表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲームに出てこないのに美形なのはなんで?  作者: 妖狐
改変した舞台
88/110

エルドラド51 エスズ

「国帰るの?」

 エルドラドに来てから約半年、タリスさんとパーティーでのダンスを練習するためにサリスさんの部屋を借りてから私は定期的にサリスさんのところに来ていた。エルドラドの周期の長期休暇が近づいてきたある日サリスさんにそう聞かれた。

「そうですね。だいぶ落ち着いてきたので一度帰ってもいいかもです。」

「飛行船出す?」

「いえ、自分で帰るつもりなので大丈夫です。ただ、飛び方教えて欲しいですが。」

 そう言うと、サリスさんが思い出したような顔をした。

「あっ、そっか。まだ教えてなかったか。もうだいぶ力使えてたから使えるもんだと勝手に思ってた。」

 サリスさんは読んでいた大きな本を閉じると壁に取り付けられたボードを見始めた。

「うーん、私が教えたいところだけど周期休み中は姫としての仕事があるから難しいな。」

「別にサリスさんでなくても大丈夫ですよ?」

「そう?ならナリアに頼むかな。」

 そう言ってサリスさんは持っているペンをクルクルと回した。

「ちなみに、飛ぶのって難しいんですか?」

 サリスさんにそう聞いてみる。この国に来てから空を飛んでいる人は多く見たが、学院では特にそれを教えている場面は見られなかった。

「うーん、難しいかどうかはその人がどれだけ力を使えて、理解してるかによるかな。たとえばだけど、私は飛んでるんじゃない、浮かんでいるんだって話はしたよね。」

「はい。聞きました。」

 サリスさんが立ち上がって2階に行く階段に向かった。私もそれについて行く。

「私の使う結晶なんだけど、大きくわけて2つ種類があるの。」

 両手の平の上に浮かぶ結晶を作り出したサリスさん。

「1つは力を結晶に変えたもの。」

 そう言ってサリスさんが左手の上の結晶を動かす。

「もう1つは私の体の一部を入れた結晶。」

「体の一部を?」

「そう。」

 右手の上で動く結晶を見せながらサリスさんが話し始める。

「まず、体の一部とは言ったけど、たとえ壊されたとしても問題ない位しか入れてない。」

 右手の上に浮かんでいた結晶を自身の体の前に持ってきた。

「それで、体の一部を入れると何ができるかって言うと、その結晶が私の体を動かす時とと同じ意識、感覚で動かせるようになる。」

 サリスさんが浮かべた結晶を動かしながら話す。

「私が浮かべる理由もここにあるんだけど、分かりやすく想像しやすい表現にするなら、軽い木のブロックとかに糸を2本付けて、その糸がたるまないように引っ張りながら持ち上げると糸が付いてる木のブロックってどうなる?」

「えーっと、浮かぶ?」

「正解。その原理で私は浮かんでる。ただ、糸が2本だけだと回っちゃうからそれを防ぐ目的で結晶を1つ追加で出してる。」

 結晶を2つ作り出し合計3つの結晶を体の周りに浮かべたサリスさんがふわりと浮かび上がる。

「これが私の飛び方になるんだけど、多分この飛び方をしている人は私以外にはいないと思う。」

 結晶を砕いて降りてきたサリスさんがそういった。

「飛んでいる人は多くいるけど同じ方法で飛んでいる人はそこまで多くないんじゃないかな?似ているで止まる場合がほとんどだと思う。」

「じゃあ、教えて貰ってもできる可能性は低いんですか?」

「そうとも言えないかな。力の使い方が似ていればそこから自分なりに発展させられる。そのヒントを得られるという意味では教えてもらうのは一番の近道だと思うよ。」

 そう言ってニコッと笑う。

「この部屋いつでも使っていいから、ナリアにも言っておいて。」

「分かりました。」

 そう言ってサリスさんは軽く手を振って降りていった。特にすることもないが、せっかくだからとディーネさんに貰った薬を飲んで体を動かしていると、部屋に気配が増えたことに気がついた。

