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ゲームに出てこないのに美形なのはなんで?  作者: 妖狐
改変した舞台
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エルドラド44

 クロウ言った情報が真実になるまでにそう長く時間はいらなかった。

「ヴァーナ衛星国がエルドラド皇国への侵攻しようとしている。」

 その情報は一瞬で皇国内に広まった。

「また厄介なことになったな。こんな時に。」

 疲れきったように深く椅子に座り、ため息を吐くのは先程まで凛々しい態度で指示を飛ばしていた現皇帝だ。

「それにしても、こんな時期に仕掛けてくるのもおかしな話ですね。」

 そう言ったのは次期皇帝として動いているラースナー様。ちなみに私は雰囲気を崩した皇妃に抱きつかれている。

「すまないな。防衛線の指揮を頼んでいたのに。」

 皇帝が私の方を見ながらそう言った。

「いえ、今回は私が出た方が早く終わると判断しただけです。それに、前で私が動けば防衛線にもなります。つまり、役割は変わってませんから。」

 かなりぶっ飛んだ理論だが、雰囲気は和んだのでよしとしよう。

「それにしても、こうなることを予想していたのでしょうか。昔の人は。」

 皇妃が私のことを撫でながらそう呟いた。というのも、エルドラドとヴァーナの間には一本の大きな川が流れている。知っている人は少ないが、記録によるとその川は人工的に流れを変えて、意図的にヴァーナとエルドラドを分断するような形なっているのだ。

「あくまで予防的にだろう。」

 皇帝はそれだけ答えたあと立ち上がり部屋を出ていった。

「さて、じゃあ私は前線に防衛線だけ作ってきますね。」

 スルリと皇妃から抜け出して私も部屋から出た。

「サリス様」

 部屋を出た私に声をかけたのはアルカディアで私についてきてくれたメールだった。

「準備は?」

「既に終えてます。」

「流石。早いね。」

「彼女も協力的に動いてくれましたから。」

 今回メールにはエスズとミューダの連れ出しをお願いしていた。

「それにしても、報酬あんなので本当に良かったの?」

 今回メールの部下にあたる騎士さんにエスズとミューダの連れ出しを協力してもらっている。その報酬が何故か私と戦う権利だった。

「夢が叶ったって喜んでましたよ。彼女、ずっと挑戦したがってましたから。」

「確か、複製体作れる力だったよね。相性とかいいわけじゃないのに。」

 そう言って考えているとメールが少しだけ笑った。

「多分、彼女はそこまで深く考えてませんよ。純粋に私よりも強いサリス様と戦いたかっただけだと思いますよ。」

 そう言って優しく微笑んだ。

「そっか。まぁ、メールの部隊で副隊長やってる時点で実力は察せるけど。」

 メールの率いる部隊はメールとその副隊長以外全員が実力のある男という構成になっている。正直ここまでバランスの悪い部隊は皇国の中でもメールの部隊だけだ。

「まだまだ未熟なものが多いですがね。」

「あなたの基準で未熟でも私から見れば十分よ。もう展開してるのでしょう?」

「ええ。何時でも動けます。」

 当たり前といった感じのメールに私はふふっと笑った。

「じゃあいきましょうか。」

 皇城を出てからすぐ、私はメールを抱えて前線になるであろう地点に飛んだ。

「大分出来てますね。」

「情報が上がってすぐに動きましたから。」

 眼下に広がる防衛線を見ながら飛んでいき、指揮所になっているのだろう場所に降りた。

「わざわざ来ていただきありがとうございます。」

 私が降りるとそう言って直ぐに一人の男が寄ってきた。

「今回は私が前線の総司令官になるんだもの。そりゃ来るわよ。それで?進捗はどんな感じ、キース団長。」

 少し白髪の混じる皇国の騎士団長キースにそう話しかける。

「もう間もなくですね。あとはサリス様の力を張り巡らせるだけで終わりましょう。」

 防衛線を見ながらキース団長はそういった。

「そう。なら早く終わらせちゃいましょう。」

 そう言うと私は防衛線として築かれている城壁に登った。ちなみに今私が立っている城壁は今回の戦闘に備えて数日前に築かれたものだが、まるで最初からあったように立派な城壁が立っている。

