閑話 闇の集会3
並の人間なら反応すらできないであろ速度でサキュバスに迫る剣。しかし、ただ真っ直ぐっ向かってくる攻撃。それを見切ることができない者は集会にいないだろう。
サキュバスに迫る剣を遮るように槍を軽く横に振り抜く。攻撃を仕掛けたサキュバスは突然現れた障害物に反応できず、綺麗に槍を腹で受けた。
「そう簡単に殺させるわけ無いでしょ?」
片手で持った槍に干された布団のようにダランとしているのサキュバスに話し掛ける。が、そのサキュバスの様子に私は困惑することとなった。
「え?うそ。まさか今ので肋いったの?確かに鈍い音はしたけど。」
先程槍をサキュバスに当てたときボキッバキッと言った低い音はしていたが、てっきりあまり力を入れないで槍を取り出したから柄が折れたのかと思っていた。
『まぁ、そいつらは戦いに向くの作りではないからな。』
引っ掛かっていたサキュバスを雑に地面に転がす。
「どうしようか。・・・とりあえず起きて貰うか。」
地面に横たわるサキュバスを足で転がして仰向けにさせる。その後太ももに足をのせた。
「そういえば足は太い血管あったな。死なれると困るし。」
ふと思い出したので太ももから腕に足をのせ変える。
「な、なにする、のよ。」
まだ媚薬が効いているはずのサキュバスがまだ震える腕を使ってからだを起こしてそう聞いてきた。
「起こす。せっかく出てきてくれたんだから存分に私のショーで使わせて貰うのよ。」
少しずつ足に体重を掛けていく。足先から骨が鳴らす音を感じる。
「・・・さすがに女一人の体重じゃあ折れないか。」
先程は比較的細い肋なうえ、勢いものっていたが、今回は腕の骨を体重だけで折ろうとしたが、さすがに亜人の骨は丈夫らしい。
「仕方ないか。腕千切れたらそのとき。」
グッと足に力を流す。するとボキッという音と一緒に目を覚ました。
「イッ、ガァァ!?」
目を覚ました瞬間、腕と肋の折れた痛みを味わったサキュバスが苦痛の声をあげた。
「よし、千切れなかった。流石は私。」
叫びまくるサキュバスを放置して力の調整を上手くできたことに喜ぶ。そんな私のことを嫌悪感満載の目で見るもう一人のサキュバス。
「さて、その状態じゃ私も楽しめないし。」
動く度に激痛が走っているであろうサキュバスにバシャッと液体を掛ける。
「からだの回復機能を一時的に極限まで高める薬よ。特別に麻酔入り。」
先程まで叫んでいたのがうそのように静になり、有り得ない方向に曲がっていた腕もどんどんもとに戻っていく。
「私を離しなさい!人間!」
回復して逃げられるのを防ぐために拘束しておいたが、話せるぐらいまで体力が戻ってから、最初の一言がそれだった。
「嫌よ。」
先程まで地面を転げ回っていたので、汗と土でかなり汚れている。
「だって貴方はこれから私のおもちゃになるんだもの。」
サキュバスを拘束している氷を操って足を広げる。
「流石にそう言う種族だけあって緩いわね。」
感触を確かめるように指を入れたが、締め付けるような感覚はなかった。
「まぁ、今回はその方が効率いいけど。」
サキュバスのもので濡れた指をペロンと舐める。
「さてと、とりあえず名前でも聞いておこうかしら?まずは貴方。」
そう言ってまずは媚薬を飲ませたサキュバスの方を向く。
「ふん。だれが教えるものですか。」
「裏切り者が。そいつの名はヌイだ。」
「なっ!?」
相当恨まれている様子。すぐにヌイと呼ばれたサキュバスが言い返した。
「なに言ってるのよ!それならあんたの名前だって言ってやるわよ!こいつの名前はハースよ!」
別に教えてと言っていなかったが、勝手に教えてくれた。
「そう。」
ヌイは持ち帰ることを考えていじることができない。消去法的にいじるのはハースな方になる。ということで拘束しているハースに近寄る。
「どうしようかな。このまま虐めるのはさっきヌイでやったし。見てるみんなも面白くないわよね?」
チラッと丸蝙蝠に目線を送る。
「仕方ない。王道だけど一番分かりやすいやつやるか。」
しばらく悩んだが、これ以外に思い付くことはなかった。
「ねぇ、この辺りにこっちの世界では見下されてるような存在いないの?」
特に指名はしなかったが、答えたのは私をこの世界に呼んだ奴だった。
『ふむ、居なくはないな。スライムが一番近くには居るが?』
「スライムね~、悪くはないんだけど。できれば人の形に似てる方がいいんだけど。」
『となると、やはりゴブリンか。』
なんとも歯切れの悪い答え方だったが、私のなかではとても丁度よいと思える答えだった。
「いいじゃないの。」
『そうか?我々からすればゴブリンは理性が無さすぎて使えないというのが普通だが。』
「理性がない奴は本能に忠実。少し道付くってあげれば簡単よ。」
