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帝国追放

 ――腹が減った。死ぬ。俺は……死んでしまう。なぜ俺は今『無人島』にいるんだ。おかしいだろ、皇子の俺がなぜ――。



 ……一週間前……



 父上である皇帝陛下に呼び出された俺は、口笛を吹きながら『パラノイア』という皇帝の間へ入った。途端、父上は険しい顔でこう言った。



「ラスティ、貴様は無能すぎるッ! よって、我がドヴォルザーク帝国から追放する!!」


「はああああああああ!?」



 いきなりすぎて意味不明だった。

 俺は第三皇子なのに、どうして追放されなきゃならんのだ。おかしいだろ!!



「理由を教えて欲しいか」

「教えろ! いくらなんでも理不尽すぎる」


「いいだろう。そこまで言うなら教えてやる。ラスティ、貴様は元々は魔王の子(・・・・)だったからだ!! そんなヤツは置いておけない」



「なッ!! バカヤロウ! そんな重大な事、初めて聞いたわ!! 十六の誕生日に急に言うな!」



「黙っていたことは済まない。だが、事実は事実。消えろ(・・・)


「ふざけんな、このクソ親父いいいいいいいい!!」



 俺は殴りかかろうとしたが――親父から『強制追放テレポート』を食らい、いきなりドヴォルザーク帝国から追放されてしまった。



 くそがあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ…………!!!!!



 どおおおおおおおしてだよおおおおおおおおおおおおお!! なんでなんでなんで俺が追放されてなきゃならん!!



 てか、魔王の子ぉ!?



 なぜ俺を第三皇子として育てた! 黙っていた!! いきなり追放とかさああああああああ……あああああああああああああ…………。



 何もない砂漠で俺は三日三晩叫び続けた。おかげで喉がガラガラ。叫ぶ気力もなくなり、脱力。灼熱の砂に埋もれ、死にかけた。……アツイ、皮膚が、肉が焼けそうだ。俺はこのままミディアムレアになって死ぬのか……。


 ジュゥゥゥゥゥ……と、上手くこんがり焼けているし、きっとイイ焼き加減なんだろうなぁ――ってアホか!!



 死んでなるものか。

 あんなクソ親父に負けてなるものか……。もういい、俺はひとりでも生きていく。こんなクソみたいな世界でな!


 ていうか、俺……帝国の外は初めて出た。こんな砂漠があるなんて本でしか知らない知識だったのに……こんなに汗がダラダラ出る程熱いんだな。…………あぁ、そろそろ水が飲みたい。オアシスはないのか……?



「……みず」


『――――力が欲しいか?』


「……みずぅ」


『力が欲しいのか。ラスティ・ヴァーミリオン』



「んなモンより……水をぉぉぉ…………」



『分かった。水が欲しいのだな……そうだな、貴様にはこの砂漠は辛かろう。まずは『無人島』へ飛ばしてやる』



 その声が聞こえた瞬間、俺はいきなり『強制テレポート』を食らった。……またかよおおおおおおおおおおおおおおおお~~~~~~!!!



 目がぐるぐるする。気持ち悪い。泣きそうだ。なんで俺ばかりこんな目に遭うんだ。世界の悪意を感じるよ。頼むから優しくしてくれよ、世界。


 死にそうな思いで焦点を合わせると、そこにはまた砂漠が……いや、違う。これは『浜』だ。俺の足元に波が打ちあがってきて……冷たかった。



「…………ぁ」



 水だ。

 水だ。

 水だ。

 水だ。


 水だ、水だ、水だ、水だ、水あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!



「いやほおおおおおおおおおおおお~~~~~~いッ!!!」



 って、海水じゃねええええええええええええか、しょっぺええええええええええ!!!!

面白い・続きが読みたいと感じましたら

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