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ゲームに出てこないのに美形なのはなんで?  作者: 妖狐
改変した舞台
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エルドラド40 エスズ

「まさか留学している国から他の国に遠征に行くとは思いませんでした。」

 雲ひとつない快晴のある日。私は狼の上に跨って街道を歩いていた。

『ごめんね?でも異世界から召喚された存在を確認してきて欲しいなんてお願い貴方位にしか頼めないもの。』

 狼が着けている鞍。その横にあるポケットに入っているデフォルメされた女性のぬいぐるみからそう声が聞こえた。

「そこは理解してます。ただ、実力的に私でよかったのかと思いまして。」

 今回サリスさんが私を選んだのは異世界について理解があるからだろうけど、もし何かあったら私だけでは対応できない可能性が高い。

『うーん、そこは心配してないんだけどなぁ。何かあったらその子に頼んでよ。そのためについてもらったからさ。』

「ああ、任せろ。」

 私が乗っている狼がその言った。

「それにしても、そのぬいぐるみ誰をモデルにしてるんです?」

 先程からサリスさんの声が聞こえているぬいぐるみ。デフォルメされているが、どこかで見た覚えがある。

『モデル?セイよ?気が付かなかった?』

 改めて見てみると、確かにセイさんの面影を感じることが出来る。

「セイさんのぬいぐるみなんてあるんですね。」

『そりゃあるわよ。』

「エスズ殿は何度も会っているからな。そう感じないかもだが、彼女は世界を作った精霊の一柱として信仰を集めているからな。そこにサリスと契約をしていて、エルドラドと身近な関係にある。そんな彼女を模したものがあっても不思議では無いだろう。」

