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ゲームに出てこないのに美形なのはなんで?  作者: 妖狐
改変した舞台
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アルカディア41 アリス

「なるほど。」

 腕を組んで私の話したことを頭の中で整理しているのか静かに目を閉じるエスズ様。

「複数のゲームの世界が混じりあっている世界。いえ、共通の世界を共有していると言った方が正しいでしょうか。」

 冷静にそう言ったエスズ様。

「エスズ様はゲームの知識があるのですか?」

 そう聞いてみると、エスズ様はムッと顔をしかめた。

「その慣れてない言葉遣い。いい加減やめてくれない?そろそろ我慢できなくなってきた。」

 突然そう言われ、何も答えられなかった。

「元々使ってない言葉遣いとはいえ、貴族ならもう少し感情を隠しなさい。」

 今までとは全く違う雰囲気でエスズ様がそう言った。

「それと仕草も。貴方、前世男でしょ?」

 まさかそこまで見抜かれるとは思っていなかった。

「ど、どうしてそこまで。」

「見ていれば分かります。細かいとこなので気づかない人が多いと思いますが。」

 エスズ様に隠し事はできないと痛感した。

「分かりました。ではエスズさんと呼ばせてもらいます。」

 私がそう言うと満足そうに頷いた。

「じゃあ、私の方からもこの世界について話すわね。知っての通り、私もゲームの登場人物。そして、前世の記憶を持っている。」

 エスズさんがそう言って話し始めた。

「私以外にも把握しているだけで2人前世の記憶を持っている人物が存在している。」

「2人もですか。」

「把握しているだけではね。もっといても不思議じゃない。」

 淡々と話す。

「その2人はこの国にいるんですか?」

「いいえ。この国の人ではないわね。アリスさんは私の出るゲームのシリーズ全てやったことありますの?」

「あります。ゲームは色々と幅広くやっていたので。」

 正直恥ずかしかった。前世では周りにもゲームが好きと言っていたし、友人ともよく一緒に遊んだ。だが、今現実のなったゲームをやっていることは隠していた。なのでエスズさんから何を言われるか分からず少し怖かった。

