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無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ 【コミカライズ企画進行中】  作者: 桜井正宗
開発編

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はじめての船旅

 着替えを終えたスコルが戻って来た。

 なんだか、いつもと雰囲気が違う。当然だ、プレゼントしたワンピースを着ているのだから、印象もガラリと変わった。


 なんて清楚(せいそ)

 なんて可愛らしい。


 花柄のワンピースが女の子らしさを引き立てていた。なんて可憐。天使。エルフの民族衣装もそりゃあ可愛かったけど、これは段違い。



「…………おぉ」



 俺は思わず感嘆(かんたん)する。

 更に、万感(ばんかん)の思いで拍手をした。


「これは……素晴らしい。一輪の花のようで、同性である余ですら胸がキュンキュンするのだ」


 ハヴァマールもスコルの姿に目を輝かせていた。それはまるで羨望の眼差し。もしかして、ハヴァマールもああいう女の子らしい格好をしたいのだろうか。



「な、なんだか恥ずかしいですね」

「いや、似合っているよ、スコル。うん、最強に可愛い」

「えへへ……。ラスティさん、そんな褒めないで下さい。照れちゃいます」


 既に照れているスコル。うん、これは作った甲斐(かい)があったなぁ。ハヴァマールの裁縫スキルにも感謝だ。



 ◆



 さて、ようやく全員集合。

 朝食を済ませ、リビングに全員を集めた。


「みんな、今日は出発の日だ。はじめての船旅だ。予定通り、俺とスコル、ハヴァマールでエルフの国へ向かう。ブレアは共和国へ連れていく。なので、残ったアルフレッドとエドゥは島の留守番を頼む」


 まずは俺は、残留組のアルフレッドとエドゥにお願いした。


「ええ、もちろんです。何があろうとも島を守り抜きます」

「頼んだぞ、アルフレッド。一応、防衛設備の権限を付与しておく」



 島の防衛設備に関して、特定のメンバーに発動権限を譲渡・付与が出来た。俺が認めた者は、防衛設備が扱えるようになるのだ。例えば、ボウガンだ。あれを他人も扱えるようになる。今回は、一番信頼できるアルフレッドに一任した。



「ありがとうございます、ラスティ様。大賢者エドゥアルド様のお力も拝借(はいしゃく)しますので、ご期待には添えられるかと」

「ああ。そういうわけだ、エドゥ」


 俺は視線をエドゥに移す。


「そうでした。わたしには“結界”の力もあるんです」

「結界?」

「ええ、大出力故に三日間しか持たないですが、しばらくは外敵から島を守れますよ」

「すげぇな、それ。つまり、バリアか」


 こくっとエドゥは(うなず)く。



 [ルミナス][Lv.7]

 [補助スキル]

 [効果]

  一定の範囲を指定して結界を展開する。物理・魔法攻撃から守護する。認定した敵、モンスターからの侵入を阻む効果もある。ルミナスの耐久値を超えた場合、このスキルは消失する。基本耐久値は30000。発動後、三日間のクールタイムが存在する。



 Level.1 :耐久値 +10000

 Level.2 :耐久値 +10000

 Level.3 :耐久値 +10000

 Level.4 :耐久値 +10000

 Level.5 :耐久値 +10000

 Level.6 :耐久値 +10000

 Level.7 :耐久値 +10000



 そんなスキルまであるとはなぁ。

 ただし、三日か。それまでに戻れればいいんだけど、期限を超える可能性はある。ここからエルフの国まで何日掛かるのかも分かっていないし。けれど、ないよりはマシ。エドゥの力を頼ろう。


「わたしもお守りしますので、ご安心を」

「いつもすまないな」



 二人に島を任せ、俺はスコル達の方へ。



「スコル、ハヴァマール、ブレア、出発だ」



「はい、ラスティさん。ついにボロディンへ行けるんですねっ」


 すっかりワンピース姿が馴染んだスコルは、胸を弾ませる。物理的にも……!



「久しぶりの異国、楽しみだ。ボロディンは料理も美味しいと聞くし」


 珍しくテンションの高いハヴァマールは、猫耳を世話しなく動かしていた。俺もだけど、ハヴァマールも島を出るのは初めて。浮かれる気持ちも理解できる。



「すまないが、グラズノフ共和国ヘ寄っては貰えるんだろうか……」


 そうだった。ブレアの件も片付けないとな。彼女を共和国へ送り届けねば。もちろん、その後は協力関係になってくれるはず。


「もちろんだ、ブレア。君を送るようストレルカに交渉する」

「ありがとう。感謝する」


 普段は毅然(きぜん)した態度だけど、今のブレアはお姫様っぽい口調で華やかだった。へぇ、ああいう顔も出来るんだな。



 アルフレッドとエドゥに見送られ、家を後にした。最後まで手を振り、しばしの別れとなった。……少しだけ寂しいな。



 浜辺を歩き、ストレルカのテテュス号が停泊している(がけ)を目指す。モンスターとの遭遇もなく、無事に到着。なんだか順調すぎて逆に怖いな。



「さあ、着いた。後はこの渡橋を行く。スコル、手を」

「ラ、ラスティさん。いいんですかぁ!?」

「え、いいよ。だって転倒したら海へ真っ逆さまだし」

「……は、はい。それでも嬉しいですっ」



 スコルの手を繋ぎ、ついにテテュス号へ乗り込んだ――!

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