「あら〜?意外と早かったですねぇ。」

 私の方を見ていたナリアさんがそう言って笑った。

「いつから居たんですか?」

「今来たとこですよぉ。」

 前にサリスさんがナリアさんはいつの間にか居ると表現したことがあったが、恐らくこういうことだろう。

「サリス先生から聞いてますわぁ。早速始めましょうか〜。」

 そう言うとナリアさんがフワッと空中に浮かんだ。

「まず〜、わたしがどうやって飛んでいるかと言いますとぉ、力で操作してる水を体全体に薄く纏わせてぇ、その水を浮かばせて飛んでるんです〜。」

「水を纏わせる・・・」

「はい〜。エスズさんはわたしと同じ圧縮型ですがぁ、柔軟な使い方できているのでわたしよりもわかりやすいとおもいますよ〜。感覚としてはぁ、圧縮せずに集めた力を全身に纏わせる感じです〜。」

 ナリアさんに言われた通り、やろうとしたがうまく行かない。

「普段エスズさんはぁ、手を動かしてますよね~。同じようにやってみると分かりやすいと思いますよ~。」

「手を動かす・・・」

 試しに目を閉じて頭の中でイメージする。すると自然と手が動き、それに伴い私自身を力が覆っていくのがわかった。

「なるほど。」

 一度感覚が分かればあとは簡単だった。

「あとはぁ、その力を操って浮かべてしまえば飛べるはずですよ〜。」

 私が纏う力をゆっくりと浮かべる。

「さすがはエスズさんですねぇ、力の相性もあると思いますが〜。」

 サリスさんの言葉に目を開けてみると、私は地面を離れしっかりと浮かんでいた。

「あとは繰り返して安定させれば良いかと思います〜。」

 そんな話をしていると下からサリスさんが上がってきた。

「エスズー?まだいるー?」

 そう言いながら上がってきたサリスさん。そして、浮かんでいる私を見て珍しく驚いた顔をした。

「えっ、もう飛べたの?」

 持っていた資料を近くの椅子に置いて、近づいてきた。

「どうでしょうか〜。」

 ナリアさんが嬉しそうにサリスさんに話しかける。

「うん。ありがとう。」

 ナリアさんを撫でながらジッと私のことを観察するサリスさん。

「ふむ、力に関しては問題なさそうか。それって1度着地してからもう1回浮かぶことも出来るの?」

「はい。感覚は掴んだので。」

 何度かサリスさんの前で浮いて降りてを繰り返す。

「動いたりは?」

「どうでしょう。まだやったことないので。」

 浮かんだ状態で普段力を操って動かす時と同じ感覚で動かしてみる。

「・・・できそうだね。」

 浮かんだ状態でも問題なく移動出来ていることを確認してそういった。

「それだけ出来れば大丈夫でしょう。」

 一度降りてサリスさんが撫で続けた結果飼い犬のように寝転がっているナリアさんについて聞いてみた。

「特にサリスさんも気にしてないみたいですけど、この光景いつもなんですか?」

「これ?可愛いでしょ。」

 サリスさんは膝を着いて自分の膝にくっついているナリアさんを撫でる。

「家でもナリアが長女だからね。学院でも知っての通り見本になる立場。こういうとこでしか甘えられないしね。それに、この前嬉しそうに話してくれたのよ?エスズは自分と普通に接してくれるって。」

 サリスさんはそう言いながら座るとナリアさんの頭を自分の膝に乗せた。

「事情ありなんですか?」

「ううん。そうじゃない。」

 ナリアさんはいつの間に眠ってしまっていた。そんなナリアさんを優しく撫でながらサリスさんが話し始めた。

「ナリアね、同じ歳で仲良く出来た子があまりいないの。」

「そうなんですか?」

「うん。私がここで先生になってからは見なくなったけど、ナリアが1人で居ることは当たり前だったの。」

 そのようなイメージを今のナリアさんから想像ができず、驚いた。

「その、理由は?」

「これに関しては一つだけ。強すぎた。」

「強すぎた、ですか。」

「ええ。しかも、ナリアは私が来るまでなんの力を使っているのか知られてなかった。見たことあるでしょ?ナリアの力は。」

 そう言われてナリアさんが力を使っている所を思い出した。

「見えないってね。恐怖の対象になるの。」

 今この部屋には同じ年齢の人間しかいないはずだが、小さい子供のように優しい顔で眠るナリアさんとそれを母親のように暖かい顔で見守るサリスさんの影響でのんびりとした時間の流れる空間となっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