エルドラド36
私と女の会話が一区切り付き、女がこれから始まることに気がついたところでガルドが女に話しかけ始めた。
「さて、まずあなたの名前と出身国から聞いていきましょうか。」
ガルドがそう言って道具を取ろうとしたが、その手を止めた。
「・・・その前にまずはこちらだけお返ししましょう。」
そう言うと部屋の端に移動させていた女を運ぶ時に使った箱に触れた。すると箱がガルドの手に吸い込まれるようにして小さくなっていき、残ったのは両手のひらに乗りそうな位小さくなった箱だった。
「うげ、まさか返すってそれの事?」
ガルドが持っている箱の中に入っているものを見て思わずそう言ってしまった。
「ええ。元々はこの女のモノですから。」
箱の中に溜まっているのはここに運んでくる最中に女が箱の中でぶち撒けたモノだった。それを綺麗に箱の中に詰めてある。
「はーい、口開けますねー。」
女の前にそれを持ってきたガルド。女も何をされるか理解したのだろう。顔を背けるが、全身を拘束されているためほとんど逃げられない。最後の抵抗で口をしっかりと閉じていたが、ガルドが植物を使って簡単に口を開けさせる。
「既に全身それまみれなのに。」
女は箱の中で盛大にぶち撒けたのだろう。服を着ていないはずなのに所々にモノが付着している。
「おごっ、ゴボッ」
無理やり口を開けられ、窒息しないようにガルドが操る植物によって気道を確保するために上を向かされながらそいつのモノを流し込まれる。
「これで全部ですね。」
箱に入ったモノ全てを流し込まれた女。ガルドが、口を開けさせていた植物と上を向かせてい植物を離す。
「ゴボッ」
無理やりモノを流し込まれた女は我慢できなかったのか流し込まれたモノ全てを吐き出した。
「ちょっと、こっちまで飛んでくるじゃない。」
大量に吐き出したモノがビチャビチャと床にあたり跳ねる。その跳ねたものが私の方にも飛んできた。
「じゃあ暫くは壁でも作っていてください。吐き出さなくなるまであと何回かはやるんで。」
ガルドはそう言うと床に散らばったモノを植物を使い綺麗にかき集め再び箱に詰める。
「なんか増えてない?」
先程までの箱に入っていたモノの量が少しだけ増えていた。
「この部屋あんまり掃除してないんですよ。」
ガルドはそう言うと再び女の中にモノを流し込み始めた。
女が吐き出してはガルドが女にモノを流し込むというのを数回行うと、女の体力が底をついたのか吐き出さなくなった。
「サリー、お待たせ。」
その様子を見ながら部屋の隅で壁を作り、その裏側で学院の資料を作っているとガルドがそう言って声をかけてきた。
「ん。今解除する。」
壁を取り払うと、そこにはグッタリした表情で全身モノでグチャグチャになった女がいた。
「・・・」
途中から見てなかったのでどうなっていたか知らなかったが、そこには上だけじゃなくて全ての穴から吐き出されたであろうモノにまみれた女がいた。
「これ大丈夫?死んでない?」
「ええ。そこは確認済みです。」
そう言うとガルドが女の座る椅子の足を軽く蹴った。すると、女がビクンッとなって私たちの方を見る。
「じゃあ聞いていくんでお願いします。」
「はいはい。」
グチャグチャになった女の前にガルドが座る。
「名前は?」
「・・・」
女は私とガルドを睨むだけで話そうとしない。
「出身国は?目的は何?誰の命令?」
ガルドが次々と質問していくが、一切回答をしない。
「話さないか。」
ガルドの隣に立って女を見る。女は未だに私のことを睨むきりょくがあるようだ。
「仕方ない。いつも通りでいきますね。」
チラッと私の方を見たので近くの棚から半透明のパネルがはめられたプレートを取り出した。ガルドに合図をすると、これまでとは違った質問をしていく。
「国に家族は?兄弟は?結婚してる?婚約者はいる?親はいる?」
最初は困惑したような顔を浮かべた女だったが、変わらず話そうとはしない。