「そう。なら心強いわね。」

 それだけだった。エスズさんは何も変わらず話を続ける。

「今現在私の把握している前世の記憶を持っている人物はエルドラド皇国にいます。」

「エルドラド皇国、まさか留学に行っている王子ですか?」

「いいえ。記憶を持っているのはエルドラド皇国の次期皇帝と皇妃の2人。名前は分かるわね?」

 私はエスズさんの言葉に頭が追いつかなかった。

「それは、本当ですか?」

「ええ。本当よ。」

 それ以上は言おうとしないエスズさん。つまり、信じても信じなくても同じと思っているのだろう。

「分かりました。」

「ならいいわ。次に話したいのはこの世界があとどれくらいの世界と共通しているか。あなたの記憶に召喚が関係するゲームはある?」

「召喚ですか・・・」

 現実のなったゲームを作った会社の作品はいくつかやっているが、エスズさんの聞いた召喚に関するゲームは記憶にない。

「少なくとも私には無いです。やっていないゲームの中にはあるかもしれませんが。」

「可能性はゼロじゃないという事ね。わかったわ、ありがとう。」

 エスズさんが先程から書いていた本に今の話を書き始める。

「エスズさんはなぜそう思ったのですか?」

「召喚された人を見たからよ。」

 手を止めることなくそう言った。

「そうですか。今はどちらに?」

 そう聞くとエスズさんが手を止めてこちらを向いた。

「もう居ないわ。私が殺したから。」

 まっすぐと私のことを見つめるエスズさん。その目は突き刺さるように鋭かった。

「動揺、驚愕。少しの恐怖かな?」

 エスズさんの隣にいたディーネさんが手に持った薬品を通して私のことを見てそう言った。

「少なくとも、私が貴方のことを殺すことは無いとは思っているようですね。」

 先程までの鋭い目をやめたエスズ様。

「この世界を向こうと一緒に考えるといつか痛い目見るわよ。」

 近くに積まれていた本の山から一冊取り出して私の前に置いた。

「この世界の現状について話すわね。」

 エスズさんが開いた本には地図が書いてあった。

「これが今私たちの暮らす大陸。話を聞く限り、他にも大陸が有るみたいだけどその情報はないから今回は省くわね。」

 エスズさんが地図の1箇所を指さした。

「ここが私たちの国アルカディア。そしてここがエルドラド。」

 海沿いと大陸の中心を指す。

「友好関係から言うとエルドラドは一つの国を除いて表面上はただの隣国という立ち位置を長らく続けている。そしてそのエルドラドにこの大陸で唯一敵対しているのがここ。」

 丁度アルカディアとはエルドラドを挟んで反対の位置を指した。

「国名はヴァーナ。エデン連邦ヴァーナ衛生国。」

 なんだか先程から聞き覚えのある言葉ばかりだ。

「国名に関しては気にしないでゲームの世界が現実になってるんだからそういう名前が多くなるのは当たり前よ。」

 エスズさんはこの世界について色々知っているのだろう。当たり前と言った感じでそう言った。

「話を戻すわね。このヴァーナはこの大陸で昔ほかの大陸から攻めてきた国との戦いの時、真っ先に降伏をした国なの。そのせいで今でもその攻めた国の衛星国になってる。」

「それがエデン連邦と。」

「そういうこと。そして、召喚をやったのもこの国。」

 エスズさんはそう言いながらヴァーナに指した指をトントンと動かした。

「どうかしましたか?」

 エスズさんが少し悩むような顔をしていることに気がついた。

「・・・思い出しちゃったのよ。私がこの手で殺したあいつの顔を。」

 はぁと息を吐くエスズさん。

「召喚されて、言葉も分からないし知らない人しかいない。そんな中で同じ言葉を話し、日本のことを知っている相手を見つけた。だけど、その相手が人を殺すことがある事実を知っているっていう最低最悪な状況だったあいつがどんな感情で最後を迎えたのかと思ってね。今更考えてもどうしようもないのに。」

 エスズさんが思い出すようにそう話す。私は人を殺したことはもちろん無い。なのでどう返すか迷ったが、これまで話していてエスズさんが感情的に人を殺すとは思えなかった。

「えっと、その召喚された人はそのままエスズさんに殺されなかった場合、どうなっていたんですか?」

 何かエスズさんのフォローになれることを言うことが出来ればと思いそう聞いてみた。

「運が良ければそのまま国で生活できたと思うけど、多分難しかったと思う。知識や技術があってもそれを伝える方法がない。私たちがあいつを殺した理由はあいつの記憶から私たちの脅威となる情報とか技術を盗られることを防ぐためだったから。」

「記憶から?」

「そう。連邦は私たちの知らない技術や力を持っている可能性が高い。その中に記憶を除くことが出来る方法があっても不思議じゃないからね。」

「そんなことをして、人間が耐えられると思いません。」

「ええ、耐えられないでしょうね。」

 つまり、死ぬことは決まっていたという事だ。それならばフォローのやり方はわかりやすい。

「それならばエスズさんが悩む必要は無いのでは?死ぬ事が決まっているのであればその時期が早くなっただけだと思うのですが。」

 私がそういうとエスズさんはフッと笑った。

「ありがとう。だけど、殺したことに後悔は無いの。ただ、今思ったことにいよいよ人間やめて来たなと思っただけ。」

 エスズさんがそう言いながらディーネさんの方を見た。

「私知らなーい。」

 顔を逸らすディーネさん。そんなやり取りに私は少し笑ってしまった。

「まぁ、いいわ。またゆっくり話す時間を設けたいのだけど大丈夫?」

「ええ、もちろん。」

 エスズさんもディーネさんも笑ってしまった私に釣られるように笑顔になっていた。

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