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アルカディア20

生徒会室を包む沈黙を破ったのは生徒会室である王子レオだった。

「えっと、二人は仲がいいのかな?」

「当たり前ですわ。同じ思いを持つ親友ですもの。」

本当のことかと聞くように私の方を見る。確かに同じ記憶を持つものとしてはラースナー様と同じように親近感はある。

「まぁ、そうですね。そこまで言われると恥ずかしいですが。」

あははと笑う。

「そうか、参加してくれることは嬉しいがいいのか?私たちが受けるのは所謂戦うための力の使い方だが。」

「ご安心を。多分どこで受けてもすでに大体できますから。学び直しがてら参加するだけです。」

そういう私を疑いの目で見る人が数人いた。

「試してみますか?全員で来ても勝つ自信ありますよ。」

挑発するようにそう言ってみるが、実際に動く人は居ない。

「そういうことなので、お気になさらず。自由にしていますので。」

そう言った私に1人だけ意見する人がいた。

「それなら、どうしてこの学園にいるんですか。」

真っ直ぐに、しかし緊張した表情を浮かべながらそう聞いてくるエリィ。

「どうしてこの学園にいるかですか・・・。」

ふむ、と腕を組み生徒会室の中を見回す。

「では、皆さんはどうしてこの学園にいるのでしょうか?特待生だから?それとも勉強をしたいから?力を上手く使いたいから?」

黙って私の言葉を聞いている。

「正直、この学園に来て良かったと思ったのは古語について触れることが出来たことだけです。それ以外は興味ありません。」

この国でトップレベルの学園であろうと中身はエルドラド皇国にある学園とは比べ物にならない。

「そうですね、私がこの学園にいるのはレベルの違いを見せつけるためとでも言っておきましょう。」

ギリッと拳を握る人が数人いた。

「悔しかったら私たちから盗みなさい?技術も知識も。だからこそ私たちは力を隠してないのですから。他人を見て自分の力にする。上に行く人の条件です。」

そういうと私はスっとエリィに近寄った。見下ろすような感じでエリィの目を見て言う。

「優しいだけじゃ救えないものもあるってこと覚えておきなさい。」

踵を返して部屋を出ていく。エスズは動じることなく私について部屋を出た。ミューダは少し慌てたように着いてきた。

「良かったんですか?殿下と近づくチャンスかと思いましたが。」

「いいよ、別に。今の国王と仲良くしておけば。それに・・・。」

ふと、ここにはエスズ以外もいるんだったなと思い出しそこで止めた。

「それに?」

「何でもない。」

これ以上言葉を続けると地位がバレてしまうだろう。

「要するに、今は必要ないと思ったの。」

エスズにはそう言って納得してもらう。寮の近くまで行くとエスズとは別れた。最後までミューダが見つめてきたがエスズに何か言われて目線を外した。

しばらく時は流れ新入生実習の当日。私たちは実習場所の森まで馬車に揺られていた。ちなみに私とラースナー様は暇だからという理由で屋根の上に座っている。

「こうして高いところから見るのもいいな。」

「こっちだと街中で飛べないですしね。なんか久しぶりで新鮮な感じ。」

馬車の中には私たちの護衛としてメールとマナスさんがいる。基本的に貴族の子はそれぞれの家の馬車で向かっているようだ。

「もうすぐ到着します。」

街の門を出てしばらく周りを草原に囲まれた目的地の森が姿を現した。

「さて、今日は新入生実習ということでみんなに来てもらった。日程としては森の中で3日間過ごしてもらい、その間力の使い方を知ってもらう。事前に説明した通りそれぞれの受けたい所に行ってくれ。」

学年主任の声でみんながぞろぞろと動き始めた。ラースナー様は適当に着いてくよと言って離れたので、エスズさんと一緒に班の元に向かった。

「さて、今日この班を担当するダイヤだ。よろしくな。」

そう言って挨拶したダイヤ先生。確かいつもは歴史の授業をしていたはずだ。

「まずは基礎をと言いたいところだが、まずはみんな武器を選んでくれ。」

そういうと馬車から布に巻かれていた色々な武器を持ってきて並べた。

「最初は好きなのでいいぞ。後で癖を見て合った武器を選ぶから。」

どれにしようかと悩んでいる生徒会の子の間から愛用する武器種を手に取った。

「ふむ、適度な柔らかさもあるけど重心はしっかりしてる。・・・少し長いかな?」

片手で槍を振ったり付いたりして感触を確かめる。

「おっと、難しいの選んだなと思ったが既に使ったことある感じだな。」

私が試し振りをしている姿を見て感心するようなことを言うダイヤ先生。

「いつもはもう少し短いんですけどね。」

やはり、長さの影響か横振りが追いつかない。

「必要ならもう少し短いの用意するぞ?」

「えっと、じゃあお願いします。」

ダイヤ先生に槍を渡すと馬車に積まれた少し短めの槍と交換してくれた。

「うん、これならぴったし。」

ヒュンヒュン風を切りながら槍を振る私の姿をじっと見つめるダイヤ先生。

「まだ、みんな決めるのに時間かかりそうだし暇つぶしでもするか?」

「いいですねー、やりますか。」

置いてあった武器の中からダガーを取ったダイヤ先生。

「いつでもどうぞ。」

スっと槍を構えると、ダイヤ先生も応じるように構える。

「ゆっくりな。」

そう言ったダイヤ先生だが、地面を蹴って懐に飛び込んでくる速さは到底ゆっくりではなかった。

「ゆっくりではなかったのですか?」

ダイヤ先生の軌道に槍を突き出してやればそれを避けて正面からずれる。あとは避けた方に槍を振り払えば自然と距離を取れる。

「動きが戦い慣れた人の動きなんだよな。今の反応するんだもん。それに、対人に特化してそうだな。」

そう言いながらも私のことを下に見ていないからこそ避けられたのだろう。

「ありがとうございます。下に見ないでくれて。」

「お前を侮ったら死ぬよ。」

見合ったまま動かなくなる私たち。

「あの・・・。」

そんな私たちにそう声がかかった。ふと見ると全員が武器を持ってこちらを見ていた。

「ああ、みんな選び終わったね。ごめんごめん。」

そう言いながら構えを解くダイヤ先生。私もヒュンと槍を振って構えを解く。

「じゃあ、まずは今やったみたいに俺に向かって攻撃してくれるかな?1人づつね。」

そう言うとみんなの方を向けて構える。

「私は邪魔ですねー。」

ダイヤ先生の背後に居た私はその攻撃に邪魔になると思った。そこで槍を地面に突き立てるとその反動で空中に飛び上がり近くの木の枝に着地した。

「私はここから見てますねー。」

「あとで教える側に回ってよ。それぐらいの実力ありそうだし。」

「いいですよ。ただ、武器が合ってるかは判別できないんでそこだけお願いしますね。」

「わかった、負担も減るしありがたいよ。」

1人づつ相手をしていきそれぞれがあった武器をダイヤ先生が選んでいった。

「どの武器種なら教えられそうだ?」

「槍なら完璧に教えられまね。後は剣とダガーですかね。ただ、ダガーはダイヤ先生の方がいいと思いますし・・・。」

そう言いながら悩んでいると体の使い方とか基礎だけでいいらしい。ということで私はエスズ、レオ、ミューダの3人を担当することになった。

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