「住んでいた場所は?そこまでの道順は?周辺の景色は?」
ガルドの質問を私は全て紙に記していく。
「サリー、これくらいで特定できそう?」
「うん。今回は楽だね。」
ガルドが質問した事の横にプレートに表示されている文字を書いていく。
「はい。これで行けると思うよ。」
ガルドに紙と結晶を渡す。それを確認すると、ガルドは床に消えていった。
「さてと、ここからは一緒に見ましょうか?」
女が見やすいように、ガルドに渡した結晶から見える景色をもうひとつの結晶を通して空中に浮かび上がらせる。
「さてと、ここは何処でしょうか?」
浮かび上がった景色を見て女は驚いた顔をしている。
「ガルド、始めて。」
『わかった。』
ガルドが結晶を持って移動を始める。結晶を通した景色からは街の景色が見える。夜なので街灯はついているが、ほとんど見えていない。
『着きましたね。入ります。』
ガルドが一つの家の前で止まり中に入る。
「あれ?どうしたの、そんなに慌てて。」
女が暴れるように動くが、拘束によって全く意味が無い。ちなみに口には私特製の結晶をねじ込んである為話すことは出来ない。そのため「んー!」という叫び声だけが聞こえている。
『まず一人目から。』
映像には寝転がる女性の姿があった。ガルドがその女性に指先を向ける。すると極細の植物が女性に向かっていき、首元に刺さった。
「じゃあ次。お願い。」
映像の向こうにいるガルドに声をかける。
『あと何人やる?』
「喋るまで。」
『了解。』
映像が一瞬暗くなる。次に映ったのは並んで寝る女性と男の子だった。
「ねえ、どっちが先がいい?」
先程から暴れ続けている女に向かってそう聞く。
「んー?なんだってー?聞こえないなー?」
暴れながらも必死に首を横に振る女。暴れる度に女のモノが飛び散る。
「ガルドー、女の方からやって。」
『こっちだな。』
ガルドが指先を女性に向けると先程と同じように植物が伸びていき首元を刺した。
「あと一人〜」
ガルドが残りの男の子に指先を向けた瞬間、女が叫び声とは違う声を出した。
『ガルド、少し待って。』
あと少しで刺さるというところでガルドを止める。女の口に入れていた結晶を取り出すと、叫ぶように言った。
「話す!全部話すから!その子だけは!」
顔面がグチャグチャになりながら必死な声でそう言った。
「話すって。」
『わかりました。すぐ戻ります。』
ガルドがそう言うと本当にすぐ戻ってきた。床から生えるようにして出てきたガルドが女の前に座る。
「では話してください。」
女がゆっくりとだが話し始めた。
「出身国は連邦、エデン連邦のヴァーナ衛星国、目的はエルドラド皇国時期皇妃の暗殺。指示を出したのは第二王子。」
「成功した時の見返りは?」
「これまで犯してきた罪を無かったことにする事と、お金。」
「これまで何人送り込んだ?」
「分からない。私の組織からは全員だから少なくとも十六人以上。」
「時期皇妃を暗殺しようとする理由は?」
「連邦本部からの命令。成功した場合は他の構成国よりも地位を高くするって言う約束があった。」
女から聞き出した話をまとめていく。
「組織と言いましたね。その組織は国の組織ですか?」
「国の組織では無い。むしろ国から追われる組織だ。」
つまり、国の第二王子が犯罪者の組織に直接依頼したということか。
「第一王子はこのことは知っているのか?」
「分からない。」
「・・・どう思います?第二王子の独断だとは思えないのですが。」
「独断では無いだろうね。周辺の幹部も関わってるだろうね。ただ、第一王子は本当に知らないと思うよ。問題は現国王が関与していた場合だね。そうなると言い逃れは出来ない。」
ガルドから求められた意見にそう回答する。
「なるほど。では、最後の質問です。これからの選択肢ですね。今ここで死ぬか、サリーに身を売るか。」
女は再び驚いたような顔で私の方を見た。




