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アルカディア11

空中に打ち上げられるメールだったが、何とか体勢を整え着地する。

「サリス様。急にあれは普通に死ぬのでやめてください。」

若干ジト目で私の方を見るメールから顔を逸らす。

「はぁ、私から伝えられるのは以上になります。護衛騎士になりますので、1対1の状況を作らないように意識すれば問題は無いかと。」

メールは最後にそういうと先生に挨拶をした。これ以上は時間が足りないのでここまでということだろう。先生達もメールに挨拶をしてからそれぞれのやることに移っていった。

「突然巻き込んでしまい申し訳ないです。」

「全然いいよ。あれが最適だと思ったんでしょ?なら何も言わないよ。」

メールの前を歩いて寮に向かっていると間にそんな話をしていた。

「相変わらずですが合理的ですね。サリス様は。」

「合理的っていうのかな?使えるものは使うって言う考え方なだけ。それが私自身でもね。」

私がそう言うと、背後でザッという音がしたので振り返る。するとそこには膝を着いてこちらを見るメールの姿があった。

「サリス様。これからもずっとお供したいです。」

「・・・今更言わなくてもいいわよ。これからも共に歩みましょう?」

そう言って手を出すと優しく自身の手を重ねてくれた。

「そうしていると次期皇妃としてしか見れないんですがね。」

「知っての通り中身があれだからそこまで期待しないでよ?」

立ち上がったメールと手をつなぎながら寮までの道を歩いていった。寮に戻ったはいいが、日が沈むのにもう少しかかりそうだったのでこっちに来て初めて街におりてみることにした。リャナにそう伝えるとついでに買ってきて欲しい物を伝えられたのでそれを紙に書いてカバンにしまい街に繰り出す。

「サリス様、何か買うものでもあるんですか?」

「いや?特に無いかな。街を見て見たかったからね。」

人の多い通りを人を避けながら歩いていく。ブラブラと目的もなく歩いていると何処からか聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「サリス様。今の声って・・・。」

「ええ、多分。いえ、絶対にそうでしょう。」

メールと一緒にその声が聞こえた方に向かう。

「ちょっと待ってって。そんなに渡されても食べられないよ。」

少し困った様子で周りを囲む女性に対応している1人の男子生徒。

「あらあら。随分と楽しそうですね?」

優しくゆっくりと女性に囲まれるラースナー様に話しかける。ガチンッと私の声に体を固めたラースナー様。

「これは、その・・・。」

「予想するに、スイーツ店巡りをしていたら囲まれてしまったというところですか?」

「はい。おっしゃる通りです。」

少ししょぼんとした様子のラースナー様。

「はぁ、別に怒ってないのでそんな顔しないでください。せめて護衛くらい連れていってください。」

「すぐに帰るつもりだったから油断したよ。」

女性の輪から抜け出したラースナー様がそう言って謝る。

「それで?今日は何を食べてたんですか?」

「今日はフルーツサンドだね。前にオススメされて来てみたんだ。」

「そしたら見事に囲まれたと。」

「囲まれたと言っても、スイーツについて教えてもらったり、分けてもらったりしてただけ。」

「これからは護衛も連れていってくださいよ?今日はメール貸すので。」

そう言ってラースナー様にメールを押し付けておく。

「それじゃあ私は一足先に寮に戻ってます。」

「わかった。」

ラースナー様に手を振ってから歩き始めた。そのまま来た道を戻っていき学園の寮まで何事もなく戻ってこれた。

その夜。ラースナー様からの通信を待ちながらゴロゴロしていると、少し申し訳なさそうにメールが話し始めた。

「サリス様。実は今日別れた後にですね、色々とありまして。」

「・・・珍しいね。メールがそうやって何があったのか濁すなんて。」

「お耳に入れてしまった場合何が起こるか分からないものですから。」

メールから見ても少し躊躇われるというのはどう言ったことか、気になってしまう。

「仮にその話が私の気に入らないことでも、ここで何かしても意味無いでしょう。深く考えなくても大丈夫ですよ。」

「・・・わかりました。あの後ですね、ラースナー様の周りにいた方達がサリス様とどういった関係なのか聞いていまして。」

「なるほど。それで?なんて言ってたの?」

「隠さずに婚約者と。」

「なら、いいじゃない。問題ないと思うけど?」

あっさりとそう答えた私に少し驚いた顔をする。

「えっと、一応国外に公表してないのに大丈夫でしょうか?」

「私たちをエルドラドの皇室と繋げられる人はいないだろうしね。言いたいのはそれだけじゃないよね?」

これだけなら隠す必要も無い。なのにメールが問題としていると考えると、他にもあるのだろう。

「はい。おそらくこちらの方が問題だと思いまして。実は、ラースナー様が婚約者だと教えた後に周りにいた数人の者が誘惑するような仕草を見せまして。もちろん、威圧して辞めさせましたが。」

「・・・この国についてあんまし知らないけど、そういうのが許されている国ってことなのかな?」

来る前に調べておいたことについて少し思い出すように考え込んでいると、ようやくラースナー様との通信が通った。

『おまたせ。聞こえてる?』

「聞こえてますよ。今日は色々あったみたいで。」

私がそう言うと向こうから他の人の笑い声が聞こえた。

『だから言ったじゃないですか。メールが居たんだからどうせ伝わってるって。』

「別に隠さなくても良かったんですよ?怒ってませんし。」

『こっちにも事情があるから言えないの!』

少し恥ずかしそうにそういったラースナー様。中身の子が頬を膨らませている絵が想像出来る。

「ふふ、まぁこの話はもういいでしょう。それで?フルーツサンドだけが目的ではないでしょう?結果はどうでしたか?」

食べるだけが目的ならその場で食べる必要も無いが、それでもそこにとどまったのは何か目的があってだろう。

『お察しの通り。ゲームクリア後に見られるようになるストーリーで、今度のお茶会に毒を入れる犯人がその毒を受け取るっていう場面があるの。その時の背景が今日起きた生徒会メンバーでの街遊びの場面だからどう言う流れになるか見てたの。』

「結果はどうでしたか?」

『受け取りは一瞬だったね。他のメンバーの目から一瞬で消えて路地に近づいたと思ったらなにか受けとって元に戻る。あれは相当訓練付けられてると思うよ。』

「なるほどね。ちなみに毒の種類はさすがに分からないよね?」

『袋に入ってたしな。色でも分かればよかったんだが。』

「そうね。」

毒の種類がわかっていたとしても、今の状況で手に入れて耐性をつけようとしたらあらぬ疑いがかけられる可能性もある。今は大人しくするしかないだろう。

『そういえば、お茶会の詳しい日程は決まったのか?』

「まだ。というかあんましその話も聞いてない。」

『そうなのか。もうそろそろあってもいいんだがな。』

「ゲームだとどれくらいの時期にやってたの?」

『大体入学から1週間以内だな。早いと入学式の翌日にあったね。』

「それでも、今のところは動きなしと。」

もしかしたら忘れているのかと思い少し考えたが特に思い至るふしは無さそうだ。

『まぁ、新しく情報入ったら教えてよ。』

「了解。じゃあ切るね。」

お茶会についてラースナー様と話をしたそんな翌日。噂のお茶会についての情報が飛び込んできた。


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