『このぬいぐるみは私が監修したけどね。』

「そこはわかってます。」

 狼の背中で景色を楽しんでいると、ぬいぐるみからサリスさんの声が聞こえた。

『エスズ、もう少ししたら見えてくるかも。』

「この丘を超えたら目的地だな。」

 坂を登りきると、そこからは目的地のヴァーナ衛星国が見えた。ヴァーナ衛星国はどうやら国土を大きな運河で囲うことで防衛線にしているようだ。

『今見えてるのが、この大陸で唯一私たちエルドラド皇国に真っ向から敵対しているエデン連邦ヴァーナ衛星国。』

「この国は先の大戦で降伏の道を選んだ唯一の国でもある。我も先の大戦時はこの国の近くに住んでいたが、あの頃は悲惨だったな。」

「そんな国に潜入するんですね。」

 緊張から全身が熱くなる。

『入国自体は問題ないと思うわよ。依頼者に連絡はしたから。』

 ぬいぐるみからそう聞こえた。

「そのぬいぐるみからどれくらい周りの景色見えるんですか?」

 ふと気になったことを聞いてみた。

『人と同じくらいの視野は見えてるわね。ただ、動かせないから感覚的には半球状のモニターに移した映像を見てる感じね。』

「国に入ってからもそのままそこに居るんですか?」

『ずっとじゃないわね。宿の中にはこの子入れないだろうから。その時はエスズ、頼むわね。』

「この年齢でぬいぐるみ抱えて歩くんですか?」

『ちゃんと鞄も用意してるから。ぬいぐるみが入った鞄を持ち歩くことにはなるけど。』

 そんな話をしていると入国するための門に到着した。

「身分証を。」

 門には警備の人が5人ほど立っている。

「はい。どうぞ。」

 狼の背中から降りて、事前にサリスさんから入国の時に渡すよう言われていた身分証を渡した。

「ふむ、アルカディア王国からか。長旅ご苦労だったな。」

 身分証を確認した警備がそう言って私と身分証を比べる。

「怪しいところは無いな。そちらの狼はお前のか?」

「ええ。襲ったりはしないので安心してください。」

 そう言いながら狼に向けて手を向けるとスっと狼が伏せた。

「確かにな。よし、通っていいぞ。」

 身分証を受け取り門を通る。

「意外とすんなり。」

『出身アルカディアにしたからね。エルドラドと比べれば確実に警戒は緩いから。』

 狼の背に再び跨って街の中を移動していく。

『待ち合わせ場所は聖堂前の広場ね。』

 街に入ってからはぬいぐるみをカバンに入れて肩から下げている。そうすれば周りに声は聞こえないだろう。

「ここだな。」

 狼の背中から降りて広場を見渡す。

「広場と言うより公園みたいですね。」

 芝生が広がり、シートを引いて食事をしている人もいる。

「しばらくは待機ですね。」

 伏せた狼のお腹にもたれ掛かりサリスさんの言う依頼者を待つ。

『それにしても、初めて来たけど意外とゆったりとしてるわね。上が混沌としてるし、もう少し緊張感あるかと思ったけど。』

「あくまで貴族の睨み合いだろうからな。一般市民には関係ないのだろう。」

「エルドラドとかアルカディアは貴族と一般市民とで交流も多いですからね。それがないのかもしれません。」

 この広場に集まっている人も服装から見て貴族では無いだろう。

『エスズ、誰か近づいてくる。』

 周りの景色を見ていると、ぬいぐるみからサリスさんがそう警告した。

「すまないが、そこの狼は君のでいいか?」

 男性の声でそう聞かれた。

「ええ。そうですよ。」

「そうか。少し話を聞きたい。向こうの詰所まで来て貰えるか?」

 私は男性の方を見上げながら頷いた。

「助かるよ。」

 狼の背に乗り男性について行く。会話もなく街の中を進み、やがて建物の前に着いた。

「入ってくれ。」

 狼の背中から降りて建物に入る。狼も私に続いて建物の中に入る。

「ふーん、ここが詰所?随分と綺麗なんですね。」

「こうでも言わないと怪しまれるだろ。」

 扉を閉めて鍵をかけた男性は苦笑い気味にそういった。

「皇妃の使いか?」

「ええ。そうです。話しますか?」

 そう言って鞄に入ったぬいぐるみを持ち上げる。

『やっほー、聞こえるー?』

 サリスさんがぬいぐるみを通してそう話しかける。

「驚いたな、そんなことも出来るのか。」

『私の力じゃないけどね。皇国に居る人が使える偵察用の力よ。詳しくは秘密だけど。』

「つまり、何処からでも偵察できるということか。」

 そう言ってため息を吐いた。

「まぁ、今は置いておこう。まず、来てくれたこと感謝する。色々案内したいが、こちらも早く情報が欲しいからな。今回の任務について説明する。」

 そういうと机の上に紙を広げた。

『城の構造図ね。』

 ぬいぐるみを紙が見えるように机の端に置く。

「ああ、目的の奴はこの部屋にいる。」

 男性が指さしたのは城の高層階に位置する部屋だ。

「城にはどうやって入るんだ?正面から入るのは難しいだろう?」

 狼が構造図を見ながらそう言った。

「抜け穴を使う。非常時に脱出路を逆に潜入に使うつもりだ。」

『てっきり貴方が手引きしてくれるかと思ったけど。』

「そのつもりだったんだがな。どうも警戒が厳しくなってな。俺でも簡単にはこの高層階まで行けなくなっちまった。」

「その脱出路はどこの部屋につながっているんですか?入口は?」

 構造図にはその脱出路が載っていない。何となく予想はできるが。

「脱出路は幾つかある。誰を逃がすか明確に別れているらな。その中で一番使いやすいのが、ここの部屋にある脱出路だ。」

 男性が指した部屋には騎士控え室とあった。

『騎士用の脱出路?そんなのあるの?』

「城の中で一番安全な場所だ。なんせ、その部屋には常に騎士が居るんだからな。有事の際はそこに立てこもる振りをして脱出するっていう考えだ。」

「・・・常に騎士がいるのにそこから潜入出来るわけ?」

「俺も騎士なこと忘れたか?明日の夜は部屋の中に居る騎士が俺だけになるよう調整する。一時的になるだろうがな。その一瞬で潜入して欲しい。その後は城のメイドとして進んでいってくれ。」

 男性は箱の中に入ったメイド服を渡してきた。

『なるほどね。で?その入口は?』

「ここだ。」

 男性はそう言って床を指さした。

「この建物の奥が脱出口になってる。丁度この建物の裏手が運河になっていてな。そこを使って国から出られるようになっている。」

「私たちは任務が終わったらどうするんです?」

『確認したこと全て記録したらすぐに脱出。一直線で皇国まで帰ってきて。その子ならバレても追いつかれないだろうし。』

「ああ、まず問題無いだろう。」

「よし、じゃあそういうことだ。脱出路は一本道だ迷うことは無いだろう。最後まで進んだら合図を待っていてくれ。」

 男性はそれだけ言い残すと建物を出ていった。

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