そう言って私は空に向けて結晶を一つ打ち上げた。
「どこに居る?」
『黒姫の右手前方だ。』
言われた方角に結晶を飛ばす。片目を閉じれば結晶をとおした景色が見える。
「見つけた。」
森によって隠されているが、空から見下ろしていたため簡単に見つけられた。
「あとは興味を持つように。」
もう一つ作り出した結晶をゴブリンたちの居る場所めがけて飛ばす。結晶から見ている景色の方にもキラキラ光ながら飛んでいく結晶が見えた。
「さてと、こっちも準備しないと。」
拘束しているハースが私の方をじっと見てる。
「私優しいから選ばせてあげる。意識を手放すか、耐えるか。」
そう言ってハースを拘束している氷の形を変えて体勢を変える。
「うん。いい感じになった。」
目の前には丁度私の腰辺りに顔が来るように腰を折った体勢で固定され、頭は首を挟むようにして付けられた2枚の氷の板をつけられ、両手は頭の横に頭と同じ板で拘束されている。
「あとは、これだね。」
媚薬を取り出すと、ヌイが青ざめた顔をした。
「別にあんたに使う訳じゃないわよ?」
そう言いながら雑にハースに媚薬を飲ませる。
「さてと、ヌイはこっちで見学ね。」
ハースの拘束を再度確認してからヌイを連れて離れる。丁度そのとき数多のゴブリンを引き連れたキラキラ光る結晶が森を抜けてきた。木陰になっている場所で取り出した椅子にヌイを固定する。
「皆さんお待ちかね。黒姫の送るショーの始まりよ。」
パチンと指を鳴らすと、結晶が弾けた。ゴブリンたちは何が起こったのか分からない様子だったが、ハースや私、ヌイを見つけるとすぐに動き出した。
「まぁ、私たちの方にも来るわよね。」
予想通りの行動に対して私がやったのは一つだけ。
「本能に忠実なら分かるでしょ?」
この世界に来てからしていた放出制限を解除した。それだけで私たちの方に向かってきていたゴブリンは足を止めた。
「あっ、一番見たいとこ見逃した。」
ふと思い出したとき見えたのは、既に多くのゴブリンによって犯され、よがり狂うハースの姿だった。
『こちらで記録はしている。欲しければやるぞ?』
「じゃあ後で貰おうかな。それと、私のこと気にしなくていいからね。」
私の言葉に最高のフォローをしてくれたので、みんなが楽しめるように丸蝙蝠を先程から絶頂し続けているハースの方に向かわせた。
それからしばらく。ゴブリンたちの欲もつきてきたのかハースに群がる数が減ってきた。
「ん、そろそろか。」
三つ目のケーキを半分ほど食べ終えたタイミングだったので残りを手早く腹に納める。ちなみにヌイはハースの姿を見ないように必死に顔をそらしている。そんなヌイを置いて私はハースの方に歩いていく。
『何かするのか?』
「そろそろ飽きてきた頃だろうし。今どうなってるのか見ようと思って。」
歩きながらハースに向けてスッと腕を上げる。私の動きに合わせるように氷の結晶が三つ形成され、私の周りにうかんだ。上げた手を軽く握ると結晶が音を立てて砕ける。
「せっかくのショーだからね。華やかにしないと。」
そう言いながら結晶の破片をゴブリンたちに向ける。握った手を開けば破片がゴブリンたちを襲う。
『ほう。確かに華やかになったな。』
私がやったのはセイとやったことの簡易版。私の力を纏った結晶を感じ取れる範囲でのみ使える。残念ながら、その感じ取れる範囲がセイと一緒にやるときとは違い、かなり狭くなっているが。
「ほら、もっと近くで。」
手を出すと丸蝙蝠がその上にのった。グチュグチュと音を立てながら白い池の真ん中でビクついているハースに近づき、手にのった丸蝙蝠を寄せる。
「さてと」
しばらく周りを見て回った後私はハースの首に足を乗せた。
『何かやるのか?』
私の行動を見てそう声をかけられた。
「いや、証拠は残さない方がいいかなと思って。」
『そうか・・・、可能ならば持ち帰って欲しいのだが。』
「そうなの?」
『あぁ。力に関してはこちらで上書きして消せるが、それ以外に関しては難しくてな。ましてやサキュバスがこんな状態になるのだ。』
その言葉を聞いて私はハースの首にあった足を膨れた腹の上に移動させた。
「おっけー。じゃあこれは持ち帰るよ。移動はお願い出来る?」
『黒姫の部屋でよかったか?』
「檻の中にでも入れて置いて。どうせ出られないだろうし。」
話し終わったタイミングでグッとハースの腹を踏み込む。すると溜まっていたものが噴水のように汚い音を立てながら噴き出す。
「あは、やっぱりこの瞬間が一番気持ちいい。」
全身を巡る熱に身体を震わせる。
「じゃあ頼んだわよ。」
しばらくハースの噴水を堪能したあとヌイと纏めて氷の箱に入れて私の部屋に送ってもらった。あとは残った白い池と氷の花を処理したところで私のショーは終わりとなった。




