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ゲームに出てこないのに美形なのはなんで?  作者: 妖狐
改変した舞台
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アルカディア36 エスズ

 王城で正式に一時帰国したことを報告し、それが終わると待っていましたとばかりにエルドラドのことを根掘り葉掘り聞きに来る人たちから逃げていた時、私のことを匿ってくれたのは学園で古語を教えていたトウコ先生だった。

「ふう。感謝しますわ。」

「気にしないで。」

 若干やつれ気味なトウコ先生。

「それにしても、エルドラドのことを聞いてもそこまで新しい発見ができると思いませんのに、どうして聞きに来るのでしょうか。」

 トウコ先生とは学園の生徒と先生と言うだけなのでお嬢様モードで接する。

「その規格外さを理解していないのでしょうね。」

 体を投げ出すように椅子に座ったトウコ先生。

「何かありましたの?」

「気にしないで。色々心労がね。」

 よく見ると目元には隈が深く残っている。相当寝不足なことが分かる。

「学園の先生がそんな状態なのは良いと思いませんわよ?」

「・・・常に監視されてると思ったら、そんな気楽に居られる?」

「・・・監視されていますの?」

 そう聞くとコクっと頷いた。

「そういうことでしたの。ちなみに何方から監視されていますの?」

「人じゃないわ。国よ。エルドラド皇国。」

 エルドラドがどうしてアルカディアの一般人を監視しているのかよく分からなかった。確かトウコ先生はサリスさんが部長をやっていた古文書研究部の顧問ではあったが。

「今も監視されてますの?」

「さぁ?だからこうなってるのよ。」

 トウコ先生がそう言って目を閉じる。

「そうですか。」

 私自身監視されていると言う意識は無いが念の為周囲に力を纏わせた細かい水を解き放つ。

「・・・そこですね。」

 水がソナーの音波のように部屋のものに当たりその反応を感じ取ると、人の形が現れた。

「バレたか。」

 私の目線で隠れていたことを見破られた監視役が姿を現した。

「サリスさんみたいに実体を無くすことは出来ないのですね。」

「あの方と比べないでくれ。というか、この国にその力を持つものを派遣する理由もないしな。」

 執事服の男性がそう言って笑う。

「お久しぶりですかね?そこまで時間は経っていないような気もしますが。」

 普段とは全く服が違うので雰囲気が違うが、声と顔からサリスさんの護衛をしているメールさんの部隊にいた人だったはず。

「いや、挨拶したのはエスズさんがエルドラドに来てすぐの頃だったので久しぶりですよ。」

 当たり前のように監視していた人物を見破り、会話を始めた私にトウコ先生が唖然としていた。

「監視の理由を聞いても?」

「元々監視はしていた。エスズさんも入ったことあると思いますが、古文書研究部の部室には貴重な本も保管されてますから。何かあった時すぐに回収できるようにと。」

「なるほど。」

「あとはサリス様がそちらのトウコ先生について気にしている様子でしたので。」

「それでメールさんの部隊にいる貴方が。てっきり、何かやったのかと思いました。」

「むしろ護衛対象ですので。ご安心ください。」

「との事ですよ?良かったですわね。トウコ先生?」

 大量の情報を投げつけられたトウコ先生は疲労もあってか完全に思考が止まってしまっていた。

 トウコ先生が匿ってくれた部屋から出たその後も王城ないを追いかけられたが、何とか用意された部屋にたどり着き休むことが出来た。

「さて、来ましたわね。セイレン学園。」

 馬車を降りた私の視界に広がるのは私が通っていた王立の学園とは違い雰囲気から気圧されるような良い言葉でいえば気品のある、悪い言葉ではいえば贅沢な作りの門と学園の校舎まで伸びる石畳の道だ。