「意外と広いわね。」

 城壁の上に立ったことで壁が何重にも築かれているのが見えた。

「面倒臭いから一回で行くわよ。防御だけしておきなさい。」

 城壁の上からキース団長に向けてそう言うと、すぐに付近にいた騎士全員が防御態勢に移った。

「いい?」

「ええ。お願いします。」

 キース団長の言葉を聞いて私は城壁に両手で触れる。

「久しぶりに全力出すわね。」

 体内に入ってくる力を心地よく感じながら、自身の力を築かれた城壁全体に巡らせていく。かなりの広さだったが、力が巡るまでそこまで時間はいらなかった。あとは最後の仕上げで固めてしまえば終わりだ。

「終わったわよ。」

 城壁から離れ下にいるキース団長を見る。

「ああ。そのようだな。出来ればその力の制御もして欲しいがな。」

「これだけの広さをやったのよ?無理に決まってるじゃない。」

 恐らく今私は膨大な力を溢れ出させながら立っているだろう。見る人が見ればそれがどれだけ異常な量か理解しているだろう。私の方を見て青白い顔をしている騎士がいるのがその証拠だ。

「今回はどのような力を?」

「城壁の隙間を私の氷で埋めて、表層全体を覆うように薄く貼っておいた。大砲位なら傷一つ付かないと思うわよ。」

「相変わらずの硬さだな。頼もしい。」

 キース団長はそう言って軽く城壁を叩いた。

「戻るのか?」

「一回ね。でもこれだけは置いてくわよ。」

 そう言って取り出したのは手のひらサイズの立方体。

「ふむ、アンカーですか。確かにこれがあれば何時でも行き来できますな。しかし、二つもいりますか?」

「一つは指揮所内に置いて。もう一つは・・・」

 キース団長にだけ聞こえるように小さい声でもう一つのアンカーの設置場所を教えた。

「なるほど。わかった。最高の位置に置いておく。」

 キース団長の笑顔に私も笑いかけてから皇城に戻るために飛び上がった。

「お疲れ様です。」

 皇城につくと、リャナがそう言って迎えてくれた。

「エスズ達は?」

「既に到着しております。」

 リャナについて行き、応接室に入る。

「どうも。」

 応接室には落ち着いた様子で紅茶を飲むエスズとその後ろに控えるミューダの姿があった。

「急に呼び出して悪いわね。」

「いえ。要件は何となくですが察しています。」

「そう?話が早くて助かるわね。」

 そう言って私は机の上に地図を広げた。

「今回ヴァーナ衛星国が攻めてくる方向がこっち。」

 広げた地図の上に赤い印をつける。

「それで私たちが今防衛線として築いた城壁がここから、ここまで続いてるの。」

 地図上の川を挟んだ対岸に青い線で城壁の位置を書いていく。

「さて、エスズならどう攻める?」

 そう言ってエスズの方を見る。

「そうですね。まず、この川を超えないといけませんから、橋か渡河用の装備の運搬でしょうか。力で何とかするという方法も有りそうです。」

 地図を触りながらエスズが話していく。

「ただ、攻撃は飛んでくるでしょうからその防御をしながらだと考えると、何ヶ所からも川を渡ろうとは思えません。そう考えると、一般的に選ぶならこの地点です。」

 そう言ってエスズが示したのは川幅が一番狭くなっている地点だ。

「ですが、それは簡単に読まれると思います。なので、私ならこの地点から渡ろうとするでしょう。」

 そう言ってエスズが指していた地点からスっとずらして示したのは川幅が一番広い地点。

「ふーん、どうしてそこだと思ったの?」

「川幅が広ければ相対的に浅い場所も広いと思ったからです。深い所が小さければその分渡る労力も小さく済みますし、力で何とかする場合も消耗を抑えられますから。」

 真剣な目でエスズがそういった。

「おっけー、じゃあ答え合わせと行きましょうか?」

 そう言って私は部屋の窓を開けた。

「攻めてきたらすぐに城壁まで行くから待機してて。」

 それだけ伝えると、私は前線まで戻った。

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