらから出るのは各国の反応次第だ。


 援軍があれば助かるのだが――。

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