アルカディア21
早速今現在の実力を見るために訓練用の人形を使って攻撃訓練をしてみることにした。
「にしても、エスズが片手斧を2本使うとはね。」
訓練用の人形に攻撃をしているエスズを見て驚きの声が漏れた。
「これでも、身軽さには自信がありますのよ!」
両手に1本ずつ持っている斧を器用に振るうエスズ。左手に持つ斧には鎖が付いていて投げ斧としても使っているあたり慣れているなと分かる。
「それで、ミューダは両手剣と。」
全身を使って重い両手剣を振り回すミューダ。ダイヤ先生が合っていると判断した通り体の使い方に問題は無いが、筋力が不足しているのか少し剣に振り回されている。
「王子は・・・、うん。特に言わない。」
エスズもミューダも予想より動けている。後はこちらで言う魔力で体を補佐してやれば大分良くなるだろう。だが、レオはこういった戦いに関する訓練をやっていなかったのだろう。ダイヤ先生が合っていると選んだ片手剣と小盾という武器も使いこなせていない。
「とりあえず、王子は後回しだね。先にエスズとミューダの指導から始めるよ。」
レオにはまず武器に慣れてもらうためにそのまま続けて振ってもらう。エスズとミューダを近くに呼んでこれからやることを説明し始めた。
「エスズもミューダも武器は使えてる。けど、まだ振り回されてる感じ分かる?」
「体が追いついていないということでしょう?感じていますわね。」
「同じくです。次に繋げようとしても剣の重さで体勢が崩れてしまいます。」
2人ともそこまで理解しているようだった。
「2人から見て、さっきのダイヤ先生と私の戦いはどう見えた?」
槍を肩に担いでそう聞いてみる。
「早すぎてあまり見えませんでしたわ。お互いの武器がブレて見えましたもの。」
思い出すようにそう言ったエスズ。
「この槍持ってみて。」
片手で持っていた槍を差し出す。ミューダが受け取ろうと手を出したのでその上に置いてやる。
「重っ!」
ミューダが槍を受け取るとその重さで槍を落としかけた。
「そう、それだけ重いの。多分ダイヤ先生のダガーも同じくらいかその槍より重いんじゃないかな。」
「ど、どうしてここまで重い武器を?軽い方が取り回しやすいと思うのですが。」
両手で槍を持つミューダからそう質問が飛んだ。
「そうだね、力任せに振るだけなら軽い武器のがいいと思うよ。実際、この国の騎士も軽い武器を持ってるだろうしね。」
ミューダから槍を返してもらうとヒュンと槍を振る。
「でも、戦いにおいては重い武器のが役に立つ。じゃあどうすれば重い武器が持てるか。そのために私やダイヤ先生が使っているのがこの国で魔力と呼ばれている力です。」
1度槍を地面に置くと転がっていた枝を拾い上げた。
「ミューダ、私に向かって剣を振り下ろして欲しいんだけど。」
少し理解ができていないようだったが、言われた通り私に向かって剣を振り下ろした。
「使いこなせるとこんなことも出来る。」
枝に力を伝え、振り下ろした剣の軌道に合わせる。すると、ガッという音を立てて剣が止まる。
「こんな風に。」
ミューダは信じられないといった顔でこちらを見る。
「まぁ、これは私だからできるだけですね。多分ラースナー様はできない。」
枝を傾けて剣の軌道をずらす。ミューダは剣を保持することが出来ず、そのまま地面を叩く。
「魔力で体の力を上げると重い武器でも軽々振れるし、強い攻撃も出せる。今回私が教えるのはその事かな。」
いったんエスズとミューダに武器を置かせた。
「2人って魔力どこまで使える?エスズは召喚できてたしある程度あるのは知ってるけど。」
ミューダは授業が被っていないためその実力は全く分からない。
「簡単な攻撃ぐらいでしたら。」
「それなら十分。魔力を使う感覚があれば習得はできるから。」
1度深呼吸を挟み体の中に空中にある力を取り込む。
「まず手のひらに魔力を集めるやり方ね。」
自分の手を見せながら説明する。
「多分攻撃する時って何処かに意識を集中するよね。その集中を手のひらに持ってく感じ。」
ミューダは少し苦戦しているようだったが、エスズは多少だが手に集まるのを感じたようでチラッと自分の手を見ていた。
「もし難しかったら近くの石拾ってそれを握るといいかも。その石を握りつぶす意識でね。」
素直にミューダさんは足元に落ちていた丸い石を拾い上げる。
「さて、とりあえず今日の目標ね。」
氷の結晶を二つ生み出すと2人の前に浮かべた。
「その結晶を割ることが出来たら今日教えることは終了。ただ、その結晶はかなり硬いからね。力を掴めないうちはやらない方がいいよ。」
2人とも真面目なため直ぐ結晶を手を取ることなくそれぞれ力の使い方を練習し始めた。
「次は王子ですね。」
ひたすらに振らせていたが、流石に疲れてきた様子。
「やっぱりこの国は弱そうですね。」
少し離れたところにいるエスズとミューダには聞こえないように、王子だけに聞こえるようにそう言った。
「なんだと?」
「弱いって言ったんですよ。国の上に立つ者がこんなに弱い。守ってもらうつもりですか?そんな人が上に立つなら私は裏切りますね。」
王子は感情のままに私に飛び込んできた。
「更には他国の人にも容赦なく切りかかる。」
回し蹴りで王子を体ごと吹き飛ばす。
「人の上に立つということがどれだけ責任のあることか理解してないようですね。」
地面にころがった王子を見下しながら冷めた目でそう言う。
「・・・はぁ、早く立ってください。将来のエルドラド皇国の皇帝にそんな弱い国王を見せたくないです。」
手を出せば不満そうに手を掴み立ち上がる。
「時間が無いです。まずは、戦う上で必要なことは何か答えてください。」
「必要なこと?どういう意味だ。」
「覚悟のようなものです。貴方がどうして戦うのか。自分を守るため、誰かを守るため。なんでもいいです。それが答えられるかどうかで成長が変わります。」
「・・・自分を守るためだ。国を率いていくことになるのにそこら辺の盗賊にやられるわけにはいかん。」
王子の言葉に嘘はないだろう。
「いいでしょう。」
少し距離を取ると王子と向かい合った。槍を構えれば何をしようとしているのか理解したのだろう。王子も同じように構える。
「聞きたいことがある。」
「何でしょか?」
「お前にとってエルドラド皇国はどんな国だ?」
「・・・愛する国ですよ。」
「そうか。・・・弱き者を排除する国でもか?」
「ふふ、その程度の事でエルドラド皇国を知ったつもりで?もう1つ面白いことを教えましょう。」
グッと地面を蹴ると王子に近寄った。
「私たちの”国民”に排除される弱き者は居ない。」
バァン!という爆発音に近い音がして王子が吹き飛ぶ。
「貴方に私の教えに着いてくる力は無い。」
その後音に気づいたダイヤ先生がやってきたが何をやったか一瞬で理解したようで苦笑いをしていた。
「着いて行けそうにないな。俺が貰ってくよ。」
王子の状態を見てそう判断したダイヤ先生が連れていった。