「自然と切り替えましたね。」

 私の隣でミューダがそう笑った。

「こんな見栄張るためだけの所に普通のモードで来るなんて吐き気がします。」

 ミューダに話しかけられて切れてしまったお嬢様モードを再び入れて門を潜る。両脇には整えられた庭園が広がっており、そこでは庭師たちが丁寧に仕事をしていた。道を歩く私たちに気が付きこちらを見たので軽く笑顔で会釈をすると、慣れていなかったのか慌てたようにお辞儀をしてくれた。

「やはり、こちらの学園に通う貴族の家は今後私が王になる上で課題となりそうですわね。」

「お嬢様。」

「聞こえてないわよ。」

 私の言葉に心配してミューダが話しかけてきたが、後ろを歩く騎士団長は今の会話が聞こえている様子は無い。

「ようこそお越しくださいました、エスズ様。ここからは私がご案内させていただきます。」

 校舎の前で私たちのことを待っていたのはセイレン学園の学園長だった。

「ええ、よろしくお願い致しますわ。」

 学園長はそのまま校舎の中に、は行かず、校舎に沿って続く道を歩き始めた。

「校舎の中には入れたくないという意思が伝わってきますね。」

「王立の学園を見下しているのでしょうね。」

 小声でそう話していると、講堂の入口に着いた。

「こちらが会場となります。エスズ様にはお時間までこちらの待機室にてお待ちください。」

 通された待機室はそこまで広くは無いが清掃され机と椅子が置かれていた。

「待機室と言われていましたから、どんな所かと思いましたが。」

 椅子に座ると今朝ホークから受け取った手紙を取り出した。

「そちらは?」

 私の持つ手紙について騎士団長が聞いてきた。

「ホークからの手紙。この学園についての情報探ってくれてたみたい。」

「ホークさん・・・あぁ、レライアを統治してる家のホーク様ですね。」

 思い出したようで納得したような顔をした。

「情報共有はしておきます。」

 騎士団長とミューダにも見えるように手紙を机の上に置く。

「ふむ、なるほど。」

 手紙の内容はこの学園にいる中立に近い立場を貫いている貴重な存在についてだった。

「確かに彼女のことは聞いたことがあります。貴族の位で権威が決まるこの学園において自ら持つ知識と計算力で生徒会の書記にまで成り上がった優秀な生徒と聞いてます。」

 元々ある程度の貴族位にいたという考えてもその能力の高さは評価できるだろう。そして私たちにとっても重要な中立の立場。

「早めに接触して起きたいところですが。」

 手紙の下にある紙を少しだけズラす。

「ホークさん、何処から手に入れたんですかね。」

 ズラしたことで紙に書いてある情報がしっかりと読めるようになった。

「生徒の情報か。触れる者も限られているな。先生までも手中に収めているのか。あの者は。」

 騎士団長がそういった時、待機室の扉が叩かれた。

「失礼します。今回の進行を努めさせて頂くものです。」

 音に反応して警戒態勢を取った騎士団長とミューダだったが、その声に少し警戒を緩めた。

「入っていいわよ。」

 机の上の手紙を手早くしまい、そう返す。

「ありがとうございます。」

 ガチャっと扉が空いて1人の女子生徒が入ってきた。

「本日はお越しくださり、ありがとうございます。改めまして、今回進行として会を進めさせていただく、アリスです。よろしくお願いします。」

 平均的な身長の私よりも少し小さいアリスと名乗った女子生徒。彼女こそがホークが教えてくれた生徒会の書記にしてこの学園においては珍しい中立の立場にいる存在だ。

「わざわざご挨拶ありがとう。こちらこそよろしくお願い致しますわ。」

 わざとらしく背筋を伸ばし見下ろすようにアリスさんに向かってそう言う。

「・・・」

 しかし、とうのアリスさんは私のことをじっと観察したまま表情を変えていない。ただ、これでも幾人もの貴族を相手にしてきた。なので、少しの雰囲気の変化も気づくことが出来た。

「及第点といったところですわね。進行をするならば今の感情を抑えるように。きっとあなたの想像するよりも過酷なものになりますよ。」

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